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第九話 「魔法使いガローネ」

ゼルは、その後の六試合を一撃で勝利した。

「これはすごいです!!全く無名のゼル選手、準決勝進出しました。すごいダークホースです!!」

審判も、相当興奮しているようだ。


どうやら、ルーナと当たるのは、決勝戦になりそうだ。

しかし、今までの相手のレベルから考えても、決勝戦進出は確定しているような者だ。


「あんたが、ゼルってえのかい?」

不意に、長身の男に話しかけられる。その男は黒い短髪で、迷彩柄のバンダナをしている。

「俺が、次のお前の相手になる、ガローネだ。よろしくな。」

「あんたが・・・。」

「この試合は、勝たせてもらう。俺には、使命があるからな。」

「使命?」

「あの忌まわしき魔女を殺す!!」

ゼルが驚いて口を開こうとした時、審判に呼び出された。


二名は、ステージに入る。「さあ、試合も後三戦!!勝ち残った四名は、相当な実力の持ち主です!!次の試合は、なんと二名とも、初参加!!全く予想が出来ない状態です!!ライブ島出身、ゼル選手対ボア王国出身、ガローネ選手!!」

「ふーん。あんた異国人だったんだな。」

「ああ。俺は、王国に伝わる魔法術を継承している。魔石などという、脆弱な力は使わない。」

「魔法術?魔石も魔法じゃないのか?」

「ふ。知らないようだな。お前達の闘い方は、魔石の本来が持っている力を引き出す所にある。一方、俺達の魔法術は、自らの身体に隠れている力を引き出す闘い方だ。」

「似たようなもんだろ。」

「まあ、大きく分ければ同じ部類に入るだろう。俺が憎んでいるのは、あの魔女の力だ。」

「!?」

「魔法の原則は、質量保存。消費したエネルギー分だけ、魔法が発動される。しかし、奴の力は、消費より完成後の方が、量が増加しているのだ。俺は奴を放ってはおけん。だから、殺すのだ。」

「何か・・・。よく分かんねーけど、ずいぶん自分勝手な奴だな。」


ガローネからは、異様なオーラが漂っている。長時間オーラを浴びていると、体がおかしくなりそうだ。


「それでは、準決勝第一回戦開始!!」


ガローネはぴくりともうごかない。

ゼルは、炎の鎌を投げ付ける。鎖はぐんぐん伸びていく。


しかし、ガローネの目の前で、レオの炎は消えてしまった。ガローネは力の弱まったレオを掴む。


「なるほど。これがこの国の魔石と呼ばれる武器。手にとるのは初めてだな。」

「てめえ・・・。今、何をしやがったんだ?」

「魔法の基本思想、八属性。ほとんどの魔法は、八の基本属性に分類される。炎、水、風、土、雷、樹、光、闇。それぞれの属性には、得意、不得意が存在する。どうやら、お前の魔石も例外では無いようだ。俺の水の魔法で効力を失った。」


ゼルは、ショックを受けた。レオの最大の特徴は炎をまとう事。それが使用出来ないとなると、レオはただの鎖鎌になってしまう。


「今、俺の周りには、目に見えない水の結界が張ってある。水障壁と言う魔法だ。普段は使えない魔法なのだが、お前には最適のようだ。俺の使う魔法が水属性だったというのが、お前の敗因だ。」

「ま・・・まだ負けたわけじゃねえ!!レオは、鎖鎌としての能力も、かなり高い!!」

ガローネは、懐からタバコを取り出し一服する。

煙はもくもく宙を浮く。


「てめえ!!やる気あんのか!!」

「試合中に何してんだ!!」

観客席から、ヤジが飛ぶ。「分かってね−なー。」

ガローネは呆れている。

煙は、ゼルの方に漂ってくる。煙たい。


しかし、ゼルは煙がおかしいことに気がついた。風向きから考えて、煙は反対の方向へ 漂うはずだ。


「まさか・・・!!」

煙は、次第に大きくなってゆく。

「言い忘れてたがな、俺は水属性の魔法のほかに、風属性と雷属性も扱えるんだ。」


煙は電気に変化した。雷の刃はゼルの胸部を貫く。


「・・・!!くはっ!!」

ゼルは呻き声をあげる。


「雷属性の最大の特徴は、相手の体に異常を起こす、いわば、毒の効果を持っていることだ。これで貴様は、少しの間視力を失った。」


目の前が何も見えない。

体が根をあげそうだ。


暗闇の闘いが、始まった。





続く


次回予告 決着!!ゼル対ガローネ

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