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第五十二話 「クラムス洞窟へ」

今回、めちゃくちゃ急展開です。

ゼルは何とか倒れないように踏ん張っていた。

残った時間はあと三分ほど。


(早くしねーとバリーが死ぬ!)

「おい、レオ!何か手は無いのか?」


(簡単なことだろ。一撃でアイツを倒せばいい。そんなことが出来る技は今のお前じゃバーストだけだろ。)


ウルフは突進してくる。

(炎の熱じゃ攻撃できねえ。やっぱり、フルパワーのバーストを使うしか無いか。)


ウルフは素早くゼルの背後に回る。

「隙あり、だな。」

ウルフは手を伸ばす。

ゼルは避けようとするが、遅かった。


「ぐあっ!」

ゼルの左腕は金になってしまった。

(やべえ!これじゃバーストが放てない!)


身体に衝撃が走る。

ゼルの身体は疲れきっていた。


(何にせよ、もう限界か。技もあと一発が限界だな。)


ゼルは、金になっている左腕に力をこめた。


「何を使用と無駄だ!」

捨て身の突進。

ウルフもまた、この攻撃でケリをつけるつもりでいた。


「バースト!!」

ゼルは左腕を動かすのを諦め片手でバーストを放った。


炎の一閃。

金は全て溶け、ウルフの身体は炎に包まれる。

魔石・ゴールデンユートピアも粉々に砕けた。

ウルフはすでに、虫の息だ。


倒れていたバリーの金が徐々に剥がれていく。

ゼルの左腕も戻ってきた。

ゼルは、ウルフの近くまで行き、耳元で囁いた。

「ブルー教の教えってのは、他人の幸せを奪うのか?違うだろ。おっさんのおかげでここの人々は政府の恐怖から逃れられているんだ。もう一度、考え直してくれ。」


ウルフの目からは、涙がこぼれていた。



二日後。

出発の準備は整った。

ボルノにお礼をしに行こうと思い、寝室を出たところ、ボルノと見知らぬ男性が話をしていた。

ボルノは深刻な表情をしている。


「あっ。ゼル君、ルーナさん、こちらは諜報部隊主任のカーゲだ。」

眼鏡をかけた細身の男性。

地味な所が諜報部隊らしさを表している。


カーゲはお辞儀をする。

「カーゲです、よろしく。」

ゼルとルーナもお辞儀をした。


「カーゲの話によると、すでに数名の政府の人間がクラムス洞窟に向かっているらしい。おそらく、そろそろ着くころだ。急いで行かないと間に合わない。」


カーゲは二枚の写真を差し出す。

「これが、クラムス洞窟に向かった人物の写真です。恐らく、二人とも八光だと思われます。」


その写真を見て、ゼルとルーナは衝撃を受けた。

「・・・ホーク!」


ルーナの兄を殺した男・ホーク。

顔の髑髏の入れ墨が特徴だ。


「やっと・・・やっと会えるのね。」

ルーナは肩を震わせる。


当時のルーナにとって唯一の信頼できる人を殺した張本人。

恨みは相当なものだろう。

「もう一人の女も見たことあるぞ・・・。」

ゼルは何故この人物が政府にいるのか理解出来なかった。


ミリー。

アデムの大切な人だ。


ゼルはジョーカーの部下、クイーンの能力でミリーを見ていた。


「とにかく、気をつけた方が良い。八光が二人だけとは限らない。最悪、八人全員が向かっていることだって有り得る。人の手に渡っていない唯一の魔石だからね。政府も必死なのさ。」

ゼルは覚悟していた。

この闘いは熾烈を極めることになる。

ゼルはジョーカー一人と闘っただけで瀕死になった。それが八人もいるのか・・・。



ホークとミリーはクラムス洞窟入口にたどり着いた。「ここがクラムス洞窟か。」

岩山にポカリと開いた穴。奥地までたどり着いた者は誰もいない。


入口には、一人の老人が座っていた。

「ザクロ老師!」

ホークは声をあげて驚く。

ザクロ老師は八光の一人。八光の中で最年長なため、老師と呼ばれている。


「総帥がどうしても来たいと言うのでな。ワシとカイザンが守護役でついたのじゃよ。」

ザクロ老師はタバコをくわえながら話す。


「何!?総帥まで来ているのか!?」


総帥。

それは政府を統括している実質、アグレイト国の頂点に立つ人物だ。


「それと、この二人も力を貸してくれる事になった。」


二人の男性が現れる。

一人は坊主頭の大柄な男性。

もう一人は、西洋風の帽子を被った小柄な少年だ。


「この二人は、この近辺を拠点に活動している山賊、バリア兄弟じゃ。」


二人は頭を下げる。

「俺らは、この中にあるリーボーンが欲しいんだ。一時的ではあるが、力を貸してやる。」

小柄な少年が言う。


恐らく、こちらが弟だろう。


「オイラはリーボーンの力を借りて、アニキを生き返れらせるんだ!」

大柄な男が言う。


「さて、君達も来たことだ。ワシらも中に入るとするかの。」


ホーク、ミリー、ザクロ老師、バリア兄弟の五人は中へ入っていった。





洞窟から西に二十キロメートル。

そこにはある一族の集落があった。


その集落に、一人の人物が入りこもうとしている。

その姿を見て、集落の住民は驚いた。


そこにいた人物はアデム。この集落は、アデムの故郷だ。


次回 アデムの兄

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