1→俺の死因
「……ふぁああぁ……もう10時か」
日の光が入らないようにカーテンを閉じた部屋の中であくびと共に起床する。
自己紹介の為に説明しておくと、
俺、関原 蓮斗は異世界人。 又の名称を転生者と呼ばれているやつだ。
18年前、俺はただのサラリーマンだった。
漫画やラノベをよく読んでいたが、別にオタクと言われる程でもないし、ごく一般的な生活をおくっていた。俺自身もこの生活で満足だったと思う。
しかし、そんな日常も唐突に終わりを迎えた。
いつものように朝7時に起きて会社に出かけると、案の定、大型トラックが突っ込んできた。 俺はそれに轢かれて死亡……とはならなかった。
轢き逃げされたものの、近くにいた人が救急車を呼んでくれたらしく、緊急治療室へ運ばれたそうだ。
俺自身はこの時意識がなかったので、ここらの話は後で見してもらったことだがな。
とにかく、手術は始まった。
激しくぶつかったせいで、全身骨折。肋骨が心臓の手前まで来ていたらしく、それを取り除く作業だった。
医師が慎重に進めていく。
そんな医師が「メス」と言って右手で看護師からメスを受け取ろうとした時、悲劇が起きる。手を滑らせた医師がメスを取り落としてしまう。
落下していったメスが行き着いた先は、
ーーードシュッ……
「「「あ…………。」」」
俺の心臓だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
目が覚めたとき、そこには何も無い空間が永遠と続いていた。
目が覚めたとき、そこには何も無い空間が永遠と続いていた。
「やっと起きたか」
「……?!ええっと、ここ何処?」
背後から聞こえた声に振り返ると、そこにはシミひとつない真っ白な服を着た少年がいた。
「何処かって聞かれてもなぁ……しいて言えば天国……かな?」
「えっ俺、死んだの?!」
「まあ、そういうことだね。ほら、あれが君でお約束通りにトラックに轢かれてその後も色々と……」
そう言いながら少年が空中に手をかざすと映像が流れ出す。
ここで俺は自身の死を知った訳だ。
「んで、まぁ僕は君を転生させる為にここに居るんだ」
「おお!!それは夢があるな!」
「えーっと、オプションとして能力を一つあげるけど、どんなのにする?」
やったー!きたぁー!
これで俺は異世界で大手を振って楽しめる訳か!
「じゃあ、不老不死でお願いしゃっす」
「ん?無理。それ以外のにしとくわ」
「は?いや、無理って……」
「リソースが足りないんだよ。貰えるんなら何でも良いだろ?」
「いやいや、そんなことありますか?」
不満顔の俺をよそに神様らしき少年は淡々と作業を進めて行く。
しばらくすると目の前に巨大な扉のような物が現れた。
「先に言っておくが、異世界ってお前の考えている様な場所とは大違いだからな」
「えっ?夢と魔法のファンタジーじゃないのか?」
「いや、違うな。どうでも良いが、時間が無いんだ。行ってこい!」
「えっちょ、まっ……?!」
少年が俺を突き飛ばす。
そのまま俺は扉の中に吸い込まれていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そして現在、能力を貰って赤子からやり直すということで、今居る世界に名前そのまま転生した訳だ。
しかし、異世界と聞いて期待したは良いものの、神の言ったとおり実際には人類の生存圏は既に確保されていて、数年前まで魔物を束ねていた魔王までもが「勇者が怖い」とかいう理由で自分の城に引きこもっているらしい。
つまるところ、安心・安全な異世界であるが故に、胸躍る冒険や戦闘などが無いつまらない世界だったわけだ
ーーーーそして現在、17歳になった俺は、自立したニートになっていた。
気分転換に投稿を、と思っていたのでペースはバラバラですが、面白いものが造れるように頑張ります!
初心者ですが、どうぞよろしく!