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23.【ここは、俺達に任せて先に行け!】

※『異世界中二病プロジェクト』本日も副音声は()でファンタジー肯定派のクロノマオウ女史、ファンタジー否定派の成瀬女史、SF映画監督の神谷でお届けしています。


「あ、あなたはジャッカルさん」(ミオナ)


「ミオナちゃん、ぼくの後ろに! な、何ですか!?」(慎太郎)


「そう、警戒するなよ。昨日迷惑掛けちまったわびにその依頼俺達が手伝うぜ」(ジャッカル)


「えっ!」(慎太郎)


「どうせ場所も判らないんだろ」(ジャッカル)


「いや、マップがあるから、、、」(慎太郎)


 想定外の返答に固まるジャッカルのガリウス。

 


 (不味い。『ミオナ! 頼む!』)



「慎太郎くん。場所だけじゃなくてこの辺りも詳しいからお世話になりましょうよ」(ミオナ)


「うん、そうか、そうだね」(慎太郎)


「じゃあ、お二人ともお願いします。まだこの辺りをよくわからないので途中で教えてください」(ミオナ)


「そ、そうこなくっちゃな」(ジャッカル)


 4人で冒険者ギルドの裏へ向かい。少し歩くと森の中へ入って行く。



 (あやうく、また力也さん達の出番がなくなる所だったな)


 (ちょっと勇者の判断が変わってきたんじゃないの)(成瀬)


 (確かに。自主性のように見えるな。大西先生は良い傾向だと言うけどな)


 (うーん、おかしい。絶対におかしい。中二病だったのに、、、)(クロノ)


 (『力也さんもう少し先です。ミオナも行くぞ! 3,2,1 アクション!』)



 わっ!

 

 先を歩いていたジャッカルの相棒へリルが横に飛んだ。勿論スタントだが、足に弓矢が刺さっている。これは元々付いていた弓矢をスイッチで音と供に立てる仕掛けだ。



「敵っ!?」(ミオナ)


「あぶねぇ!」(ジャッカル)


 ジャッカルがミオナと慎太郎の前に立ち塞がる。


 ジャッカルの左肩に弓矢が刺さる(勿論これも同じ仕掛けだ)

 

 ぐわっ!



「ジャッカルさん!」(慎太郎)


「大丈夫ですか!?」(ミオナ)


「どうやら、猿煕(エンキ)のお出ましだ」(ジャッカル)


「猿煕(エンキ)ってなんです?」(ミオナ)


「厄介な猿の魔獣だ。剣も弓も使う」


 数名の悪役組合ジョッカー&スタントチームイービルの誇るハイレベルスタント役の名優達だ。


 着ぐるみは最小限で動きやすいコスプレになっている。


 魔獣の歩き方などを演技をしながらのスタントは実際至難の技だ。


 茂みからガサガサと音がして鳴き声が響いた。


 ウキィー、ウキィー!


 音響の恐ろしい声がこだました。


 

「大丈夫か!? へリル!」(ジャッカル)


「こ、これくらいなんでもねーよアニキ」(へリル)


 足から弓矢を抜き足を引きずる。抜いた箇所からは血が滲んでくる。



 (良い感じだな。『次行くぞ! アクション!』)



 弓矢の飛んできた方向(実際には飛んでないが弓の向き)と逆の茂みから両手を挙げた猿煕(エンキ)が出てきた。


 迫真の演技とサウンドが響き渡る。


 その位置から両足跳びで飛び出してきた。


 数匹のエンキが飛び出してきて入り乱れ、背中側の隠れたワイヤーアクションも使い、あり得ないレベルのアクションスタントを繰り広げる。


 ほんの少しだけウインチの音が聞こえた。


 ジャッカルが剣を抜き切りつけるが猿煕(エンキ)が早過ぎて間に合わない。


 ビュン!


「くそっ! こいつら素早いから俺じゃ無理か!」(ジャッカル)


 セリフと共に勇者(しんたろう)をチラチラと見る。


 4匹の猿煕(エンキ)がまるで忍者のようにあちこち動き回り立ちはだかる。


「どうすんですアニキ」(ヘリル)


 チラチラ。



「慎太郎くん。私がスロー魔法を掛けるからその隙に勇者スラッシュを!」(ミオナ)


「判った!」(慎太郎)


『~イグノサレス レンテ ムーバ~』(ミオナ)


 適度な効果音が響き、高速に動いていたスタントチームがいきなりスローな動きに変わった。


 洗練された完成度高い演技だ。



「慎太郎くん! 今よ!」(ミオナ)


「おう! 勇者スラッシュ!」(慎太郎)



 慎太郎が聖剣で凄くゆっくりになった猿煕(エンキ)を切っていく。


 切る場所はそう切るであろう位置をわざと開けてある。


 腕を左右斜めに広げ袈裟懸けに切れるようにしたり、両腕を上げおなかを切られたりするようなポーズだ。


 そしてその、狙い通りに慎太郎が切る。


 切られ役としても悪役組合のメンバーは超一流だ。


 切られた瞬間、また高速移動の時のように早くなり、血を吹き出して後ろへ飛ぶ!


 ズシャッ! ブバッ! ズシャー!


 テッテレレー。


「やった、またレベルアップだ」(慎太郎)



 (力也さん達のチーム。これはかなり凄いスタントね)(成瀬)


 (ああ、スタントチームの彼らはあれで飯を食ってるからな。オリンピック候補も何人もいるんだぞ)


 (でも、なんか本当に本物の魔法にかかってるっぽいよ)(クロノ)


 (そうだな。このシーンはリハに一番時間が掛かったからな。しかし確かにこれは上出来だな)


 (でもちょっと明るいから勇者スラッシュの光の筋は良く見えなかったね)(成瀬)


 (まあ、それはあれだ。後で映像でどうにかするよ)



 最初に現れた4匹の猿煕(エンキ)は倒した。



「あ、ありがてぇ。助かったぜ!」(ジャッカル)


「ありがとやんした」(ヘリル) 


「なあに、たいしたことじゃ、、、」(慎太郎)


 ウキィー、ウキィー!


 やや遠くからまだ声が聞こえる。

 


「まだきやがるな。二人共。ここは俺達に任せて先に行ってくれ。この先に鉱山がある」(ジャッカル)


「えっ! ジャッカルさん」(ミオナ)


「いいから早く行けっ!」(ジャッカル)


「わ、わかりました。慎太郎くん」(ミオナ)


「でもミオナちゃん、ぼくらなら簡単に、、、」(慎太郎)


「行くわよ!」(ミオナ)


 ミオナはちょっと強引に先を急いだ。


 ミオナがジャッカルとヘリルに涙をみせないように背を向ける表情がアップで映った。


 

 (おお、良いシーンだ!)


 (勇者(しんたろう)が核心的な事を言っちゃいそうだったけど、、、)(成瀬)


 (よ、よし、次行くぞ!)



◇◇◇◇◇


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