第三十八話 「ミッション」
感想、ぜひお願いします。m(._.)m
ミッション当日。
ゼルは目を覚ました。
あまり、眠れなかった。
今日のボルノ救出作戦、何か嫌な予感がする。
「いいか。気をつけるべき敵は四人。いずれもホークの部下だ。怪力のガーボン、暗殺者カーネロ、魔術師グリウ、解体師イトラー。」
コフル城の近く。
ランジは作戦の最終確認をしていた。
「ホークがここにいないのは幸いだ。ボルノさんは絶対助けだす。あの人を失うわけにはいかない。」
「ボルノさんって、魔石を持っているわけでも無いし、強くもないんでしょ。どうしてみんなこんなに必死なの?」
ルーナは聞く。
「ボルノさんは、確かに武の才能は無い。だが、あの人は人の上に立つ器。天空騎士団のリーダーはあの人以外考えられない。」
バリーが答える。
コフル城。
ホークの四人の部下は隠れて話をしていた。
「なんで、ホークさんの代わりがリデューの野郎なんだよ!」
と暗殺者カーネロ。
「それだけでは無い。リデューの唯一の部下、ミカンまでくるようじゃ。」
と魔術師グリウ。
「オイラ、アイツ嫌いブヒ!あんなのが八光なんて認めないブヒ!」
と怪力のガーボン。
「君だけじゃないさ。あの男を敵対視しているのはね。」
と解体師イトラー。
その瞬間、部屋の扉が開き、リデューが現れた。
「今日、おそらくレオの子孫のガキがここに来るだろう。貴様達は適当にやれ。死んでもかまわねーからな。」
リデューの横には十五歳くらいのポニーテールでオレンジ髪の少女がいる。
「今、リデューさんの悪口いってましたよね、あなた達。」
にっこり笑っているが、恐ろしい殺気をだしている。
四人は凍り付く。
「つぎにリデューさんの悪口いったら殺しますよ。」
リデューは少女の頭を撫でる。
「お前はいい奴だ、ミカン。コイツらと違ってまともに働いてくれる。」
高笑いをしてリデューは椅子に座した。
「ただ、機会があればあのガキとはもう一度やり合いたいがな・・・。」
コフル城周辺。
湖はとても毒々しい色をしていた。
確かにこれを泳いで渡るのは無理そうだ。
ランジは全員に双眼鏡を手渡した。
「ジュリアの能力が見れるぜ。」
ポーキーが言う。
ゼルは双眼鏡を覗き込む。
城の真横にある監視塔。
そこには兵士が一人いて、レバーのような物を見ていた。
「・・・どうやら、あれが跳ね橋を下ろすレバーのようだな。」
ジュリアがつぶやいた。
「五十メートルちょっとか。行けるか?」
ランジはジュリアに聞く。
「余裕だ。」
ジュリアの右手薬指から小さな何かが兵士に向かっていく。
それは兵士に命中した。
その途端、兵士は動かなくなる。
「?何が起きたんだ?」
ゼルは状況が掴めない。
兵士は突然白目になった。そして、レバーを下ろす。大きな音を立てて、跳ね橋はゆっくり降りてきた。
「・・・私の魔石の名はコントローラ。相手の精神を支配する毒針を発射できる。もちろん支配できる相手は限られるがな。」
異変に気が付いた兵士が五人、橋を渡ってくる。
「?何か人数少なくないかい?」
バリーが聞く。
「跳ね橋が降ろされることはまず無いからな。配備されてる兵士も少ないのは当然だ。」
ランジは得意顔で説明する。
ジュリアは針を三本放つ。針はそれぞれの兵士に刺さった。
「・・・仲間同士で潰しあえ。」
白目を向いた部下三名が残りの二人を襲う。
「な、何するんだ!やめろ!うわああ!」
兵士の喚き声が聞こえる。
混乱に乗じて、六人(ゼル、ルーナ、ランジ、バリー、ジュリア、ポーキー)
は城に突入した。
「さて・・・ボルノさんが捕らえられている牢屋までいかねーとな。」
その瞬間。
六人目掛けて鉄の球のような物が飛んできた。
全員、それを難無くかわす。
「オイラ、雑魚には用が無いブヒ!強い奴はどいつブヒ!」
ポーキーより遥かに太った男。
「オイラの名はガーボンブヒ!」
ポーキーが身構える。
「走り抜けろ!」
ランジは叫ぶ!
ポーキーを除いた五人は走り出した。
「いいのかよ!アイツ一人残して!あんまり強そうにはみえねーぞ!」
ゼルはランジに訴える。
「俺達は天空騎士団。隊長クラスともなれば戦闘のスペシャリストだ。」
ランジは余裕の表情。
ポーキーを信頼しているのだろう。
「・・・他の隊員は合同で城の外壁を破壊している。こんなくだらない城、壊すのが一番だ。」
ジュリアはさらっと恐ろしいことを言った。
「オイラの魔石はメテオ。鉄に極めて酷似した性質を持つ物質を手から発射できるブヒ!」
ポーキー対ガーボン。
「俺の魔石はメリケンサック、怪王。一撃でおだぶつだぜ!」
ポーキーはガーボンに拳を振る。
しかし、ガーボンの手からは鉄球が現れる。
拳は、鉄球を破壊するが、勢いが弱まってしまった。
「お前のパンチは、無駄が多いブヒ!」
ガーボンはポーキーの顔面のすぐ前で鉄球を発射した。
ポーキーの身体は数メートル吹き飛ぶ。
「お前、弱いブヒ!」
コフル城の闘い、第一戦、ポーキー対ガーボン。
怪力を持つ二人の男が激突する!
次回 ガーボン対ポーキー