ある少女との出会い[1]
──じゃあ赤木館主のアカシックレコード
000004311456357279097番。
ピピッとな。
それは27歳の時ですな、その前にお客様、ここはかなり重たいですぞ心して下され。
館主は昔映像業界でアシスタントディレクターをしていた。いわゆるADですな。
東京都福祉局の仕事で、若者の為の介護のビデオを製作するために、出演者候補の12歳の障害者とその家族に一人で会いに行った──いわゆるプレインタビューってやつです。
出演者候補の実態を取材して、今回の制作意図に合うかどうかを調査する作業です。
どうしてその家族が対象に選ばれたのかは今もって不明だが…でも出会いには深い意味があった。
その日はお母さんと本人が話しを聞かせてくれる事になっていて、自宅にお邪魔した。
12:00丁度にお母さんとアポイントをとって、介護の様子を写真に撮らせてもらい、お母さんに介護の内容や苦労話などを聞く事になっていた。今とは違ってスマホやデジカメなどはありません、フィルムカメラとノートと筆記具が取材アイテムだった。
──約束時間5分前になって玄関前にいき呼び鈴をおした。