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05.【潜入調査】

[潜入調査]


 この適切なアドバイスをくれる優秀な人選は俺の希望で半分位は仲間に出来るなどと信じてはいなかったがプロデューサー白鳥冴子の仕事と西園寺グループの力は確かだった。



 どれ程のお金がかかっているのか少し武者震いがする。


 そしてプロデューサー白鳥は地方から無名の新人女優『結城 ミオナ』を連れてきた。


 この少女が今回の主演女優だ。


 一応他の適当な映画タイトルを仮としてでっち上げオーディションを行ったが彼女以外に考えられないと思わせるズバ抜けた演技だった。


 オーディションは有名な楠木芸能プロダクションのイケメンの若い男の子相手の演技だった。


 ミオナは頭脳明晰でイケメン相手でも落ち着き、違和感なく演技した。ハニカミかたも演技なのかわからない自然さで女優としての演技も子供とは思えない才能の持ち主だ。『隠れた天才はいるものだ』と改めて思わせる優秀な仲間となった。


 セリフを一発で覚えどんな演技も上手い。彼女を嫌う人などいるのだろうかと思わせる好感の持てる印象を醸し出している。


 おそらく俗に言う『女優脳』を持っているだろう。


 慎太郎の通っている学校も西園寺系列だが、その影響力がどれだけ凄いのかが改めて認識出来た。転入でも教師の交代でもなんでもやりたい放題だった。


 クロノマオウ女史の言う通り細かなオリジナルの設定を確認する為にミオナを慎太郎のクラスに転入させ慎太郎に接触させた。


 またカメラマン鈴木義光の甥で中学生の弟子も同じ学校に転入だ。


 同じクラスの菅生ケンジが友人役だ。


 彼は撮影が好きで良く映像を撮っているという設定だ。


 後で彼も合流させその後はセミドキュメンタリー映画(作品で言えばグルービーフィールドのような臨場感溢れるもの)に出来れば良いかと思う。


 菅生も結城ミオナのプロフェッショナルな姿勢を見て驚き直ぐに対応した優れた人材だ。


 八田探偵事務所の所長八田から探偵のイロハを学び、既に菅生ケンジも結城ミオナもあらゆる探偵テクをマスターしている。


 今は俳優と言う肩書きよりも能力の方が重要だしまだ特に演技はいらない。


 二人共少し年上だが、友人としてほぼ違和感はない。


 これは慎太郎の『中ニ病』の設定を詳しく聞き出す為にだ。


 これをやっているだけでもスパイ感満載だ。

 これだけでもかなり楽しい。


 彼女達には大西先生とマオウを付け毎日レクチャーを受けている。


 結城ミオナの方はこれだけでなく、マジシャンのマギ京司郎にマジックのレッスンを受けていて既にプロマジシャンの域だ。


 勿論演出はこの俺。


 現実味のない話なんか一発でバレる。


 だが俺に任せろ!


 これまでのレポートでは案の定、慎太郎は時折怪我をしていないのに腕に包帯を巻いて来たり眼帯をしたりして登校するらしくクラスでかなり浮いているようで友達はいなかったが、そこは俺の演出と天才美少女女優の演技力を信じるしかない。


 勿論この撮影もしている。隠しカメラをあらゆる場所に忍ばせているんだ。スパイ感満載で内容もかなり面白い中二病の日常が撮れているがその話は別の機会にでも紹介しよう。



 異世界の街を建設するために待機している大森組のエンジニア達は一日でも早く開始したいと気が気ではないようだ。既に多くの資材は揃っている。


 他のプロフェッショナル達も固唾をのんでこの作戦の先行を見守っていた。



『中ニ病』の厄介な異なる設定を分析する為に慎太郎がハマっているゲーム、これまでに手に入れた書籍(と言ってもラノベばかりだが、、、)や視聴した番組やネット履歴から心理学的に解析してもらいある程度の傾向は既に掴んでいる。



 中西博士のアドバイスに基づきクロノマオウ女史が言うには『ハイデリアの騎士』か『異世界トンデモハーレム』がベースではないかと予想している。


 細かな設定を子供が思い巡らす為には設定が雑なゲームよりもラノベの方が影響されやすいからだそうだ。


 ベースとなる世界観のようなものがあり、そこに個人が思い巡らす憧れが願望として入り込むらしい。


 やはり「中二病」というのはかなり厄介だな。


 つまりはベースにのってはいるがオリジナルの設定だ。


 マオウのよれば中二病の設定は困った事に他のアニメからも都合のいい部分を取り込み「俺だけ特別」な絶対者としての気持ちの良さを楽しんで想像する事もあるのだそうだ。


 設定がブレては色々と破綻すると思うがそこは所詮ミームから子供の考える事だろう。


 慎太郎のハマっていたゲーム『ユークリッドオンライン』は現実離れし過ぎ何か所も破綻しているので誰もがこれがベースでない事を願っている。


 成瀬女史はお煎餅を摘みながらこれらの漫画をずっとニヤニヤしながら読んでいた。


 俺もこれらのラノベを読んだがもしもそのまま映画化するなら『ハイデリアの騎士』がいいかなと思っていた。


 まあ100%同じ世界でなくとも異世界は作れるだろう。


 まあ『慎太郎のガキ』、いやもとい、このプロジェクトでは『勇者』呼びだったな。の想像力なんてものはそれまで得たミームを子供なりに解釈したものでしかなく大した事は想像出来るものではないはずだ。


 しかし気が気じゃないのは俺も同じだ。


 この段階で失敗したら全てがおじゃんだ。


 頼むぞミオナ!



◇◇◇◇◇


 学園に潜入した主演女優ミオナの演技はほぼ完璧だった。


 潜入させた二人は直ぐに慎太郎の友達になり、ようやく聞き出す事に成功した。


 しかしここで恐れていた事が起こった。


 勇者(しんたろう)の頭の中はゲームがベースのかなり理不尽なものであることが判明した。


 俺達のSF作品は良く『科学技術検証』を成瀬らの科学者にやって貰う事があるがこれらもラノベやゲームとは言え作品なのに何故科学技術検証を行わないのか本当に不思議で困った話だ。


 成瀬によれば『破綻し過ぎて検証不可能だからじゃない』と言っていたが科学検証を行わないそれを実現する方の身になるとは、、、とほほ。


 どうやら慎太郎の前世はゲームに出て来る(架空の)ガウレリア王国の王に仕える魔法剣士だったらしい。


 このゲームは主人公が一万年修行(ゲーム内では五分位)して強くなる。仲間の聖女は考えた薬を作り出せると言うトンデモ作品だ。


「一万年修行したら人類は進化しちゃってるわよね」(成瀬)


「時間が止まってる設定なんだよ」(クロノ)


「時間が止まってたら心拍がなく脳に血液もいかないし筋肉も一切成長しないわよね」(成瀬)


「主人公だけ動いてる」(クロノ)


「そんなに心臓が持たないし他の臓器もそんなに長く持たないわね。何を食べてるの」(成瀬)


「何も食べてないと思う」(クロノ)


「夢以外にあり得ないおバカ過ぎる話だわね。こっちの聖女は薬の入れ物はどうなるのよ?」(成瀬)


「思った物を何でも思い通りに作れるんだよ。その容器も凄くて大きなガラス容器を作ってドラゴンを閉じ込めたのもあるよ」(クロノ)


「何からガラス容器を作るの?」(成瀬)


「何もないところから」(クロノ)


「じゃあ地球と同じ質量の容器を作って」(成瀬)


「えっ?」(クロノ)


「思い通りなんでしょ。地球と同じ質量の容器を、、、」(成瀬)


「聞こえてるよ」(クロノ)


「それは崩壊するんじゃないか?」


「ロシュの限界を越えた時点でそうなるけど無からだとエネルギー保存しないの法則になるわね」(成瀬)


「その辺で勘弁してくれ。ゲームだろ。中二病なんだからこれも科学技術検証をやってないだけだ。しかしこう言うおかしな設定は無視しないと破綻するな。この登場人物はどんななんだ?」



 魔王と戦い姫を助ける際に惜しくも死んでしまい日本に慎太郎として『転生』したという設定なのだそうだ。


 これらを聞き出すのにミオナ達をもってしてもかなりの時間がかかった。


(聞き出すのに結構あざとく進めたがその話も面白かったので機会があればみんなにも紹介出来るかと思う。だが今はそれどころではない)



 俺は全ての集めた才能をとことんまで使い尽くし準備する。


 慎太郎がはまってたゲームの中身を詳細に確認した。


 中世ヨーロッパっぽいが所々都合のいい部分も多いな。なんだこれ、、、とほほ。


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