和美、アルバイトを見つける。の巻き
これはシナリオ風小説です。
なのでシナリオではありません、あくまで小説ですので・・・・・・。
〇商店街のT磁路(昼)
全面通行止めと書かれた看板の隣に立つ警備員宮崎和美(23)と、宅急便の運転手A(35)が 睨み合っている。
和美は百四十センチに届かない小柄な体型で、一生懸命両手に持った赤と白の旗を振って手旗信号 を運転手Aへと送っている。
和美手旗 「コ・ノ・ミ・チ・ハ・ツ・ウ・コ・ウ・ド・メ」
手旗を振る音がシャッター街となった商店街にに響く。
運転手Aが運転席から身を乗り出して和美を見下ろす。
運転手A 「お嬢ちゃん、いい加減そこをどいてくれないか? お兄さんはこの奥のお家に荷物を届けた いんだ。どてくれないとお兄さん怒るよ?」
手旗では通じないと判断した和美は手旗を腰の後ろに刺すと、自ら改造したライトを腰のベルトか ら外して運転手Aに向 けた。
運転手A 「うわ! 何だその強力なライトは。点滅させても無駄だ意味分かんねぇ、どけ! じゃない とひき殺すぞ」
和美は運転手Aの迫力に通行止めの看板を抱き抱えて道を空 けた。
トラックが勢い良く走り出す。
しかし和美は車を通すな、と言われていた事を思い出し又車 道へと戻る。
運転手A 「うわバカ!」
トラックと和美がぶつかる音。
跳ね飛ばされたのはトラックの方だった、トラックはそのままシャッターの下りた店へと突っ込 む。
運転手A 「な、なんだ? 一体なにが・・・・・・ガク」
運転手Aはエアークッションに突っ伏してしまった。
大きな音を聞いて工事関係者や近所の人が集まってくる。
和美 「あぁ、又怒られる。どうしようこの間片側通行で失敗した ばかりなのに。はぁ」
消防車と救急車が到着し運転手Aが助けられ、救急車で運ば れていく。
和美はそれを見ながらボーッと考え事をしていた。
和美の声 「せっかく自衛隊を退職して小説家になるために学校に通いながらバイトを始めたの に・・・・・・。なんで私の周りでは事故が多いんだろう」
そこへ和美の警備会社部長、佐藤幸樹(40)が走ってくる。
佐藤 「宮崎! ハァハァークッ、今度は何をやらかした!」
和美は佐藤に気付くと素早く腰から旗を抜き取るり、パタパタと振り始めた。(送信しますよ~)
佐藤 「宮崎何度言ったらー、まあいい、送信してみろ。ハァー」
あきらめ顔で溜息をつく佐藤。
和美の声 「この人は佐藤さんと言って警備会社の部長さん、私を
雇ってくれた人なの。見ためやせ形で背が高く、ヤクザ映画に出て来そうな恐い人だけど、私が 発する信号を理解してくれる人なの」
和美は又両手に持った旗で文字を描く。
和美手旗 「ホ・カ・ノ・シ・ゴ・ト・シ・ョ・ウ・カ・イ・シ・テ」
和美はゆっくりと両手を下ろす。(送信終了)
佐藤 「・・・・・・分かった、お前に丁度良い勤務先があるから紹介し てやる」
和美は手旗を地面に置くと今度は腰のライトを取り出して自分で付けたレバーとシャッターを動か して、モールス信号を送り出した。パシャパシャ!
和美発光 「ヤ・ッ・タ・ー・ウ・レ・シ・イ」
佐藤 「うわ、宮崎お前探照灯なんか作ったのか? 器用なやつだな。喜ぶのはいいが条件がある、それ はなー」