聖奈美ルート・トスト(28)
[場所:帰り道]
「――はぁ、勝利した後のトロピカルジュースは美味しいわ~♪」
「……………………」
「吹雪~? 大丈夫~?」
「何故だ、何故練習を積んだというのにあんな結果に……」
「たまたまよ、たまたま」
「――のわりには、かなりにこやかな顔してるじゃないか!?」
「そりゃあ、練習を積んだ吹雪に勝利できたんだもの。それなりにあたしも実力があるんだってことになるでしょ?」
「お前も、こっそり練習してたんじゃないのか?」
「そんなことないわ。だって、仕事でゲームセンターに寄ってる時間だってないんだから」
「久々にやった相手に、負け越してしまうとは……まだまだ修行が足りないってことか」
「挑戦なら、いつでも受け付けるわよ」
「見ていろ! 次は、聖奈美に勝ってみせるからな!」
「ええ、成長した吹雪の姿、楽しみにしてるわ」
「――聖奈美の、一口飲ませておくれ。何味だったっけ?」
「オレンジとキウイフルーツをミックスしたものよ。じゃあ、吹雪のも飲ませて」
「ああ、俺のはシンプルなパイナップルだ」
お互いに交換して飲む。今更間接キスなんてものでは動じることはない。
「うん、スッキリして美味しいわ」
「聖奈美のも美味い。二つのフルーツの良い所が前面に押し出されてる」
「そうね。――もう少しで、フルーツの組み合わせもコンプリートできるのよね」
「お、ついにそこまで辿り着いたのか?」
「ええ、チョクチョク足を運んでは飲んでたから。ちょうど、会社の方向にあるからね」
「気づけば、聖奈美のほうが店に足を運ぶようになったよな」
「ええ。どうしてもっと早く、こんな美味しいものを今まで飲んでなかったのかしら? って思ってるわ。それを取り返そうと今は頑張ってるわ」
「教えた側としても、そこまでハマッてくれるなら嬉しいもんだぜ」
「教えてくれてありがとね」
「いやいや、お礼を言われることではないよ」
……………………。




