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第十九話 「幻想箱1 START」

また、展開速くなっちゃいました(笑)。

昼過ぎ−

国立総合研究所入り口に、ゼルとアデムは立っていた。本来なら一般人は立入禁止なのだが、門はすんなりと開いた。


「気味が悪いね。まるで僕達を歓迎してくれているみたいだ。」

アデムは爪を噛む。

「あいつ、確かゲームをするみたいなこと言ってたな。ルーナの命がかかっている時点でゲームもクソもねーけど。」

二人は研究所の敷地を歩いていく。


少し歩いて、アデムは立ち止まった。

「なんだ・・・。これは。」アデムの視線の先には搭が建っていた。

「ん?なんだこりゃ。展望台か?これがどうかしたのか、アデム。」

アデムの態度が少しおかしい。


「この塔、僕が偵察をいれた時点では存在しなかった。一体いつの間にこんな物を作ったんだ。」


二人は塔の近くまで行ってみることにした。

塔の入り口には、一人の男がいた。

全身銀色の服装。一目で変わり者か目立ちたがり屋だと分かる。

「お前達が、ジョーカーの言ってた招待客か?」

二人に気付いた男が話しかけてくる。


「俺はジョーカーの部下のジャックだ。よろしくな。」

ジャックはゼルがレオを発動しようとしたのを見て、慌てて制止した。

「ちょっと待った!俺はまだお前らと闘う気が無いぜ。」


「まだっていうのはどういう事だい?」

アデムは尋ねる。


「ああ。俺はお前達にゲームのルールを教えに来たんだ。」

「ふざけんな。俺達はここに遊びに来たわけじゃねーぞ。」

ゼルはジャックの態度にイラッとした。

「俺だって、ジョーカーの考えはよく分からないさ。ただ、お前らが自分と戦えるだけの実力があるか、試すつもりなんだろ。」

ジャックは頭を掻きむしる。

「いいか。お前らはこの塔の頂上、五階を目指していく。各フロアには数多くの仕掛けが施されている。五階にいるジョーカーを倒したらお前達の勝ちだ。ちなみに、いずれかのフロアには俺もいるからな。もし機会があったら、闘ってみたいもんだ。」


「一つ、質問をいいかい?」アデムが言う。

「この塔は一体何だ?僕が偵察をいれた時はこんな物は無かった。」


ジャックは説明するのが面倒臭いという顔をしたが、口を開いた。

「俺も詳しくはしらねーが、この塔自体が魔石なんだ。」

「何だって?」


「ジョーカーの持つ魔石の一つ、パンドラボックス。発動させると自分が想像したタワーを具現化することが出来るらしい。」

ジャックは入り口のドアを開ける。


「パンドラボックスの中では、支配者の提示するルールに従う事だ。」

そういって、ジャックはパンドラボックスの中に消えていった。


「僕達も早く行こうか。ただし、気をつけること。何が起きてもおかしくないからね。」



二人はパンドラボックスの中へ侵入した。



第一フロア−

二人は、目を疑った。

そこには、一面に自然が広がっていた。

川が流れている。

見たこともない植物が群生している。

まるでジャングルのようだ。

「やあ、よく来ましたね。」ジョーカーの声がする。

壁にモニターがついていて、そこにはジョーカーが映っていた。

「てめえ!ルーナを返せよ!」


「まあ、落ち着いて。取り返したくば、私のいる最上階までたどり着くことだね。それより、驚いただろ?それが一階のギミックだよ。」

「このジャングルも、君のパンドラボックスとやらで作り出されたのかい?」

こんな状況でも、アデムはいたって冷静だ。


「ああ。そうだよ。第一フロアでは、そのジャングルを抜けて、次のフロアへの階段を見付けだしてもらう。だけどそこには、昨日君達が闘った下僕達もいるし、さらには僕の部下も一名潜んでいる。」


「さっきのジャックって奴か?」


「違うよ。そいつの名前はエース。僕が、実験用に育てた人間なんだけど、予想以上に強くなってね。さらに、僕の作った薬の効果により、闘いに快楽を感じるようになっている。一筋縄ではいかないと思うよ。」

「てめえ・・・!人の命をもてあそびやがって・・・。」

ジョーカーは微笑している。恐らく、このフロアでゼルとアデムがエースという男にずたずたにされる事を想像しているのだろう。


ゼルは川に、二人乗れるくらいの大きさのボートがあるのに気がついた。

「準備がいいじゃねーか。おい、アデム!あれに乗るぞ!」

「そうだね。先に進むには川を行くのが効果的か。森には何がいるか分からないからね。」


二人はボートに乗り込む。思いの他、小さいサイズで、二人が乗り込むとぎちぎちになってしまう。

ゼルはオールを漕ぎはじめた。

しかし、ボートを漕ぐのに慣れていないゼルはうまくいかず、右に逸れてしまった。

「ゼル君!左だ。このままだと先に進めないぞ!」


「うっせーな!これって以外と難しいんだよ。」



悪戦苦闘すること約5分。何とか先に進めるようになった。

二人は、真っすぐに進むボートを見て少し安心した。

不意に、船底から何かがぶつかるような音がした。

最初は、気にもとめなかったが、立て続けに音がするのに、二人は不審に思う。アデムは、下を覗き込んで、息を飲んだ。

何と、巨大な魚がボートに突進をしているのだ。

何回も突撃されたボートの船底は、変形してしまっている。

このままでは、ボートが沈むのは時間の問題だ。

「どうした?何かいるのか?」

状況を全く理解出来ていないゼルはアデムに尋ねる。「ジョーカーの作った魚がボートに突進しているんだ!このままだと沈むのも時間の問題・・・!!」


アデムがしゃべっている途中、船体が大きく傾いた。おそらく、限界が訪れたのだろう。

二人は投げ出され、川に沈んで行く。










パンドラボックス一階で、いきなりピンチが訪れたのだった。


また、二人がパンドラボックスに入った直後、後をつけるように塔に入った人間の存在にまだ誰も気付いていない。


次回 エース出現

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