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第四十六話 「真の目的」

用語の読み方 八光(はちこう) 焔龍(えんりゅう)

コフル城の闘いから一日が経過していた。


ここは炭鉱の街フォドス。その名の通り、大規模な炭鉱があり、そこで働いている人の数はかなり多い。


ゼル達は、ボルノの救出を達成したあと、聖域の門を抜けこの街にたどり着いた。


この街には「ブルー教」という宗教があり、取り決めで政府の人間はうかつに入れないようになっている。

そのため、反政府組織の拠点を置くにはもってこいというわけだ。


フォドスの町立病院。

ボルノとランジ、バリーは怪我がひどいため、入院していた。


「なぁ〜。どうしたんだよ〜。なんでさっきからシカトするんだ?」

見舞いに来ていたゼルはランジに話かけているが、そっぽを向かれてしまった。


「ランジは結構へこんでるんだ。本体のリデューどころか、人形に手も足も出ず、その上こんな傷まで負ってしまったんだからね。」ボルノは笑っている。


ボルノは拷問を受けていたらしく、身体のあちこちが傷だらけだ。

「ところで、ゼル君にルーナさん。二人は政府に関する情報と救世の魔石に関する情報が欲しいんだったね。」

ゼルとルーナは頷いた。


「いいのですか?機密情報を教えて。」

バリーは言う。


「構わないさ。二人は命の恩人だからね。」


まず、ボルノは地図を出した。

「ここが、今いるフォドスだ。聖域の門を出て、東に向かって進み続ける。交通機関は一切無いし、歩いていくにしても五日はかかる。」


ボルノはある一点とフォドスを線で繋いだ。

「ここが、救出の魔石バルゴが眠っているクラムス洞窟。」


「だけど、政府にも目を付けられていると思った方がいいよ、そこは。ようは早い者勝ちだね。」

バリーは言った。


「君達には世話になったからね。僕の仲間を何人かつかせよう。いいね。ランジ。」


ランジは飛び上がった。

「俺は一番隊隊長ですよ!もしもの事があったら・・・。」


「大丈夫。ここにはバリーもポーキーもいる。それに平隊員だって強いよ。」


ランジは最初は嫌がっていたが、ボルノの説得に渋々了解した。

「あの辺りにはダイスがいたな。彼にも連絡を送ろう。現地に着いた時に力になってくれるよ。」


「ダイス?」

ゼルは聞く。


「天空騎士団三番隊隊長だよ。彼は強いからね。」


ボルノは地図をしまった。

「そうだ。ゼル君。君、近頃変な夢を見ないかい?」

見ている。

ゼルの祖父・レオの夢。


「な、何で分かったんだ?」

「実はね、ジュリアがコフル城の資料室で調べてきたらしいんだけど・・・。」

ジュリアは闘いの途中、姿を消したと思っていたら、資料室で政府に関する情報を集めていたのだ。


「政府に、君にレオさんの夢を見せようと思っている人がいるらしい。」


「夢を見せるって・・・どういう事だよ。」


「詳しい事は分からない。もしかしたら、他人に夢を見せる魔石があるのかも知れない。」


(俺に夢を見せる?どういうことだ?)

ゼルは考えた。

それは、レオに関係のある人物なのか?


「実をいうとね、天空騎士団はレオさんが作り上げた物なんだ。」

ボルノは言う。


「やっぱりそうだったのか。」


「色々あって、最初のメンバーはみんな隊を抜けたんだけど、レオさんの頼みで僕が新しく作ったんだ。」ボルノは語る。


「僕も、政府の目的を阻止するために頑張った・・・。」


「政府の目的?」

ルーナが聞いた。

ゼルもルーナも、政府を倒すために旅をしているが、政府の真の目的までは知らなかった。


「政府の目的、それは・・・。」

ゼルもルーナも息を飲む。


「政府がかつて作った兵器を作り直すことだ。」


少しの沈黙−。


「兵器って、あの世界中の人々を消し去ったっていうあの兵器か!?」

ゼルは聞く。


「ああ。当時発明されたその兵器は、威力が強すぎた。機械何かで制御できるような物じゃ無かった。だからこそ、今作り直そうとしているんだ。魔石の力を使って。」


「ちょっと待って・・・。そんな物を作って、一体なにをするつもりなの?」

ルーナの声は震えていた。

「世界の頂点に立つつもりなんだろう。圧倒的な力を見せ付けてね。」

ボルノは言う。


「それを作るには、最強のエネルギー蓄積型の魔石に、十二の救世の魔石の力を注ぐ必要がある。そのために、奴らは救世の魔石を探しているんだ。」


また沈黙−。


「ふざけんな・・・!そんな事のために、たくさんの人が犠牲になってるのかよ。今の政府は、ただの殺人集団だ・・・!」

ゼルは奥歯を噛み締めている。


「最初はじーちゃんの使命を全うするために旅に出たけど、今は違う!俺は自分の意思で、政府をぶっ潰す!」


続けてルーナも言う。

「私やゼルだけじゃない。国中の人が大切な人を政府に奪われている。そんな世界、悲しすぎる!」

ルーナは涙を流していた。

この日、少年と少女は決意をした。











フォドスから東−。

「まだ、かなりかかるか。」八光でルーナの兄を殺した男、ホークとアデムに深い関係のある女性、ミリーは歩いていた。


目的はただ一つ。

クラムス洞窟に眠る魔石、バルゴ!


次回 フォドスでの一件

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