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第七話 「出会い」

補足 アグレイト国の通貨の名前はコイン。

ゼルは船に乗り、列車に乗ってダンバータウンに向かった。乗り物に酔いやすい体質のようで到着した時には、足元がふらふらになっていた。

「う・・・。吐きそうだ。どっかで休まねーと。」


結局ゼルは、港の近くにあったレストランで休憩を取ることにした。


(しっかし・・・。すげー街だな。いろんな物に魔石が使われてやがる。)

魔石という物の存在を知った今、つくづく感じる。

街灯も、バスも、ありとあらゆる物に魔石が使用されている。

「お客さん。海の幸のパスタですよ。」

中年の男性が皿を持ってくる。しかし、ゼルはルードから貰った地図をじっと見て、現在地を確認しているため、気がつかなかった。「お客さん!!」

「あっ!!すいません。」

「ダンバーの地図ですか。この街は広いから、外から来た人には地図がかかせないでしょう。」

「そうっすね。でも、この地図複雑で分かりづらいんすよ。この赤い丸にはどういけばいいんすかね。」

店員はその地図を見てギョッとした。

「お、お客さん・・・。そこには近づかない方が、いいですよ。」

「ん?何で?」

「そこには、かつて世界を滅ぼそうとした悪魔の子孫の魔女が住んでいるんですよ。魔石を作ったのもその悪魔らしいが、それを悪用して世界中の人が死んだ。許せないですよ・・・。」

それを聞いていて、ゼルは心が痛かった。実際は魔石の研究員達には、罪は無かった。しかし、一般人は真実を知らない。ゼルは田舎に住んでいたため知らなかったが、レオやアリエス、そしてアリエスの子孫も辛い迫害を受けて来たのだろう。


ゼルはレストランに居づらくなり、早めに食事を取って出て行った。


ダンバー中心街。

港も華やかなイメージがあったのだが、ここはそれ以上だ。

(へぇ。前に来た時は色々あってよく見れなかったけど・・・。すげー所なんだな。)


しかし、少し歩くと街の異変に気がついた。


人々は、みんな大通りのはじにピッタリとくっついていて、ど真ん中を歩いている者は一人もいない。そして、全員が同じ方向を向いて何かを見ている。


「どうしたんすか?みんな何かに怯えたみたいに・・・。」

ゼルは、近くにいた男性に聞いてみた。

(しっ!!大きな声をだすな。あっちの方をみろ。悪魔の子孫の魔女が、こっちに向かって来るんだ!!)ゼルは、急いで言われた方を向いた。



それは、少女だった。


ゼルは、その少女のあまりの美しさに、思わず見とれてしまった。


年はゼルと同じ位で、栗色のロングヘアーに栗色の瞳。

ゼルは、その少女の方へ走って行った。


(な・・・!!あの魔女に近づくなんて、どんな神経してんだ?)

(あの子供、頭が悪すぎるわ・・・。)

人々の、ひそひそ話が聞こえる。


「あの・・・。君がアリエスの子孫?」

「え?あなたは誰?」

少女は、いきなり話かけられて、明らかに怪しんでいる。下手したら、変質者と思われているかも知れない。

「え〜と・・・。俺がレオの子孫なんだ。君に会うために、ここに来たんだ。」

「!!」

その途端少女の目が見開いた。

「あなたが・・・。」

歯を食いしばり、こちらを睨んできた。


「え?どうしたんだ?」

何か不快な思いをさせてしまったのかも知れないと思い、焦る。


「あなた、いまさらわたしにあって何がしたいの?」

「救世の魔石についての情報が欲しい。そして、出来れば俺の旅の手伝いをして欲しい。」


「・・・。あなたは、わたし達がどんな思いをしてきたか、何も知らないんだね。」


「え?」


「わたしは、救世の魔石なんて、持っていない。既に政府に奪われてる。それに、あなたの手伝いなんて絶対したくない。お引き取りください。」

そういって少女は歩いて行った。


「おい!!お前、あの魔女に近づいたら、呪われるぞ!!」

先程の男性が近づいてくる。周りにいた人々は、ざわざわしていた。


ゼルには、なぜあの少女が怒っていたのか、皆目、見当がつかなかった。あの少女の過去には、一体何があったのだろうか。


「なあ、あんた・・・。一つ質問してもいいかな?」

「ん?なんだ?」


「あいつ、街の人から忌み嫌われているんだよな。」

「ああ・・・。そうだが。」

「それなら何で、街に降りてきたんだ?ここに来た理由は?」


「ああ。そんな質問か。今日は、ダンバー武道祭があるんだ。」


「ダンバー武道祭?」


「半年に一度、この街で行われる武闘祭でな。近隣の街からも参加者が来る、結構大きな大会なんだ。魔女は、毎回これに出て、優勝してる。出場してる真意は分からないがな。優勝賞金の百万コインも貰っていかねえ。別に出場制限もねえから魔女でも出場出来るんだ。」


ゼルの疑問は大きくなった。あの少女は、何を考えているのか。


「なあ、出場制限が無いって事は、俺みたいなよそ者もオッケーなのか?」


「大丈夫だが・・・。やめとけ。お前みたいなガキがでるものじゃない。」

しかし、ゼルの決意は固まっていた。


少女は毎年優勝しているらしい。まず決勝戦まで残るだろう。つまり、勝ち進んでいけば、必ず会えるということだ。

少女と闘ってでも、彼女の真意を知ろう。

それがゼルの決意だった。


闘いが始まる!!


次回予告 ダンバー武道祭

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