日常 1
フィクションです。本当にフィクションです。本当です。ほんとに。
「おはよー、なぁ、課題プリント写させてくれ。」
「また忘れたのかよ。懲りないな、お前。はいよ。」
「サンキュー。あ、そういや昨日、満月だったって知ってたか?」
「もちろん。今年最後のいわゆるコールドムーンだろ?それがどうかしたのか。」
「俺さ昨日、その月見たんだ。その、、コンドームーン?」
「ちげーよ、コールドムーンだ。一緒にすんなエロガキ。」
「ごめんて。いや、昨日、部活で帰りが遅くなってよ。チャリで帰ってたんだけど、そんときたまたま、、コールドムーン?が見えたのよ。だけど、その月がいつもと違く見えたわけ。」
「違くってどんな?」
「うーん、なんか、オレンジ色ででっかくて、見つめると月が降ってくるんじゃないかっていうくらい重量感あって、ギラギラ光ってた。俺、初めて月を見て怖いって思ったよ。」
「ふーん、見てないから想像つかないな。気になる。」
「んでな、今日の朝、部活の朝練があったからいつもより早く家出て、チャリ漕いでたんだけど、月がまだ出ててよ。でも、今朝の月は、昨日みたいな怖い月じゃなかったんだよ。真っ白で、弱々しくって、月が病人みたいだったわけ。太陽も昇ってきてたし、その光に負けてどんどん薄くなっていくのがなんか悲しくなってさ。俺思わず涙ぐんじゃったよ。本性はこっちなのかーってな。月も努力家なのかも知れない。」
「月が努力家って、、お前詩人みたいじゃん。」
「お、目指そっかなー。国語のテスト30点だけど。」
「低すぎだろ。んま、俺32点だけど。」
「どんぐりの背比べですわ。そんで、月を眺めながら歩いてたら、畑に落ちちゃった。」
「痛そー。大丈夫か?」
「もち、なんなら、部活サボれて超ラッキーだった。しかもな、、これ見ろよ、畑に落ちてたんだぜ。」
「うわ、エロ本学校で出すなよ。てか、誰だよ捨てたの。」
「いや、ほんとお月様ありがとうって感じだわ。あとで一緒に読も。」
「感動返せよテメェ。あ、昼休み暇だぜ。」