7.秘密兵器
7.秘密兵器
良介は名取を連れて瀧沢の倉庫に顔を出した。入口の辺りに折りたたみ式のテーブルが二脚、立てかけてあった。良介は名取と二人でそれを屋上まで担ぎ上げた。テーブルを立てると持ってきた袋からかき氷の機械とカートリッジのガスコンロ、そしてたこ焼き器を取り出した。
「これやるんですか?」
「そうだよ。その辺でも売っているけど、ここでやったら盛り上がると思わないか?本当ならバーベキューでもやりたいところだけれど、道具の持ち込みが大変だからな」
「いいじゃないですか!これはみんなも喜びますよ…。あっ!それで氷をこんなに買って来いと言ったわけですね。」
「そういうこと」
そして、たこ焼きのネタも大きなタッパーで二つ用意してもらっていた。
「あと、そこのスーパーでシロップウを買って来てくれ」
「何にします?」
「任せるよ」
名取がシロップを買って戻ってくると、良介はたこ焼きの試し焼きを始めた。金櫛で流し込んだネタをひっくり返す。子供の頃、家でよくやったので割とうまくできた。
「日下部さん、僕にもやらせてもらっていいですか?」
「ああ、いいよ」
名取が見よう見まねでやってみる。最初はうまくできなかったのだけれど、すぐにコツをつかんだようだ。
「これ、楽しいですね」
「そうだろう!じゃあ、たこ焼きはお前に任せるよ」
「分かりました!」
花火が始まる30分前。純と優子がやって来た。
「うわー!たこ焼き!美味しそう」
優子がすぐに名取のところへやって来た。
「これ、名取君が作ったの?」
「はい」
「本当?すごーい。ねえ、これ食べてもいいの?」
「どうぞ!」
「やった!」
優子は早速、たこ焼きを頬張った。
「美味しい!」
優子が喜ぶのを見て名取はご満悦だ。
「私はかき氷を貰おうかしら」
純はそう言って良介の横に並んだ。良介がクーラーボックスから氷を取り出して機会にセットした。サラサラの氷がカップに落ちていく。
「シロップは?」
「イチゴ」
「やっぱり、かき氷にはイチゴだよな」
「良ちゃんもイチゴが好き?」
「うん」
良介が自分と同じものが好きだと聞いて純は何となく嬉しくなった。
「良ちゃんのは私が作ってあげるよ」
そう言って純は良介がやったのと同じように氷を削ってイチゴのシロップを掛けた。
「はい」
良介はそれを受け取って一口食べた。
「やっぱり、イチゴだよね」
10分前には岡島と瀧沢が上がって来た。
「何もいらないって言うのはそういう事だったんですね。それなら、うちに鉄板がありますから持ってきますよ。焼きそばやトウモロコシもやりましょう」
瀧沢がそう言って倉庫の方へ下りて行った。
入れ替わるように、続いて井川もやって来た。そして、小暮は二人の子供を連れてきた。
「おう!やってるな!」
井川は満足そうにあたりを見渡した。
「さすがだなあ!遊びの段取りにかけては日下部の右に出る者は居ねえってな」
「なんですか?それ」
「いや、お前のことは本社でも評判だからな」
「そうなんですか?」
「ああ、みんな柳瀬の受け売りだけどな」
「井川さん!」
井川にそう言われて純は慌てて井川を窘めた。
ヒュー…。ドーン!
ちょうどその時花火が始まった。
「たまやー」




