ある少女との出会い[2]
「はーい」
ドアノブが回され中からドアを開けてくれた、それから何十年たってもその光景は昨日の事のように覚えていると館主はいいます。
丁寧に挨拶をして玄関に入った、お母さんは四十代であろうか? ──実年齢は定かではない。
細身でどちらかというと小柄なお母さんだった。
お母さんが館主にいった。
「お昼時にごめんなさい介護の写真を撮らせてほしいという事だったので、食事くらいしかお見せできないと思いまして…」
「食事くらいしか…」──館主は疑問に思ったが、真意はわからなかった。
「こちらこそご無理を言ってすみません」
お母さんは微笑むとスリッパを出した。
「どうぞ」
館主は出されたスリッパを履くと、短い廊下を歩くお母さんについていった。
そして、白いドアが開けられリビングへと入ったのです。
お母さんは12歳の娘に声をかけます。
「◯◯ちゃんお客様よ東京都の取材だってすごいね!」
「今日は」
元気に館主は声をかけます。
──白いドアの向こうのリビングの中心に、女の子は車椅子に座り背を向けるように庭をみていた──と思った。
しかし、返事はなくピクリとも動きません。