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あなたの常識がくつがえる「学芸員古沸妖の妄想宇宙論」  作者: 赤木 爽人
6.人はなぜ生きるか?
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ある少女との出会い[6]

 『この子が生き続けること』


 ──それが私たちにとって全てです」


 お母さんは穏やかな表情を一切崩さず、そう言った。

 この質問で十分だった。


 あとは何も聞けないと思った。


 そうして感謝の意を伝えると帰ることにした。

 すると、帰りがけにお母さんは言った。

「この子はあなたに会えて大変喜んでいます。こんな事ははじめてです、近くに来たら是非たち寄ってあげて下さい」

 館主は再び大ショックでした。その子にはお母さんだけが感じとれる「感情」つまり「心」がある。

 脳がダメージを受けて全く思考ができないのに、体を全く動かせないのに心をお母さんに伝えている。

 確かに、お母さんが若い館主に気を遣って言ったようにも受け取れますが、その時は気を遣ってるふうでもなかったんです。

 考えてもみて下され、はっきり言ってこの親子にしてみてば、邪魔者ですぞ、興味本意で取材にきて、使われもしない事をわかりつつ、取材に応じて。

 聞かれたくもない事を聞かれて、でも、館主にとって意味がある事、と思ったからあからさまに答えてくださった。

 ──その言葉を真摯に受け取ったからこそ、少女も「喜んだ」

 それをお母さんに伝えた、どういう方法を使ったのかは館主には全くわからないがね。

 ええ、ええ、古沸妖にはその方法はわかってますよ勿論、でも現世で生きる人間に説明するのはちと難しい。

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