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第三話 下らない喧嘩

 事は一週間前に遡る。

 俺の元に一人の男子クラスメイトが話しかけてきたんだ。

 そいつとは特に仲が良いわけではなく、話したのだってこれが初めてだった。

 名前は確か………笹屋だったか?

 そいつは俺に愛叶(えと)と仲が良いのか、それを聞いてきた。

 俺はもちろん即答した。

 そしたら笹屋は愛叶を紹介してくれと頼んできやがった。

 愛叶の事を好きな俺は丁寧且つ辛辣に断った。

 だって、嫌だもの。

 俺の方が絶対愛叶の事を想っている自信がある。

 まだ確認していないが、愛叶だってそうだ。きっと。

 言葉は違うが、それに近いニュアンスで笹屋にも言ってやった。

 そこで喧嘩になりそうだったから、笹屋から愛叶を諦めさせることにした。

 我ながら頭悪い方法だと思ったよ。

 愛叶の悪い所を三十ヵ所くらい言ったところで、タイミング悪く愛叶が後ろにいたんだ。

 しかも悪口を言い出した所から聞いてたらしくてな。

 俺が愛叶の悪口を言いふらしてるって誤解されたんだ。

 それから愛叶とはあまり話せていない。

 さっきみたいなスキンシップは多分条件反射みたいなもんだよ。

 俺は愛叶と仲直りしたい。

 そして、想いを告げたいんだ。

 なあエルミカ。

 どうにかなるか?



「くっっっだらないな」


 俺の話を黙って聞き遂げ、ようやく発した言葉はそんなものだった。


「下らないってなんだよ。

 こっちはそれなりに悩んでるんだぞ」

「君達は小学生の喧嘩をしているんだぞ」


 自覚はある。


「でもなぁ、このままじゃ勇者活動に身が入らないなぁ」

「………どうすればいいんだ」


 無表情だった頃のエルミカは成りを潜め、今や困惑の表情ばかりをするようになった。恐らく俺のせいだ。


「まずは仲直りからだな。どうしたら仲直りできると思う?」

「知らん。

 私と君達では個体の差が違いすぎる。

 私としては何故異性にそれほどまで興味を示しているのかがわからない」


 んん?


「天界の使いには性別はあるのか?」

「天界には様々な種族が住んでいるが私達の種族は半永久的に存在し続けることができるために生殖機能は必要ない。

 故に性別という概念はない」

「お前、不死だったのかよ」


 ぶっ飛んでいてよくわからないが、それならこの傲慢な話し方にも納得だった。


「しかしなるほどな。

 お前達からしたら興味以前の問題だったな。 まったく参考にならない」

「………君という男はいちいち気に障るね」

「悪かったよ。

 思わぬところでお前のこと聞いたけど、少し興味がでてくるな。天界のこと」

「天界は神聖で高貴な世界だ。

 人間風情が立ち入られる場所ではないよ」

「そんな言い方すんなよ、腹立たしい」


 エルミカと話していると、何故だか煩わしくなってくる。

 そんなこんなで何も対策を練ることなく、放課後を迎えてしまった。



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