真の救世主と別れ
長谷くん頑張れ!お前はもっと頑張れる!
騎士団長さん長谷くんに手加減お願いします。
俺の目の前には絶望が広がっている。反面、奴等には希望が広がっているのだろう。これで九条が救えたと。そんな身勝手な理由で人を、クラスメイトを殺した。こんな奴等が何で救世主と呼ばれている?何で親友を奪った国を救わなくちゃいけない?親友一人守れない俺に沢山の人々を救えるのか? そんなことはどうでもいい。
マサトキを殺した奴等が憎い。マサトキを虐めた奴等が憎い。マサトキを馬鹿にした奴等が憎い。目の前の奴等を殺したい。俺の頭は復讐することしか考えられない。
だって仇を討つと親友と最初で最後の約束をしたからだ。
「見ろよ!マサトキの最後。無様に飛び散ったな」
「くはははは。本当に面白い。何でかなマサトキの死体は気持ち悪く感じないな」
「九条。仇はとった。お前を苦しめる奴はもういない」
「マサトキは私が殺したよ。誉めて!」
「俺の幼馴染みを傷付けたからこうなったんだ。ざまぁみろ」
「小僧め、死んだか。全く気に食わぬ奴だったな。だが、これでようやく顔を見ないで済むな」
「任務完了ですね。これで臨時ボーナスが貰えます」
美空は大粒の涙を流している。
「マサトキくん!まだ私の気持ちを伝えてないのに!あの女が邪魔をしなければ助けられたのに!」
そして美空は決意をした。
「私は例え死のうとも必ず約束を守る!敵を殺す!絶対に!正時くんの私を見守っていてね。」
「すまないマサトキ。俺にもっと力があれば」
「お前の事を忘れない。すぐにお前の元に九条達を送ってやる!」
マサトキの味方をした俺達は殺される。だから約束を果たすのは今しか無い!俺は殺される恐怖心を切り捨て親友の仇を討つことにした。
「覚悟ォォォ!マサトキの仇!」
俺が剣を抜くと俺に続いて、美空とクラスメイト8人が剣を抜く。 「マサトキは何も悪くなかったんだ!お前らは狂っている」
俺達10人がクラスメイトと騎士団に立ち向かったのだ。
「無駄な事を」
「美空さんまでどうして!やっぱりマサトキが--」
「違うわっ!元々私の意志よ!マサトキ君を奪った奴等は私がこの手で葬ってやる!」
俺達は一斉に飛び掛かった。
この人数差と圧倒的に強い騎士団には手も足も出ないだろう。だが、それでも俺の覚悟は揺るがない!
「死ね!バルト!」
「殺れるものなら殺ってみろ!」
バルトと剣でつばぜり合いになれば確実に負ける。これは隙を狙うしかない。
縮地、このスキルで所見殺しを狙うしか、俺に手札はない。
縮地を使いバルトの後ろに回り込み、剣を首目掛けて振る。バルトが咄嗟に前に右回り受け身で避け、
「しまった!」
「死ね!小僧!」
ステータスの差は大きい。俺の物防は負けるのは必然だ。バルトの剣が遠心力をのせ俺の腹を切り裂いた。
「うがぁぁぁあ!」
「糞っ!俺は、俺はまだ!」
「クズめ」
バルトの剣が俺の腹を貫通した。
「ぐふぁ!俺は、オ……レ」
俺の口と腹からおびただしい量の血が出る。これが、俺の血の色か
「ふんっ」
ダナスが剣を降り俺を投げ捨てた。
地面を赤く染めながら転がる。
他の皆も騎士達に殺されていた。
斬首され、腕が切断され、
魔法で黒焦げにされ、足が切断され、首を折らた。そうして一人、また一人と死んでいった。
皆は勝てない相手に死を恐れず、一人の友人の為に奮闘し、本当の救世主として死んでいった。
「正時くんをよくも!よくも!よくも!お前達ののせいで!」
「黙りなさい!マサトキと一緒に九条君をおかしくした貴方も同罪よ!ここで死ね!」
「そうよ!」
「九条君をたぶらした女狐め!」
美空は魔力を全て使い三人の女子に対抗した。
「ファイヤースクリュー!」
だが、同じ力を持つ相手三人に勝てるわけもなく。
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーウィンド!」
「ファイヤーランス!」
美空の魔法は打ち消され、炎に飲み込まれた。
「ぎゃゃゃゃ!」
人が燃えた臭いが漂う。
「正時くん……ごめんなさい」
こうして美空が息を引き取った。ダンジョンは容赦なかった。突然ダンジョンの壁が崩れ、中から行方不明の九条が痩せ細った姿で出現した。九条は目を開き此方に気がつくと走り寄ってきたが、変わり果てた美空を発見すると顔から血の気が引いていった。
「おい!皆!これはどういう事だ!美空が美空が何故こんな目に!」
「九条君無事だったんだね!」
「九条くんは女狐に何かされたんじゃ無いかなと思って殺したの」
「私達頑張ったの。誉めて誉めて」
「九条殿、無事であったか」
「九条か!良かった!」
「マサトキは殺したぞ!」
それを聞いた瞬間九条は女達に怒り狂った。
「お前らぁぁ!美空を美空を!大切な俺の美空を!」
九条は剣を女に深々と刺した。
流れ出た血が体を伝い地面へと血溜まりをつくっていく。
「どう…して。---くじょうくん」
膝から崩れ落ち血溜まりの血が飛び散る。
「ひいぃぃぃた、助けてぇ!」
「何で!私達悪いことしてないのに!」
九条のレベルが上がり、チートスキルの効果が発動した。これによりステータスが100倍された。九条の目が逃げる女を捉え女達に一瞬で追い付き首を跳ねた。
頭を失い、血が噴き上がる。彼女らは同時にその場に崩れ落ちた。
「九条!貴様のせいでマサトキがぁ!」
「あの真っ赤にバラバラになったのが加嶋か。美空を奪ったあいつのことがずっと憎かった。殺したかった!」
マサトキの潰れた頭を何度も何度も踏む。
「ゲフッ、俺達が死んでもマサトキはここで終わるような奴じゃない」
「いや、終わる。あいつは無能だ。それに目の前に死体が、ゴミのように散らばってある」
騎士団長もこれに反応した。
「戯れ言を。まだ生きておったか。目の前で死んだであろう。現実を見ないから貴様も小僧も貧弱なのだ。貴様も小僧の所へ送ってやる。さぁ!死ね!」
バルトは剣を振り上げる
ああ、遂に死ぬのか。すまないマサトキ。俺は約束を守れなかった。俺が死を覚悟した瞬間、轟音が響き渡る。
それは俺の目の前に着地した。砂ぼこりが晴れるとそこには日本の主力兵装である、JEaCSの戦闘スーツが現れた。こいつは正時に違いないと俺の直感が言っている。
その外見は、顔はフルフェイスヘルメットで覆われ、空気を排出するだろう管が頬の部分についている。体はゴツゴツしていて、関接部には稼動域を広げるためだろう1ミリの板が連結している。胸の部分にヘルメットと同じように管が沢山ある。色はどちらも黒で、頭は少し明るい。腰の部分にはマガジンをしまうポケットが二つだけ着いていいて、そのポケットから背中のバックパックに繋がっていることが、スーツの膨らみからわかる。武器をバックパックに付けている。
腕の内側の部分にはソードが出てくるであろう装置がある。日本の精鋭隊のシンボルである赤丸のマークが肩にペイントがしてある。
突然全ての管が持ち上がり、大きな音を発して空気を排出した。
この音で現実を思い知らされた。再び痛みが帰ってくる。
騎士団長は未知の物体に目を白黒させていた。
「長谷、お前の名前は何だっけ?」
「お れ は ゆう き ハセユウキ!」
ああ、そうか、こいつは俺の名前覚えてなかったのか。まったく最後までこいつらしいや。
「そうか、勇気。約束守ってくれてありがとな。もう、楽になって良いぞ」
ああ、そうしよう。おやすみマサトキ。
こうして長谷勇気、神田美空含め10名が真の救世主として正時の為に王国に抗い戦死した。
長谷くんと美空さんお疲れ様でした。
この先出番はありません。主人公は創造スキルで生き返らせるとかしません。変人ですから。
自分が長谷くんだったら生き返らせろと騒ぎますね。ついに出た!未来兵器!九条は仲間を殺してレベルアップ!外道ですねー。
騎士団長の名前間違っていました。正しくはバルトです。すみませんでした。
では、次回お楽しみに!