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第十三話 「出発」

ルーナの魔法 異国の魔法とは、別物のようだが、今のところ詳細は不明。アリエスの一族に、何代に一人かの割合で扱える者が現れる。

政府の服を着たその男


頭にかぶっていた帽子を外すと、そこには人間にあるはずの無い物がついていた。


角が生えている。

「何だよ・・・。あれ・・・。」

ゼルは驚きを隠せない。


「あれは、人間じゃないわ。ドワーフよ。」

ルーナは涙を拭いながら言った。


「人間じゃ無いとは、いささか失礼じゃないかね。お嬢さん。私は、人を越えた人だ。」


「お前・・・政府の人間だろ!何しにこんな所に来たんだ!」

「くくく・・・。この大会に忌まわしき魔石研究員の子孫が二人も出場していると聞いてね。」


場内は騒然としている。

「まさか・・・。あのガキも悪魔の子孫なのか?」

観客の一人が呟く。


ゼルに向かって、罵声が飛んできた。

「てめえも悪魔の子孫だったのか〜!ひっこめー!」

ゼルは怒りが溜まった。

「俺が子孫だったらなんだっつーんだよ。」


男は自分のヒゲをいじっている。

「アグレイト政府第241支部の隊長ボーネスとして、君達を放っておくわけにもいかんだろう。」


ボーネスは指輪型の魔石を発動した。光と共に、石は巨大な大砲に変化した。

「これが私の魔石、マジックキャノンだ。」


ゼルは大砲を見た瞬間、ゼルはルーナの手を掴み、走りだした。

「どこ行くの?」

ルーナはゼルに聞く。

「あの大砲がどの程度の破壊力かしらねーが、コロシアムから出ちまえば関係ないだろ。」


ボーネスは落ち着いた表情で、大砲を掴んだ。

「このマジックキャノンは、私が使うことによって、さらなる力を引き出せる!」

大砲が宙に浮く。ボーネスが持ち上げているのだ。

「何だよあの力・・・。魔石を使ってんのか?」


「違うわ・・・。ドワーフの最大の特徴は怪力!」


ボーネスはとても大砲を持っているとは思えないスピードで走ってくる。

ゼルとルーナはコロシアムを飛び出し、ガラガラになっている道路を走っていった。それをボーネスも追う。



10分後−

二人は追い詰められていた。右も左も前も壁で囲まれている。唯一壁の無い背後からは、ボーネスが迫って来ていた。

「もう、鬼ごっこは終わりなのかな。」

「ああ。逃げても意味なさそうだしな。」

ゼルの息は荒い。ルーナはゼルの体を支えていた。


ゼルが倒れそうなのも、無理は無かった。決勝戦では、ルーナを傷つけないように、気を使いながら闘っていた。そのため、必要以上にダメージを負ってしまったのである。


「さて・・・。ここでマジックキャノンを使えば、お前らは消し飛ぶ。」

マジックキャノンの砲口には光が蓄積されている。エネルギーを充填しているのだろう。

ゼルも、それに対抗しようとゼルを発動する。

しかし、チリチリと火花が散るだけで、炎は起きなかった。


「がっかりだね。あのリデューさんを追い詰めたと聞いていたから、期待していたのに。」


ゼルは、何とか炎を起こそうと試みるが、次第に火花すらつかなくなっていき、ただただ煙が上がるだけだった。

「くそ・・・!炎さえ起こせたら、こんな奴・・・。」

ゼルは歯ぎしりをする。


マジックキャノンから機械音がし始めた。

「ふむ・・・。どうやら、エネルギーは溜まりきったようだな。これで君達は・・・。」



光線が発射される。


ゼルがもう駄目だと目を閉じた次の瞬間−


光線の軌道はずれて、空へ飛んでいった。

小さな光になっていく光線を見て、ボーネスは唖然としている。


「な・・・。何が起きたのだ。私のマジックキャノンは完璧だったはず!何故軌道がズレた!」


「私の雷で、光線を打ち上げたのよ。それで、無理矢理軌道をずらしたの。」


ボーネスは不測の事態に混乱している。今まで全ての敵を一撃で葬ってきたため、こんな状況に陥ったことはなかったのだ。


ボーネスは後ずさりをする。

「よくやった・・・、ルーナ。トドメは俺が!」

ゼルは鎌を投げ付ける。


ボーネスの顔面に命中した。小気味よい音と共に、ボーネスの身体は宙に浮く。

「これで・・・。終わったな。」

ゼルは地面に腰を降ろす。

「ねえ・・・。これからどうするの?」

「そうだな〜。あんな騒ぎ起こしちまったらこの街にはいられないもんな。優勝賞金も望めないか・・・。とりあえず、政府に関係ありそうな場所に行って、情報を手に入れるしかねーか。」

ゼルは地図を広げる。これを見れば、国内の重要ポイントがある程度確認できる。

「ん・・・。ここなんかいいんじゃね?国立総合研究所。バナナタウンの中にある。」


「国立総合研究所って・・・。いいの?国の施設ともなれば、政府の人間がわんさかいるかもよ?」


ゼルはニッコリ笑う。


「まあ、いいだろ。いずれは衝突も避けられないんだ。少しでも、救世の魔石の手掛かりがあるなら、行くしかないさ。」

ゼルはバックに地図をしまった。


「交通機関は無いみたいだ・・・。仕方ないから、歩いて行くか。」


ゼルは歩き始める。

「そうだ。ルーナ、故郷にお別れはいいのか?」

ゼルはルーナに聞く。

「うん。ここには、何の心残りも無いから・・・。」

「そうか・・・。覚悟は出来てるんだな。」

「うん。私はゼルと一緒に旅をして、ホークを倒す!」





ゼルは、ルーナと言う心強い仲間を手に入れ、ダンバーをあとにした。


この時、ゼルは気付いていなかった。ルーナが言った「ホークを倒す!」

の真の意味を・・・。


そして、いよいよ政府も動き出す−

反乱を企てる者を、消すために−


次回 森の中で・・・

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