夢見〇〇/〇〇5
前回お休みになっちゃって申し訳ないです…
ちゃんと今後も月水金の7:00更新頑張ります。
「少し話は変わるけど、私には双子の妹がいた。その…自分で言うのもアレだけど、人見知りな私と違って、面倒臭がりではあったものの、元気な子だった。よく一緒にいたし……今となってはよく分からないけど、私の自惚れでなければ…多分仲も良かった方だと思う。」
真剣な顔で、でも懐かしむかのように、また少し悲しそうにも見える顔で語り始める夢見さん。
「私と妹は、夢見の家に生まれた者として小さい頃から死神としての教育を受けてたの。効果的な睡眠の方法から夢の世界で戦う方法まで、多岐にわたって学んだ。…戦闘に関しては、私の方が強かった。妹はそこまで死神としての力に恵まれなかったから…。でもそれだけ。あの子は私には無い才能がたくさんあった。私と違って友達もいたし、無愛想気味な私と違って愛想も良かった。私は…何をするにもそこまで熱くなったり出来ないけど、あの子は面倒臭がりながらもやるとなれば何事にも真剣に、熱く向き合えてた。それに、面倒臭がりだけど負けず嫌いだった。………うん、すごく元気な子だった。面倒臭がりだったけど…」
どれだけ面倒臭がりを強調するんだろう…相当だったんだろうな…すごく実感や想いが籠っている…
…というか夢見さん、幼い頃友達いなかったんだ……才能というか…うん…言わないでおこう。
「何やかんや負けず嫌いだったのが災いしたのか、はたまた死神として強くなりたかっただけだったのが変わってしまったのか。私は知らないけど、それでもあの子は禁忌を犯した。」
「禁忌…」
「きっとより強い力を得る為ね。ちょうど貴方より少し上……確か17、8歳の頃だったと思う。死神見習いも卒業間近、私と妹の2人だけで黒魔の討伐をしていた時だった。ちょうど二手に分かれて黒魔を探していてね。私の方では見つけられず、合流する為に妹を探しに戻ったの。そこで見てしまった。……妹が、黒魔を喰らう瞬間の姿を。」
「えっ……喰らうって……」
「そのままの意味。狩った黒魔は闇に沈めて葬る決まりがあるの。きっと、黒魔を取り込んだり、利用したりという事をさせない為だと思う。私も昔はどうしてそんな事するのかって疑問だったけど、あの子の変わりようを見て納得した。………黒魔を喰らった瞬間、あの子は変わってしまった。人である事を辞めてまで力を求めてしまった。……あの子という存在が、禍々しい力に塗りつぶされてしまったかのようだった。」
「禍々しい……力……」
「自身から溢れる力による全能感があったんだと思う。そんな中、目の前に現れた自身よりも強い相手。今の自分なら善戦…いや、勝てるかもしれない。そう思ったんだ思う。あの子は私に襲いかかってきた。」
「そんな……」
夢見さんはそこまで言うと、ずっと喋っていて枯れた喉を潤す為一度麦茶を飲む。
…一気飲み……珍しい。
何度か夢見さんが飲み物を飲む場面を見た事があるが、どちらかというとチビチビと飲んでいる事が多かった気がする。
……あと、今更だがここまで沢山話してる夢見さんは珍しい。慣れない事をしているのだし、当然喉も枯れるだろう。
飲み終わったグラスを机に戻すが、その両手はグラスを掴んだまま離さない。
よく見ると、手が震えている…?
グラスを掴む手にはかなりの力が籠ってる気がする。
気持ちを落ち着けようとしてるのかな…
その手はそのままに、夢見さんは軽く一度深呼吸をして続けた。
「それ以前の私と妹の実力差はかなり開いていた。別にあの子が特別弱かった訳じゃ無い。ある程度黒魔にもしっかり対応出来るくらいには力もあった。」
「夢見さんがすごく強かったんですね…。」
「そう…らしい。自分じゃあんまり分からないのだけど、よくそう言われた…。自分が強いのかは分からなかったけど、私と妹の戦力差は理解してた。だから、例え黒魔を喰らって禍々しい力を得たところで何とかなると思ってた……。だから、正直驚いた。あの子はあの一瞬であり得ないくらい強くなった。それでもまだ私の方が強かったけど、そんな事になってしまった衝撃と妹を傷つける事への抵抗感で全力が出しきれてなかった。一方のあの子は溢れ出る禍々しい力に加えて、暴走のような状態だった。私に対してまるで憎悪のような感情が向けられているようだった。まるであの子が乗っ取られているようだった。……怖かった。それでも戦った……うん、戦った………」
「それで……どうなったんですか…」
聞いていいのか分からなかったが、なんとなく聞いた方がいい気がした。
「なんとか私が勝った。ボロボロになった妹はそのまま撤退。現実に戻った時にはもうどこにも見当たらなかった…。」
「そう…なんですね………それで、その妹さんは今は…?」
「………もう気がついているでしょう?」
「えっと……」
…なんとなく、そうじゃ無いかなとは思っている事はある。
「この前の…あの謎の少女…なんですね?」
栞さんの夢の世界で私達の前に現れ、夢見さんを倒した謎の少女。彼女なのだろう。
「えぇ。……あの子の名前は真昼。夢見真昼。私の双子の妹で、元死神。あの子の目的は、更に黒魔を喰らってより強力な力をつける事。効率良く黒魔を収穫する為に苗床として栞を回収する事。……あの子の姉として、栞の姉として、そして何よりも一死神として。あの子を止める義務が私にはある。」
確かな決意を持って、夢見さんは宣言する。
「だけど、悪夢人形…あれが本当に厄介。流石に1対多では前回みたいにろくに戦えずに負ける………。だから、鈴華。貴方の力を貸して欲しい。」
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