第四十一話 「バリー対イトラー(後編)」
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バリー対イトラーの闘い。
序盤はバリーが氷と水の技で優勢だったが、翼の生えたイトラーに手も足も出ず、ついに倒れてしまった。
「よええなー!ま、空を飛んでいる俺に勝てるわけ無いけど。」
イトラーの羽はとても硬度が高いようで、これをナイフ状にして発射していた。
「でも、気になることがある。氷の技の中には、遠距離の技もあるだろ。なんで使わないんだ?」
バリーはゆっくり起き上がる。
一番大きな傷は、氷によって止血してあるが、小さな傷が無数にあった。
「コイツは完全にアクエリアスの能力をコピーできているわけじゃ無いんだ。本来のアクエリアスの能力ならこの城全体を凍り付けに出来るかもしれないが、アクアダガーに出来るのはダガー本体、もしくはダガーで斬った物だけだ。」
バリーはイトラーを睨む。まだ闘志は失っていないようだ。
「馬鹿だなあ!お前!自らの弱点を敵に教えるなんて、本当にお前は戦闘のスペシャリストか?」
イトラーはバリーを見て嘲る。
バリーはアクアダガーを投げ付ける。
イトラーに命中させ、凍らせる作戦なのだろう。
しかし、イトラーは右方向に文字通り飛んでよける。
「武器を手放したなあ!」
翼から羽が三枚ほど発射された。
ヒラヒラと舞ってくるため、どこから来るかの判断をつける事は難しい。
一枚目、二枚目は共にバリーの足に命中した。
「ぐああっ!」
バリーは床に足をつく。
傷の痛みにより、まともに立つことも難しい。
三枚目は何としても避けたい。
(・・・右?いや、左か!)
一瞬の判断の遅れが災いした。
バリーはもろに羽の斬撃を受けてしまった。
バリーは必死に作戦を考えている。
(アイツを、いや、羽だけでも凍らせることが出来たらこっちの物なのに・・・。)
バリーは現在両足とも負傷している。
これでは上空からの攻撃を避ける術が無くなってしまう。
バリーが危惧していた通り、羽の斬撃による連撃が放たれた。
「秘技・羽之吹雪!」
全てとはいかずとも、七割がたの羽は全てバリーに命中した。
「かはっ!」
バリーは身体に刺さった羽を引っこ抜く。
「しぶとい。政府に刃向かおうというだけあって、生命力はゴキブリ並のようだな。」
バリーはよろよろしながらも、なんとか倒れずに踏み止まる。
「仕方がないか。これだけは使いたく無かったんだけど。」
バリーはアクアダガーを魔石の状態に戻す。
「?何考えてやがる。本当に死ぬぞ。」
バリーは魔石をポケットにしまった。
「私の一族はある技に長けているんだけど、何か分かるかな?」
先程まで追い詰められていたとは思えない余裕ぶり。
まるで、勝利を確信したかのように。
「いまさら何をしようが、その傷では俺には勝てないだろう。」
「私は今から一歩も動かずに、君に勝って見せよう。」
バリーは口笛を吹く。
バリーの意外な行動にさすがに警戒心を抱いたのか、イトラーはさらに高度をあげる。
確実に攻撃が当たらない距離に。
「どこにいても、意味ないよ。ブラムの前ではね。」
「ブラム?一体何・・・・・・・・・!」
大きな羽の音がする。
もちろん、イトラーの翼の音では無い。
突然、天井が崩れた。
瓦礫がイトラーに命中する。
「ぐあっ!」
しかし、大量の瓦礫はバリーには一つも当たらない。
イトラーは上を見上げて息を飲んだ。
巨大な龍がいる。
全身が真っ赤で、荒々しい顔つきをしている。
「久しぶりだな、坊主。まだ、魔石とかいう貧弱な物を使ってんのか?」
龍は口を開いた。
人間の言葉を喋れるらしい。
「仕方ないだろ。お前を呼びだしたら、関係の無い物まで破壊されちゃうからな、ブラム。」
(ブラムってのは龍の事だったのか!まさか、コイツはドラゴン使いだとでも言うのか!)
イトラーは驚きを隠せないようだ。
「驚いたかい?コイツは巨大竜のブラム。今、世界にいるドラゴンはほとんどがエリクシールという魔石によって作りだされた偽物らしいけど、コイツは本物のドラゴンだ。」
ブラムが、あくびをすると、近くに風が吹いた。
「それで、坊主。コイツがターゲットなのは分かったが、今回は報酬になにをくれるんだ?」
「ユニコーンの肉を、二十匹分送ってあげるよ。」
それを聞いた瞬間、ブラムの目の色が変わった。
「あいよ!」
ブラムは口から炎を吐いた。イトラーの翼はドロドロに溶けてしまった。
イトラーは恐怖で動けない。
「竜の炎は、魔石をも溶かす。これでおわりかな?」
ブラムは尻尾でイトラーをぶっ飛ばす。
イトラーはその姿が見えなくなるほどに遠くまで飛んでいった。
「ありがとう、ブラム。報酬は数日の間に払うよ。」
ブラムは羽を羽ばたかせ空を飛んだ。
「気をつけろよ。近いうちに人間の世界で良くないことが起きる。」
バリーはにっこり笑う。
「そうだ。住み処に帰る前に、いいかな。」
バリーはブラムの耳元で何かを囁く。
「頼むよ。今言った人に、その地図に書いてある洞窟に向かうように伝えといてくれ。もしもということもある。」
「何言ってんのか分かんねーが、やってやるよ。」
ブラムはこうして再びどこかに飛んでいった。
残る敵はホークの部下が二人。そして、リデューと配下の少女ミカンだ。
はたして、ボルノを助け出せるか!?
次回 魔法対決!