3→化け物
何が起こったかはわからないが、俺が引きこもっている間に何かしらの出来事があったのは確実だ。
この惨事の手の掛かりや他の生存者を探す為に〈真眼〉を発動させる。
使うのは視界分割と遠視だ。
ーーこの辺りには何も無い。
「範囲を広げるか」
ーーーー!
範囲を広げた視界に、何かが写った。
生存者かと思ったが違った。
その生物の上半身は人型だったが、頭部に眼が複数あるし背中部分からは触手のような物が突き出ている。しかも、下半身はカマキリのようになっていて細い脚がズラリと並んでいる。
まさしく化け物。
「絶対あいつが原因だろ……」
そいつは現在、人だったであろう肉塊にかぶりついていた。
たぶん食事中だろう。こちらには気付いていないみたいだったので、今の内に出来るだけあの化け物から離れよう。
俺は化け物がいた東町と反対側に歩を進める。
これからどうしようか。
疲れない程度に走りながら考える。
幸いにも俺の家は無事だが、襲われるのも時間の問題な気がする。かと言って絶対に安全といえるような場所も思いつかない。
というか、何で俺の家は襲われなかったのだろうか。など、いろいろと謎が深まるばかりだ。
まぁいいや。答えの無い謎を解こうとするよりも、今どのように行動するかだ。
ーーぎゅるるるる……腹が鳴った。
「とりあえず腹減ったし、カップ麺でも探しに行くか」
こうして俺は西町の売店へ向かうことにした。