悪夢に好かれた少女、小桜栞7
ピピピ、ピピピッ
スマホのアラームで目が覚める。
……なんか変な夢を見た気がする。
モノクロの世界、小さな少女に夢見さん。
あれはなんだったのだろう。
私の空想が作り出したただの夢…って訳でもなさそう。
また後で聞いてみるかな…
伸びをして起きる。
時刻はまだ7時。
隣ではまだゆっくりと、静かに眠る歩美さん。
どうやらかなり寝相はいいみたい。寝る時の姿そのまま布団を被ってスヤスヤと寝ていた。
私自身もそこまで寝相がいいとは言えないし、実家にいた頃はとんでもない寝相の佳琳がいたから、こんな綺麗な寝相で寝れるの人がいるのかと驚愕する。
そう言えば栞さんはどんな寝相なんだろう。
少し気になる。もう起きちゃってるかな?
周りを見回す。
「あれ…栞さん…⁇」
周りを見渡すが居ない。
栞さんの布団は敷きっぱなし。
お手洗いにでも行ってるのかな?
そう思って待ってみるがなかなか戻ってこない。
どこに行ったんだろう…
そんな事を考えて待っていたら、時刻は7時半近く。
パタパタという足音がしたかと思うと、ここリビングの扉が開かれた。
「あれ?鈴華ちゃんおはよう。もう起きてたんだね。」
「あ、栞さん!おはようございます。どこかに行っていたんですか?」
「え?うーん…行ってたというか…気がついたらいたと言うか…昨日確かにみんなで一緒に寝た筈なんだけどね?気がついたらお姉ちゃんの部屋で寝てて…おトイレか何かで起きた時に寝惚けてお姉ちゃんの部屋に行っちゃったんかなぁ?」
ちょっと顔を赤くしてにへら、と笑い、頬を掻く栞さん。
根は甘えん坊な所もあるんだろうか?なんか可愛いな、なんて思った。
「さ、さて。じゃあ朝ごはん作っちゃうね。お姉ちゃんも歩美さんもまだ起きないと思うし、ゆっくり寝てて大丈夫だよ。」
「いえ、そう言う訳にも…もう目も覚めちゃってますし…」
「そっかー…でもお米は昨日のうちに予約しておいたからもうそろそろ炊けるだろうし、残りはグリルで鮭を焼くのと…お味噌汁も油揚げもネギもあらかじめ冷凍してあるの解凍するだけだから残りはお豆腐切って味噌溶いたら終わりなんだよね…冷奴作るのもお味噌汁のついででいいし…」
うーん、と頭を悩ませてる栞さん。
どうやら今日の献立は和食らしい。
ご飯、味噌汁、鮭の塩焼き、冷奴。
日本人としてこれ以上とない、十分過ぎる幸せな朝ごはんだろう。
それにしても予めの準備がすごい…
可能な限り朝イチでの作業を減らせるようになっている。
………私も一人暮らし初心者として見習わないと。
「あ、じゃあサラダ作ろうかな。レタス千切るのお願いしていい?あとは…私の話し相手になってくれると嬉しいかな!ほら、いつもは1人だからね。せっかくのお泊まりなんだし、もっとたくさん話せると嬉しいな。」
外。照りつける太陽、雲一つない快晴。
室内。それに負けないレベルの笑顔の天使。
私は浄化されるのだろうか。
それくらいに眩しかった。