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あなたの常識がくつがえる「学芸員古沸妖の妄想宇宙論」  作者: 赤木 爽人
6.人はなぜ生きるか?
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受け取った事[2]

 けどここで考えて頂きたいのは、現世の仕事で誰かのためにしていない仕事なんてありますか?

 車を作っているのは買う人の為、警備員は家なり道路なりを安全にする為、その先には他人がいる。

 お医者さん、教師、販売、一見人から離れているようにみえる基礎研究職だって、その先には不特定多数の人類の為、農業だって同じ、フィギュアを売ったって同じ、プログラミングだって、ゲーマーだってゲーム好きの楽しみなり目標なりになっている。水商売だっておなじでしょう。

 その中には善悪があるのは確かです、でも誰もが誰かの為に動く事が基本じゃありませんか?

 仕事は必ず他人の為に何かをしてるんです、それが本来の働く意味なんですな。

 もちろんお金の為でもあります。じゃないと家族が生きていけない。自分が生きていけない。自分が家族が生きる為に誰かの為になる仕事をする。

 ──そう、決して一方通行ではない、これが社会の根本的な仕組みだとは思いませんか。


 ──おっと、話を戻しましょう、とにかく少女の周りには少女を中心にして、愛を与える光景がありありとみえるでしょう。

 少女の生きる意味はそこにあります。


 ──愛を受け取る事です。


 少女は多くの人の「利他愛」を受け取っているし、少女がいるからこそ周りの人々も「利他愛」を差出せる。

 ただ本人の魂が、前世の因果でこういう生まれをしたのか、はたまた、究極の状態で生まれて魂を成長させたくて選んだのか、周りの人たちの学びの為にそういう境遇を選んだのかは誰にもわかりません。

 だけど、こうした究極の状態で「生きる意味」を考えるととてもシンプルなんですな、そう「利他愛」だけを学んでいる。

 少女が人間の究極の状態で利他愛を学んでいる以上、健常者も同じように利他愛を学んでいなくてはおかしいのです。

 なぜならこの少女は「愛」を受ける事しかできない、他の事は自らの意思ではできないのですよ、健常者は自らの意思で動く事ができる、それだけ行動範囲が広がるわけですが、魂が何かを目指して同じ方向を見て向上しているとすると、お互いの人生に目的となる共通項がないといけない。

 ──この場合、「利他愛」しかないのです。

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