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聖奈美ルート・トスト(26)
「……どんな風に、あたしは吹雪の元に寄っていけばいいのかしら?」
「聖奈美の思うままに、こっちに来ればいいさ」
「…………それっ!」
聖奈美は勢いよく、俺の広げた腕の中に飛び込んできた。それをガッチリホールドする俺。
「この姿、会社の人に見られたら一巻の終わりね、あたし」
「そうなのか?」
「一応、会社では厳格なイメージを持ってもらえるように振る舞ってるから。今のこの姿を見たら、きっと悪い薬を飲んたのかしら? って勘違いするでしょうね」
「そういうもんなのか?」
「結構、イメージって、仕事では大事なステータスなのよ。吹雪も、勤めてみたら分かると思うわ」
「なるほど。――つまり、今目の前にいる聖奈美を知ってるのは、俺だけってことになるわけだな?」
「そうなるわね。これからも、あなたにしか見せないつもりだけど」
「おお~……何て幸せな言葉なんでしょうか」
「喜んでもらえた?」
「ああ、喜ばしいことだ。だから、頭を撫でちゃうぞ」
「ふふ♪」
嬉しそうに笑う聖奈美。この笑顔があれば、何だってできそうな気がするな。




