夢見○○/○○8
目を開く。
うっ……眩しい。
ここ……どこ……
辺りを見渡す。
ここは……砂場……?いや、学校…⁇
私はどうしてここに……⁇
そう考えたところで思い出した。
「そうだ、夢の世界‼︎」
辺りを見渡すが、特に誰もいない。
黒魔や眷属に囲まれた訳ではない事に安心しつつ、夢見さんを探す。
今現在いるのは恐らく校舎のグラウンド。
辺りに誰もいないと言うことは、多分黒魔もあの女性も、校舎の中にいるのだろう。
そしてきっと、夢見さんも……
『鈴華。貴方にはこれから3ヶ月、夢見安眠店の仕事を私と一緒にこなして貰いながら、死神見習いとして最低限戦えるまでに力をつけて貰う。』
そうは言っていたが、何よりの優先は私を鍛える事以上に黒魔の宿主の安全だ。
夢見さんはきっと、まず1番に黒魔の宿主の元に向かう筈。
なら、合流する為にも、私も黒魔の宿主を探すべきだろう。
そう考え、校舎へと進む。
知らない学校とは言え、大まかな構造はどこもだいたい同じだ。
昇降口から入り、廊下を進んだ。
外から見た感じ、建物は3階建で3棟。
正直すれ違う可能性は十分あり得るが、そこはまぁ考えない事にしよう…
とりあえず夢見さんとは道中で合流できる前提で、扉の窓から各教室を見て回るべきかな。
そうやって1棟目の全階と2棟目の1階を見て、2階目に差し掛かった階段で、
「あ、夢見さん‼︎」
「ん、ようやく見つけた。」
無事、夢見さんとの合流に成功した。
「宿主や黒魔は見つかりましたか?」
「まだ。あなたはどこから?」
「私はグラウンド側の校舎から見てきました。すれ違いになってないのなら、あっちの校舎にはいなかったです。」
「そう…私は逆側の校舎ね。こっちの棟へは3階の渡り廊下から来たけど、どこにもいなかった。」
「と言うことは…」
「すれ違ってさえいなければこの階にいる。」
この階にいる。
それはつまり、もう直ぐに戦闘が始まるって事に等しい。
「改めて確認する。本当に戦う覚悟はある?」
いつになく真剣な様子で尋ねてくる夢見さん。
そんなのもう決まっている。
食事の間中も、その後も。ずっと何度も考えた。
「当然です。夢見さんや栞さんにお世話になっている恩を返したい。栞さんの事を守りたい。あの少女——真昼さんの事を止めたい。それに……私だって、睡眠で困っている人を助けたい。たとえ少しでも力になれるのならなりたいって。そう思ったんです‼︎」
その答えを聞き、夢見さんも今一度覚悟を決めたようだ。
「……覚悟は分かった。なら、移動しながら色々教える。とりあえずこれ。」
そう言って夢見さんが手を翳すと、周囲から影が集まり、やがて私の手元で1本の短剣となった。
もう見慣れた姿の短剣。
長さ、重さ、握り心地も一緒。だけど……
「何か違う…⁇」
こう…上手く言葉では言い表せないけど……雰囲気というかオーラというか……
得体の知れないけどどこか落ち着くような、不思議な感じがする……
流石に気のせいですよね、と言おうとしたら、やけに驚いた表情の夢見さん。
「え……あの、何かありましたか…?」
不安になって聞いてみるが、
「いや、特に何も無い…けど、まさか気がつくとは思わなかった。」
え?何の事?
私には全く理解できない。
この短剣の事?
「そう。その短剣は、貴方の慣れを考えて長さや重さなんかはそのまま。だけど、今まで私が投擲する時なんかに使っていたものとは根本が違う。ただ影を凝縮したものとは違い、死神の力の素…と言えばいいの?私の力の一部を混ぜてある。この短剣を長く使って自身と馴染ませる事によって、死神に成って行く。夢見家の死神教育の基礎ね。そうやって実践で戦って3ヶ月……眷属なら余裕、黒魔とならまぁ戦えるくらい?」
なんて言っている夢見さん。
「ただ見ているだけの暇も、遊んでる暇もない。直ぐに見つけて直ぐに実践。ほら、直ぐに進む。」
なんか、やる気に満ちている…?
決意こそしたものの、不安と緊張に押しつぶされそうな私は、手にした短剣を握りしめ、夢見さんの後へと続いた。
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