2→転生・人生
職に就いている時点で、ニートでは無いのではないかと思うが、情報屋というのはあくまでハリボテの職業、正式に認められている訳でもなく、小遣い稼ぎに始めたことが軌道に乗った結果である。
俺がやっている情報屋というのは、神から貰った唯一のスキル〈真眼〉によって物を探す、もしくは人を探すことだ。
話していなかったが、〈真眼〉とはこういうスキルだ。
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〈真眼〉
透視・視界共有・視界分割・遠視・明暗一触・目視鑑定・失明無効 の効果を合わせ持つ。
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簡単にまとめると、何でも見えるという感じだ。
俺は、このスキルを使って情報屋として稼いだ最低限の金の殆どを食費に回して家でゴロゴロしている訳だ。
この世界は娯楽が少ない。
城下町やコロシアムは中々面白いらしいが、PCやゲームなどの引きこもりの必須アイテムが無いのである。大抵の場合は、引きこもったところで早々に飽きて外の世界に出て行くこととなる。
それ故に、この世界には俺の様な人種が少ない訳だ。
だが、俺は違った。
〈真眼〉の効果の1つ視界分割をしたまま遠視を発動させる事で、自分はその場に居なくとも遠くで起こる事を楽しめたのである。
始めの内はコロシアムや、演劇場などに視界を飛ばしていたが、最近では魔王城を見て回るのがマイブームである。
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さて、話は現在に戻る。
起床した俺はいつも着ている赤いジャージに着替えると、真っ直ぐに台所を目指した。棚から鍋とカップ麺を取り出して湯を沸かす。
ちなみにこのカップ麺は、転生してきた日本人が伝えたらしい。
だいぶ昔の事らしいが、この世界で俺が産まれるよりかは前なのだろう。
補足だが、この世界の光源は魔法で確保されており、さすがにLEDライトなどというものはない。
魔法という概念があるだけで、腐っても異世界だというところか。
慣れた手つきでカップ麺を作り上げた俺は、空腹を満たす為に麺を啜る。
昨日の夜から何も食べていないこともあってか、10分もしない間に完食してしまった。
「ぐうぅ〜〜……」
腹の虫が鳴る。食べ足りない。
次のカップ麺を作るために棚に手を伸ばすも、その手は虚しく空を切った。
「あれ? だいぶストックしといたはずだけどな」
考えてみれば1週間程、外に出ていなかった気がする。
そういえば、外が静かな気がする。
まあいい。
「買い出しにでも行ってくるか」
財布の中に銀貨が数枚入っているのを確認すると、コートを羽織って外に出る。
「えっ……。何だよ、これ」
目の前にあったのは半壊した町だった。
俺の向かいの家が潰されている。
周りを見渡すと同じ様に潰れている家や、何かに焼かれた様にガラスが溶けている家もある。
道の所々には血痕が見られた。
少し進むと腕を見つけた。 助けを求めるかのように開かれていて、時間が経っているのか血の抜けた断面を見て吐き気を催す。
「本当、何が起こってるんだよ……」