表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/60

第十七話 「ジョーカー」

初の一日に二話投稿です!あと、気付いたらユニークアクセスが千人を越えてました!ありがとうございます!

日はすでにくれ、月が光り輝いている。


ゼルは、自分がアデムに協力するべきかどうか、悩んでいた。

ルーナにどうするか尋ねた所、素っ気なく行かないと言われた。

ゼルは少し黙ったあと、ルーナに言った。

「なあ、ルーナ。やっぱりいこうぜ。政府はお前にとっても敵だろ。」

しかし、ルーナはゼルを睨んだ。

「それなら、勝手にいけば。あの自己中な人間の言いなりになってね。」


ルーナの言い方に、ゼルはイラッとした。

「何だよその言い方。俺は誘っただけだぜ。つーか、何でお前はそんなにピリピリしてるんだよ。」


「私はアデムが大嫌いなの!私の兄さんは、救世の魔石を守る仕事を誇りに思っていた!なのに、あいつはただ自分の勝手な考えで一族を抜けた!考えが気にくわないわ。」

ルーナはかなり怒っているようだ。


「家を継ぐかどうかなんて、強制されるもんじゃねーよ。お前の方こそ、自分の考えと俺の考えが違うだけで、なんで怒っているんだよ。自己中なのはお前の方だろ!」

その一言が、ルーナを余計に怒らせてしまったようだ。

ルーナは、自分のかばんを抱え、部屋の入口に行く。「おい、どこに行くんだよ!」

ゼルが、それを呼び止める。しかし、ルーナはドアのとってに手をかけた。

「あなたのことを信じて、ダンバーを出た私が馬鹿だったわ。私はあなたに協力するのをやめる!」

ルーナはそういって、部屋を出て行った。


「何だよ・・・。アイツ。」ゼルは呟いた。



ルーナは、暗い道を歩いている。

後悔していた。何であんなに怒ってしまったんだろう。

謝りに行くのも気まずい。行くあても無く、とぼとぼと歩いている。


「こんな時間に、どこへ行くんだい?」

アデムが木陰に立っていた。ルーナはアデムを睨む。アデムを嫌っているのは事実だった。

「どこに行こうと、私の勝手でしょ。」

ルーナは、素っ気なく答えて再び歩き出す。


「さっきのケンカ、聞こえたんだけどね。」

アデムはニコニコしている。ルーナは、その態度が気に入らなかった。

「本当に、僕は嫌われてるみたいだね。君みたいなかわいい子に嫌われるなんて、ちょっとショックだな。」

ルーナは黙っている。

「それじゃあ、僕の話をしたら、少しは機嫌を直してくれるかな。」



三年前−

カプリコーンの後継者がこの世を去り、新たな後継ぎを決めなければならなかった。

最有力候補だったのは、アデムの兄。知能、戦闘力共に彼に敵う者はいなかった。

後継ぎ決定の日−

誰もがアデムの兄が後継ぎになると思っていた。

しかし、実際に選ばれたのはアデムだった。

何故、アデムが選ばれたのか。真実を知るのは長老ただ一人。

アデムは、自らがカプリコーンの使い手になれることを誇りに思った。

しかし、アデムの兄は自分が選ばれなかったことに怒り、アデムを憎んだ。

そして、度々刺客を使って、アデムを殺そうとしてきた。

ある日、アデムは一族を抜けた。

救世の魔石を守るという使命を、兄に託して。



「正直、あの時の兄貴は見てられなかった。僕は、これ以上兄貴を苦しませたくなかったんだ。」

話し終えると、アデムは再びニコニコした。


「僕のこと、少しは分かってくれたかな?」

少し間が開く。ルーナは、アデムに頭を下げた。

「ごめんなさい!そんなこと知らなくて!」


アデムは地面に座った。

「君は、明日の闘いに参加するのかい?」


「ええ!ゼルにも謝らないと。それじゃあ、失礼します。」

ルーナがそういった瞬間だった。



突如、黒い影が三つ、ルーナに襲い掛かる!

ルーナは雷魔法で対抗しようとするが、反応が追いつかない。

アデムが右手の薬指にはめている魔石を発動し、刀を出現させる。

目にも止まらぬ速さで黒い影を斬った。

黒い影は地面に倒れる。


黒い影の正体を見定めようとしたルーナは思わず息を飲んだ。


その生物は頭は狼だが、体はトラのようなしま模様。さらに肩には白い羽が生えていた。


「この生物はまさか・・・。避けてルーナさん!」


暗闇から新たに生物が現れる。その数およそ三十。

全匹が、色々な動物を混ぜ合わせたような姿をしている。


アデムは刀を構える。

ルーナもムチを出現させる。


今度は、暗闇から人が現れた。その姿は、サーカス団のピエロ。

アデムは息を飲む。

「久しぶりだな、ジョーカー。」

アデムは刀をジョーカーに向ける。


「あなたは誰です?私は、あなたのような人物を知らない。ただ、研究所を襲撃しようという輩がいると知り、ここに来ただけ。」

ジョーカーの周りには、とてつもない殺気を放っていた。常人なら気を失うかもしれない。


「本当に覚えていないのかい?僕は、お前のくだらない実験の失敗作で生き残りさ。」


「分かりませんね。今までには数え切れないほどの実験をしてきましたからね。しかし、私は失敗作は全て処分してきた。生き残りなどいないはずですが。」


アデムの額には汗が湧き出ている。アデムが恐れるほどの人物らしい。


「あいにく、僕は生命力が強くてね。何とか君の悪趣味な研究所から脱出したわけさ。」

「アデムさん。失敗作って何の話?」

ルーナはアデムに尋ねる。

「僕が一族を抜けてすぐにね、この街を訪れたときに研究員に捕まっちゃったんだ。そして、くだらない実験に付き合わされた。僕はあの時は弱かったから、無駄な傷を負ったけどね。もう負けないよ。」


「さて、あなた達が我等の敵ということは分かりました。」

ジョーカーは口笛を吹く。それが合図となって、動物達は二人に襲い掛かる。


「さて、この生物達は、私の魔石で作った下僕達です。十分に楽しんでください。」












ジョーカーとの闘いの火蓋が切って落とされた。


次回 卑劣なジョーカー!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ