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第五十五話 「激突一 突入」

クラムス洞窟。

そこは様々な恐怖・悪夢が潜んでいる。


一説には、伝説といわれている魔石・リーボーンも封印されているらしい。


政府は救世の魔石・バルゴを求めて洞窟の中に入っていった。


「ここがクラムス洞窟・・・。」

ルーナは思わず呟いた。


入り口からすでに怪しい気配が出ている。


「・・・ここにダイスの野郎がいるはずなんだけどな。」

ランジは辺りを見回す。


しかし、誰もいなかった。


「・・・お前は相変わらず気配を読むのが下手だな。」


いきなり、ランジの後ろから声がした。


ゼル、ルーナ、ランジの三人は驚いて後ろを振り向く。


そこには、茶髪の少年が立っていた。

年齢は十五歳ほど。

背丈もゼルとほとんど変わらない。


「てめえの気配は読みづらいんだよ!」

ランジは怒鳴る。


少年はニコリともせずにゼルの方を向く。


「あんたがレオの使い手か。よろしくな。」


少年は手を差し出してきた。

ゼルも手を差し出し、握手をする。


「俺が天空騎士団三番隊隊長のダイスだ。」


ダイスはクラムス洞窟に足を踏み入れる。


「お?何だ?もう行くのか?」

ゼルは聞いた。


ダイスはやれやれ、といった感じで首を左右に振った。


「あんまり、もたもたしてる時間は無いんだ。政府の奴らはすでに中に進入してしまった。急がねーとバルゴを奪われるぜ。」


ダイスは先に進んで行く。三人も慌てて後を追う。



「待ってくださいよ〜!ホーク様〜!」

ホークの部下の少年は言う。


「やっと追いついたのか。もう少し速く歩け。」

ホークは無表情だ。


何を考えているのか分からない。


「ホーク様達が速すぎるんですよ〜!」

少年は汗でびっしょりだ。

「ほっほっほ。近頃の若い者はだらし無いのお・・・。」

ザクロ老師は笑っている。

「あまり遅いと置いていくぞ。」

ミリーはイライラしていた。


歩いていくと、道が二つに別れていた。

「ここが、伝説の天地の分かれ道か。」


天地の分かれ道。

クラムス洞窟の最初の難関だ。

二つの道の片方は、悪魔の巣窟に、片方は安全な道に繋がっていく。

最終的には同じ所につくのだが、ここでの選択で生き残れる確率はかなり変化する。


「俺達はこっちを行かせてもらうぜ。」

バリアー兄弟は右の道を選ぶ。

「俺達が政府の協力を必要としているのは一番奥。それまではあんた達は邪魔だからな。」

兄弟は大笑いしながら右の道を進んでいった。


「・・・私達はどうするんだ?」

ミリーは尋ねる。


「・・・奴らとは別の道を行く。アイツ達は好きにさせておく。」

ミリー、ホーク、少年の三人は左の道に進む。


しかし、ザクロ老師は立ち止まったままだ。


「行かれないのですか?老師。」


ザクロ老師は頷く。

「ワシはここでレオの少年を待つ。ジョーカーを倒した程の男。一度闘ってみる価値はあるからのぉ。」


ホーク達は軽く会釈をして、先へ進んでいった。



ゼル達は、何も無い一本道を歩いている。

「何か、嫌な気配がぷんぷんするな。」

ゼルは言う。


「ここには、悪魔の魔石が数多く封印されているからな。」

ダイスは面倒くさそうに言う。


「悪魔の魔石?」


「ああ。あまりに危険な力を持っているために、研究員の手により封印された魔石の事だ。」

ダイスは説明をした。


数十分の間歩き続け、ゼルは疲れはじめていた。

しかし、道は続くばかり。

「いつになったら到着するんだよ!」

ゼルは半ばキレぎみに言う。


「何言ってんだ。まだ、全行程の一割程度しか進んでないぞ。」

ランジは呆れ気味に言う。

「そんなに長いの?この洞窟・・・。」


かなりの距離を歩き続けているはずなのだが、これで一割。

その全長は計り知れない。

道は次第に広くなっていき、全員が横一列に歩けるくらいの幅は出来た。


さらに進んでいくと、道が二つに別れているのが見える。

そこには、一人の老人が立っていた。


ゼル達は全員身構える。


「・・・レオの少年はどれかね?」

老人はゆっくりとした口調で喋る。


「俺だけど・・・それがどうしたってんだ!」

ゼルは叫ぶ。


「・・・そうかそうか。それでは、君以外は行ってよろしい。」

老人はニッコリと笑った。

「どういうことだ?あんた、政府の人間じゃ無いのか?」

ランジは疑っている。


「いかにも。ワシは八光のザクロ老師と申す。」


八光。

その言葉を聞いて全員の身体が固くなる。


「ワシは、ただレオの少年と闘ってみたいだけじゃ。君達に用は無い。」

ザクロ老師はきっぱりと言った。


「お前達、先に行ってろ。」ゼルは促す。


「大丈夫?相手はあの八光だよ。」

ルーナは心配している。


「大丈夫。俺はコイツ倒してお前達にすぐ追い付くからよ。」


その言葉を聞いて、ルーナ達は右側の方の道を進んでいった。


「その自信はどこから来るのかね?」

ザクロ老師は自らの持つ救世の魔石を見せ付ける。


「俺は、自分を信じてるんだよ!」


次回 ゼル対ザクロ老師

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