6→ステータス最弱
「ええっと、次はステータスについての説明かな」
神はそう告げて説明を続ける。
「知らないやつもいるだろうから言っておくけど、ステータスは自分の能力を表しているんだ。これから行く世界では人や獣、モンスターなど、全てがステータスという概念の元で数値化されている訳だ」
ステータスか、なつかしいな。日本にいた頃にやっていたゲームを思い出す。
今度こそ、これぞ異世界って感じだろうか?
「それで、自分のステータスを確認する為の方法を教えようと思う。
まず、自分の視界の中でステータスを表示する場所をイメージして、次に「ウィンドオープン」と、念じるだけだ。簡単だろ?」
神はおどけたような仕草をしながら言葉を閉めた。
言われた通りにやってみる。
視界の左端を意識して念じてみる。
ーーウィンドオープン
__________________
【関原 蓮斗 】(ヒューマン)
〔道化師〕Lv1
装備:無し
AP100
BP100
SP100
__________________
おお!
強いかどうかは置いといて、なんか感動する。これぞ、俺が異世界に求めていたものじゃないか!!
しばらく経ち、ほとんど全員がウィンドを開いたのを確認すると神はまた話し始める。
「みんな開けたみたいだね。えっと、左上に名前があるはずだから、その横が種族名、下にJobとLv、あと装備欄があるはずだ。APはアタックポイント、つまり攻撃力。BPはブロックポイントで防御力、最後にSPはスピードポイントで素早さだ。一応、全ての初期値が100で統一されていてJobの補正と装備補正、あとはLvを上げることによって強くなっていくということくらいか」
初期値が100か。どうやら俺には補正とやらがかかっていないらしい。
周りのやつらのステータスを覗こうとしてみた。まずは隣のやつから……
__________________
【ライ・オルフ】 (ヒューマン)
〔弓師〕Lv1
装備:無し
AP100(150)
BP100
SP250
__________________
……あれ?強くない?
いや、もしかしたらこいつが強いだけかもしれないし、他のやつも見てみるか。
__________________
【レテル】 (ヒューマン)
〔狩人〕Lv1
装備:無し
AP200(150)
BP100
SP200
__________________
ええっと……次だ次。
俺より弱いやつもきっといる。
いや、必ずいる!いてください!
__________________
【ライ・レヴィ】 (ヒューマン)
〔狂戦士〕Lv1
装備:無し
AP550
BP100(-90)
SP150
__________________
ちょっと待った、AP550って……チートかよ。
この中で俺が弱いのは分かった。
けど、流石に現地人(村人)とかには負けないよな。うん、流石にな。
満を持して神に聞く。
「ちなみに、あっちの世界の村人ってどれ位の強さな訳?」
「えっ?何でそんなこと聞くんだい?」
「強い、弱いの基準を知りたかったし」
「ああ、そんなことか。ちょっと待ってね。…………Lv1の村人だとこれ位だね」
そう言って神が開いたウィンドを確認して絶句した。
__________________
【ー】 (ー)
〔村人〕
装備:無し
AP105
BP110
SP105
__________________
ーー俺より強いぞ、村人!!
…………異世界の異世界に行ったら冒険者でもやろうと考えていたが、辞めとくか。こんなステータスでは戦いに行った瞬間、アッサリと墓標に眠ることになるだろう。
モンスターに負けたら喰われるだろうし、墓標にすら眠れないのか?
しっかし、これで生きていけるのだろうか。いや、村人と呼ばれる人達のように農作業でもしてのんびり過ごすか。
そんなことを思いながら、しばらくの間ウィンドを眺めていた。