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聖奈美ルート・トスト(31)
「もう……吹雪こそ、大学で他の女の子のほうに行っちゃったりしないでよ?」
「心外だな。俺が聖奈美以外の女の子のほうに行くと思うか?」
「……返しが全くさっきのあたしと一緒ね」
「それに口調も、ちょっと聖奈美っぽくしてみたんだが……似てたか?」
「口調だけはね? でも、声は全然だわ」
「そりゃあ、俺は男だからな。声まで完璧にってことは無理だわ」
「でも、時々いるじゃない? モノマネ芸人とかで、七色の声を操るような人」
「いるな。どうやったらあんな声が出せるんだろうか。どれが自分の本当の声なのか分からなくなったりしないのかな?」
「それは大丈夫じゃない? 何も意識せずに、普通に話せばいいだけなんだから」
「そうか、そうだよな」
「……何だか話がおかしな方向にいっちゃったわね」
「おおっと、すまない。とにかく、絶対に他の女の子のところになんか行かないから、安心してくれ。俺は聖奈美だけのもんだから」
「あたしだけのもの……すごく、良い響きの言葉だわ」
「キュンとしたか?」
「ええ、かなり。……もちろん、あたしは吹雪だけのものよ?」
「――うん、キュンときた」
「ふふ♪」
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