死への入り口
こんにちは。チキンソルジャーです。今回はグロい描写入ってます。注意してください。ユーザー登録されてない方でも感想を書けるように設定しました。
俺達はダンジョンに向けて二週間自由に訓練した。そして遂に、今日がやって来た。俺は創造スキルのレベル上げに部屋から出ずに没頭した。
部屋から、スキルを使えば情報は入って来るので、クラスメイトや王様まで何をしているのか全てわかる。例えば美空は俺のパンツでやらしいことをしたとか。相変わらず九条は見つかっていないらしい。
さて、今回のレベル上げの成果を見せよう。
創造 lv 5
ユニーク級のスキル創造可能
液体の創造可能
D 級魔物創造可能
レジェンドスキル創造可能
固体の創造可能
C 級魔物創造可能
ファンタジースキルを1つ創造可能
知識中の物5つ創造可能
Z級の魔物1体創造可能
上から二つずつレベルが2,3,4,5の時それぞれ得られた効果を表示している。
俺のレベル上げのせいで城全体を苔が覆い尽くして、近くの森の木々までも緑に染まった。ついでにリアちゃんの部屋も苔だらけにしてあげた。これはパンツの仕返しだ。後日仕返しの仕返しなのか、苔をまたコーヒーと言って出して来たのでお尻を叩いてやった。
皆装備を整え城の中庭に集まっていた。そこで、
バルトが何時も以上に真剣な顔つきで口を開いた。
「救世主殿。初めて実践の戦闘をすることになったダンジョンは始まりの町オリジの近くにある。出てくる魔物はゴブリンが中心だ。今回は万が一が有ってはということで、この俺騎士団長バルトと騎士団員10人が引率しよう。では、王様よりありがたいお言葉がもらえるようだ。失礼のない様に聞けよ」
中庭へ王様が騎士達と姫を引き連れ噴水の前にある椅子に腰掛け、話を始めた。
「先ずは、救世主殿の初出陣を祝おう。召喚されてから三週間よくぞ訓練に励んでくれた。この訓練が今日に活かせると教官達はさも喜ぶであろう。だが、油断は禁物だ。いくらゴブリン程度のダンジョンでも魔族が現れないとは限らない。九条殿の失踪は魔族が関係していることも否定できん。だから十分注意して欲しい。万が一、魔族が現れても無闇に挑まないことをここに約束して欲しい。最後に活躍に期待している」
演説が終わると王様の後ろにいたフィリアが前へ歩み出てきた。九条といい感じになっていた胡散臭い女だ。
「皆様、初出陣にお祝い申し上げます。救世主様は確かにお強いです。ですが、お父様が仰った通り、クジョウ様は二週間前から行方不明です。私は魔族が拐ったのではないかとずっと考えておりました。そんな中、皆様がダンジョンに潜るのはとても嫌な予感がします。どうか全員無事に帰って来ることを願っています」
フィリアはクジョウのことをずっと心配していたのだろう。目には隈ができていることから嫌というほどわかる。勿論、読心をつかっているが。
言い終わると目に涙をため城へ走って行った。見送るべきだと僕は思うのですが。だって見送りぐらいしなきゃ拉致被害者を戦地に送り込むのと何ら違いがなくなってしまうじゃないか?俺にとって戦場はゲームであり、楽しみであるのだが。因みに九条は生きているよ。良かったね姫様。だがよそいつは
「俺が殺す獲物だ」
あーやべぇアドレナリンが出てきた。ゲームを、戦場を思い出す。まだか、まだかと俺の腕が震える。
「王様、では出発します」
「うぬ、救世主殿を頼んだ」
「心得ております」
城門が重い音をたてながら開いていく。この世界に来て肉眼で初めて見る町の風景が飛び込んできた。
「すげぇ俺の苔が目立ってるな」
はい、ごめんなさいこれもレベル上げの為です。文句はレベル制を付けた管理者に文句いってください。カスタマーセンターには一生繋がりませんが。
「中世の建物ってこんなに苔が生えてるんだなぁ」
長谷が話し掛けてきた。
「ああ、そうだな。ビックリしたよ」
そこへリョウスケとダイキが俺へ接触してきた。
「おい!お前が九条に何かしたんだろ!」
「正直に言えよ!」
馬鹿だなお前ら。俺のステータスは九条よりも低いし何も出来ねぇよ。偽装しているが。
「アホか。俺は九条よりもステータス低いし、誰よりも弱い。こんな俺に何か出来るとでも?」
「くっ、そ、そうだけど。お前しか九条に恨みあるやつは思い付かねぇよ」
「やっぱりお前が一番怪しい!」
はい論破。最弱ってある意味最強だな。コイツらはキルリストに載っているぞ。殴って俺を馬鹿にした罪は重い。馬鹿にすれば全員死罪にする程俺にはプライドがある。ゲームでは俺を馬鹿にして煽ってくる奴を自分のサーバーに呼んで、武器を打ち壊して足が動かせないように弾丸を浴びせてから馬乗りして殴ったり、高周波ブレードで目を潰したりして恐怖を植え付けてやったこともある。それ以来奴はゲームに姿を見せることはなかったな。
「お前ら勝手に寄り道すんなよ!」
とバルトが声をかける。コイツも既にキルリストに入っている。他にも俺を馬鹿にしたクラスメイトは多数いる。
今度は九条に惚れている女が因縁付けに着たようだ。確か名前は…マヤ?かな。
「マサトキ!あんたが私の九条くんをどっかにやったんでしょ!死んで詫びなさい!」
「俺は何も出来ねぇよ。リョウスケとダイキに同じことを言ったが、ステータスが誰よりも低い俺が手も足もだせやしねぇよ。それにお前は俺が九条達に殴られているのを笑って見ていたクズの癖によくそんなことが言えるな」
そう、こいつは殴られる俺を笑っていたクズ女だ。
「お前と九条と取り巻きが俺に死んで詫びるべきじゃないのか?」
と言って俺は笑った。その顔は戦闘の顔をほんの僅か出した程度だ。
「ひぃぃぃ!た、助けてぇ!」
あーあだらしない女だ。これくらいで漏らすとか戦場では生きていけないな。でも俺の目の前で漏らして腰抜かされると悪く思われるから逃げてくれて助かったけど。
そこへ長谷と美空がやって来た。
「よぉ、マッキーまた振ったのか?」
「マサトキ君。さっきの子を振ったの?でも、すごく怯えていたように見えたけど」
「いや、振ってもないし、告白なんかなかったぞ。ただ相談に乗ってやってな。あまりに俺が良いこと言うものだから嬉し泣きしてたんだよ。相談中に友達に呼ばれて急いで戻った、それだけさ」
「ふぅーんマッキーが相談に乗るなんて珍しいな。もしかして興味あんの?」
美空の眉間が動いた。
「興味なんかないし。あんな子供に魅力を感じるなんてこと俺に出来るわけがない」
美咲の眉間がさっきより大きく動いた。
「そのー、マサトキ君は高校生でも子供だと思ってる?」
「ああ、そうだな。人によるな」
美空さん半撃沈!
「マサトキ君の馬鹿ぁーー」
美空よアディオス!
「あーあやっちまったな。追い掛けなくていいのか?」
「ああ、いいさ」
あいつ明らかに俺でも追い付けるように走っているし、ここは追い掛けない方が面白い。
(マサトキ君、私を追い掛けて捕まえて)
ほらね。まぁ、リアちゃんなら追い掛けたかもね。
そんなこんなアホやっているうちにどうやら町を出ていたようだ。街門通ったか?
「救世主、ここからは魔物が出てくるから油断するなよ!」
出てくる魔物はFランクばかりで強くてもDランクだな。進んで行き、ダンジョン近くの森に入ると
「魔物だ!戦闘準備に入れ!」
言ってるそばからてできたな。フラグでも立てているのか?
皆は初めての魔物で驚いているようだ。
「ランクDのスピードウルフだ!これはお前達には手に負えん。俺達騎士が対処するから下がっていろ」
スピードウルフ。こいつは5,6匹の群れで行動し、人間や魔物を襲う。だが、こいつは単体でDランクで、群れだとCランクにあがる。こいつらの連携はランクCの魔物でさえ仕留めるのだ。またスピードウルフはランクEのフォーリンウルフの進化した魔物で名前から察せるように速力が高くなった魔物だ。
「ウァオーーーーン!」
あ、仲間呼ばれた。
「う、うぁぁぁこっちに来るなっ来るなっ!」
どうやら冒険者が向こうの方に居たらしい。鑑定でランクはEとわかった。俺達と同い年で、レベは10だ。
スピードウルフの呼んだ仲間が、冒険者を獲物だと勘違いして、とばっちりを喰らったようだ。
ウルフの狩りを見ていると、森の木々を素早く駆け抜け、冒険者の死角から忍び寄り飛び掛かって首筋を狙っている。コンビネーションも見所で一匹が派手に冒険者の前で暴れ注意を釘付けにさせ、他の4匹が襲っているようだ。
「う、うぁぁ!た、助け…て」
どうやら生命力が尽きたようで、最後にウルフが首を半分程噛み千切ったようだ。冒険者の首から大量の血が吹き出し、血溜まりになっている。そんな中、ウルフは勝利の遠吠えをしていた。
「冒険者が食べられている間にこの一匹を仕留めるぞ!」
騎士団長の言葉に皆は唖然とした。
「どうして助けないのですか!」
騎士団長は厳しい顔をして
「冒険者ギルドは国に属さない。だから冒険者は国民ではないため、我々が助ける義務はない。彼はこの事に納得して冒険者登録のサインをしたはずだ。救世主殿、どうだ?これが、この世界の常識だ」
クラスの皆はバルトの言っていることが正しくて言い返せず悔しそうな顔をしている。
それより、仲間が来てくれないウルフが不憫なのだが。これからアルファ王国の精鋭十人以上に虐められるからな。
「キャイン」
「セイヤッ」
騎士が犬を空中に蹴り飛ばし抜刀の推力を活かして一刀両断した。ウルフは胴体から真っ二つになり地面に赤い華を咲かせた。
これにはクラスの皆に効いたようで
「う、き、気持ち悪い」
「うわっ魔物ってゲームみたいに光になって消えないのかよ」
「お母さん、大好きな真っ赤なチューリップだよー。ウフフ、ウフフ」
精神力が0になって気が狂っている奴もいる。お前ら毎日肉食べてるから平気だと俺は思っていたがな。
どう見てもただ、血が付いていて新鮮なだけで、スーパーのお肉と何ら変わらないだろ?全くだらしない連中だ。戦争が有ったのはたった9年前なのにこいつらの神経おかしいよなー。
「お前達。まだ、冒険者の遺体が餌となっている。この隙にダンジョンへ一気に行くぞ!」
ダナスが気が狂った奴を掴んで走り出したのをみて、護衛の騎士達と俺達はその後に続いた。
十分位走っただろうか、そこにはダンジョンの入り口らしき物が見え始めた。
「あれが目的地のダンジョンだ。気を引き締めろ!」
皆の顔が強張り緊張感が漂う。先程の冒険者の事を思い浮かべているようだ。
「では、入るぞ。(それにしても去年来た時よりダンジョンが近い気がするな)」
ダンジョンに足を踏み入れるとゴウゴウと音をたて踏ん張らないと飛んでいきそうな程の強風が襲ってきた。
(やはり何かおかしい!)
「皆急げ--」
ダナスが異変に気付いたときには時既に遅く。
ダンジョンの入り口が締まっていき、完全に閉じ込められてしまった。その瞬間地面がダンジョンの奥へ傾き皆はダンジョンの奈落の底へ落ちて行った。
「何だよ!ダンジョンがこんなに動くなんて聞いてないぞ!」
「ダンジョンは普通動かない!こいつは異常だ!皆離れるなよ!風魔法で落下の速度を落とせ!さもなくば地面に叩きつけられるぞ」
「お、俺は風魔法なんて出来ない!た、助けてくれぇ!」
「無能の小僧がっ!貴様はずっと気に食わなかった。地面に叩き付けられ死ぬがいい!」
「畜生!誰か!誰か俺に風魔法を掛けてくれ!」
皆は俺を見捨てようとしている。多分助けようとする奴は皆に阻止されるだろう。
「くじょうくん!私が守るから!キャッ!」
美空の体を4人掛かりで押さえ付け、
「マッキーは俺が守る!俺に掴まれ!」
「おい!こら何しやがる!離せっ!」
長谷も押さえられた。
他の奴も助けようとしてくれたが皆押さえ付けられてしまった。クラスの内の10人しか味方はいなかったようだ。今になって人と疎遠であったことに俺は後悔した。
「ふっ、顔が良いからって調子乗るからだ。死ね!」
「九条君の仇!」
「美空さんを独り占めした罰だ!」
「俺の幼馴染みを振って悲しませた。お前は最低のクズ野郎だ!死んで当然だ!」
「や、止めろ!お前ら!マッキーが何をしたってんだ!何もしてないだろ!お前達がしているのはただの嫉妬だ!」
「正時くんに、近づいたのは私で、正時くんは一切悪くない!離して!本当に正時くんにが死んじゃう!」
「お前ら!離せ!お前らがしていることは正時への嫉妬からの復讐で、何も正しい理由はない!こんなことして誰が喜ぶ!?」
「そんなの決まっているじゃない九条くんよ!」
「親友の仇だ!アイツが何かしたせいで九条がいなくなったんだ!これは当然のことだ!」
ああ、地面が見えてきた。これはヤバイ!かなりの滞空時間だから相当高いな。俺の物防でもこれは耐えられない。確実に死ぬ。絶体絶命か。
「騎士の皆さん助けて下さい!」
「……すまない。王命により助けることは出来ない」
「それに、王女様も貴方の死をお望みだ」
「あのクソ王族がぁぁぁ!」
目測で後、100
「死ねぇぇぇ!マサトキ!」
90
「九条くんに死んで詫びなさい!」
50
「嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!正時くんのこん な、こんな最後は嫌だ!」
20
「マッキィィィィーー俺達は親友だ!必ず、お前の仇を死んでもとる!絶対だ!約束だ!」
10
「ああ……頼んだ」
「いやぁぁぁぁ----」
俺がここで死ぬとは。
0
マサトキはダンジョンの地面へと叩き付けられた。超高度から叩き付けられた肉体は原型を留めておらず、頭は破裂、胴体、腕、足は全て千切れ、地面を真っ赤にしながら飛び散った。それはまるで腹一杯に血を吸った蚊の潰れた様だった。
まさかの主人公死亡。次回どうなる!九条は何処に消えた?
動くダンジョンも不思議です。
次回話は長谷くんと美空さんが好きな方にはきついかも。できれば見ない方が
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