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第三十五話 「夢」

番外編なんかも考えましたが、それはまたの機会にします。

日が暮れる・・・。

山道を歩いていたゼルとルーナは、野宿をすることにした。



「何故だ!何故ジョーカーを殺したんだ!」

眼帯の男は、リデューに言った。

「弱い奴は組織の格を落とす。新入りが中々やるみてえだし、結構なことじゃねえか。」

リデューは笑う。


「てめえ・・・。俺はテメエを許さねえ!」



ゼルは夢を見ていた。

一つ目はジョーカーが死んだことで政府の人間が揉めている夢。

そして、もう一つは・・・。



暗い道を複数の人間が歩いている。

全員、顔を隠している。

先頭を歩いている人間を除いては。


その人間の名は、レオ。

ゼルの祖父だ。

「どういう事だよ、レオ!政府討伐作戦を中止するって!」

顔を隠している人間の一人が叫ぶ。


「まず、戦力不足なんじゃ。政府には、八個の救世の魔石を所持している。それに比べ、我等が持っているのは、ワシの持っている一つのみ。私は、自らの手で平和を実現するのは無理だと判断した。」


一斉に顔を隠している男達の口から、抗議の言葉が放たれる。

「分かっているのか!ここに来るまでに沢山の仲間が命を落としていることを!お前が背負っているのは、自分自身の命だけではない!数々の仲間の命も背負っているんだ!」


「彼等も分かってくれるだろう。戦いを続ければ、死者はさらに増える。そんなことは死んでいった仲間も望んではいない。」


男の一人が顔につけていたマスクを外す。

ゼルは、前の夢でこの顔を見ている。


(ジョーカー!)


「私はお前を許さない。よもやあのことを忘れたわけではなかろうな。お前をかばって死んだラミを・・・。」

ジョーカーは泣いていた。

「確かに、ワシが弱かったせいでラミを死なせてしまった。しかし、ワシにはお前を死なせないようにする義務があるのじゃ。それがラミへの償いじゃ。」


ジョーカーは、背を向ける。

「私は貴様を憎み続ける。力を手に入れたら、貴様の命を奪いにいくぞ。」



夢の舞台はかわった。

おそらく、ここはゼルが生まれ育った地、ライブ島であろう。


「私は、力を手に入れた。」ジョーカーは、前の夢と違い、ピエロの化粧をしていた。

「お主が政府に入ることなど、ラミは望んでいなかったはず。ワシは、お前を正してやる義務がある。」


レオは鉄製の棒を構える。「何だ・・・。救世の魔石を使わないのか?」


「うむ。あれは我が孫に託した。あの子はどこか不思議な力を持っている。救世の魔石も使いこなせるだろう。」


ジョーカーは目を大きく見開いた。

「嘘をつくな!お前に孫がいるはずがない!お前は・・・。」






ゼルは目を覚ました。

早朝だ。

「・・・くそっ、半端な所で終わりやがって。」

謎は増えるばかり。

じーちゃんに孫がいるはずがない?

どういう意味だ?

孫がいないなら、俺は一体なんなんだ?


「そろそろ出発しようか。」ルーナはすでに起きていたようで、身支度を済ませていた。


「炭鉱の街フォドスってのにはまだ着かないのか?」

「うん。まだまだかかるよ。まずは聖域の門を越えないと。」


「聖域の門?」


「うん。フォドスがあるカンパル地方は政府も入ることが出来ないほど他との交流を持たない地方なんだ。だから、出入りの検問も厳しい。私達は、強硬突破しないと駄目ね。」


「強硬突破って・・・。」


「まあ、出来るだけ無駄な戦闘は避けるべきね。」


二人は歩き出す。

「でもおかしくねーか。どうやって政府はボルノって奴と接触したんだ?」


アデムは確かに、ボルノは政府と何度か接触していると言っていた。


「私も研究所を調べたんだけど、ボルノさんって街の最高権力者みたい。」


そもそも、反政府組織に金を流している人間が、何故政府と接触しているのだろう。



ガサッ!

突然音がする。

二人は身構える。

「何だ・・・敵か!?」


小太りの中年男性が現れた。

「見つけたぜー!レオとアリエスの子孫!」


二人はさらに身構える。

「何でそれを・・・。」


「やっぱすげーな!あの人は!」

男は聞いていない。


「とにかく、力試しだ!かかってこい!」


「意味分かんねーよ!あの人って誰だ!」

小太りの男は手に何かをはめる。

メリケンサックだ。


「コイツはただのメリケンサックじゃねーぜ!魔石のメリケンサック、怪王だ!」


男は突進をしてくる。

「!無視か・・・!」

ゼルはレオを投げる。


しかし、分厚い脂肪によりレオは跳ね返ってしまった。

「がははは!俺の身体には物理攻撃はまともに通らねえぜ!」


ゼルはレオに言う。

(おい、レオ!力を貸しやがれ!)

しかし、レオからはあくびの音がする。

手伝う気は無いようだ。

(勘違いしてんじゃねーよ。あの時はタウロスに負けるのがしゃくだっただけだ。こんな意味の無い闘いに力を貸すかよ。)


男の動きは速かった。

ゼルは背後をとられる。


「ゼル!」

ルーナは叫んだ。



「何をしているんだい?ポーキー。」

突然の声を聞いて、小太りの男は身体が凍り付く。

木陰から、黒髪の痩せた男性があらわれた。


「君は説明をしなかっただろう。悪い癖だよ。」

痩せた男性はため息をつく。


「僕の名前はバリー。反政府組織の二番隊隊長だ。」












この男との出会いも、ゼルの運命を左右する。


次回 天空騎士団!

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