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実体験[1]

 最初にも申しましたように、古沸妖は赤城図書館の学芸員でありながら館主の守護霊やら指導霊やらと呼ばれる存在ですが、霊界の出来事を基準にお伝えする事はありません。

 あくまでも館主の現世体験が元になっております。

 「心」だって現世体験から何なのかすっかり分かってしまうのです…へっへっへっ…お客様、嘘だと思います?

 じゃあいきますね、ただ館主は特殊な体験をいくつもしているのは確かですが…。


 えーっとアカシックレコードの00000024564324番、ピピッとね。


 20歳の時ですな、大学生で四畳半の下宿に一人で住んでいた。

 そしていつも敷きっぱなしになっている煎餅布団に寝ていた、深夜の事です。その日は疲れていて電気をつけっぱなしにしていたんですな。

 自分の部屋のドアの向こうに、廊下を挟んで別の学生が借りている部屋がもう一部屋あるという間取りでした。何やらいつもと違う感じがして意識をしっかりもつと、部屋の天井が見えた。でもいつもといる場所が違うんです。

 ──天井すれすれに浮いている。

 そのままドアを開けて廊下に出るといつもと同じ廊下で暗い、でもいつもと違う、やはり天井すれすれに自分が浮いているんですな、これだけだと何のこっちゃただの夢でしょうと思います、館主もその時そう思った。

 そして再び部屋に戻ると、散らかった部屋の中にはいつもと同じように、コタツ机に、座椅子、昨日食べたコンビニの弁当箱、畳に散乱したレポート用紙など、寝る前のそのままの状態の部屋の様子が、天井すれすれから見てるので、俯瞰ふかん(高いところから見下ろすこと)で見えるんですな、勿論電気はついている。

 俯瞰ふかんで見ると「きたねーなー片付けなきゃ」と思いつつ万年布団を見たら自分が寝ているんです、気持ち良さそうにすっかり寝ている。

「やばい、帰れなくなる、俺は死んだのか?」と思って焦りに焦った。

 その瞬間ジェットコースターが急坂を落ちて行くときの感覚って分かります?

 加速度がついて心が置いていかれそうで、グワーンって落ちて行く感覚、それが襲ってきて視界が真っ暗になると肉体に何かが戻ったんです。

 そして、目を覚ました。

 汗びっしょりで、目を覚まして見えたのはいつもと同じ視界で、見えていたのは勿論、天井です。


 ──はい、幽体離脱ってやつです。

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