ジーン・ディクソン効果
「桐原、知ってる!? 来年の7月に、大災害が起こるらしいわよ!」
「ああ、チックチョックやニューチューブでよくやっているな。くだらない」
「くだらなくなんかないわよ、大災害なのよ!!」
肩を掴んでぶんぶん振ると、桐原の頭はガクガク揺れた。
「落ち着け、工藤。それはジーン・ディクソン効果だ」
「ジーン・ディクソン……効果?」
私が手を放すと、桐原はズレた眼鏡を掛け直した。
「今までどれだけの人が、どれだけの預言をしてきたと思っている。そして当たった確率はどれほどのものだと思っている」
「それは……わからないけど」
「外れた預言は誰も取り上げないし人々もあっという間に忘れる。だから当たった確率など僅かでしかないというのに、予言の的中率は高いと思い込んでしまうんだ。それをジーン・ディクソン効果という」
「でもでも! 当たった予言もあるでしょう!?」
「じゃあ俺も予言しよう。5年以内に日本でなんらかの災害が起こる」
「なによそれ。日本は地震も水害も多いし、当たるに決まってるでしょう?」
「予言なんてものは俺が言った可能性と同等程度のものだ。気にしすぎるものじゃない。普段から災害への備えをしておけという警告のようなもんだと思っておけば、工藤も過剰に怖がらずに済むだろう?」
桐原がニヤリと笑った。
まさか、私を怖がらせないように……? きゅん。
ーーーーーーーーー♡あやかメモ♡ーーーーーーーーーーー
*ジーン・ディクソン効果
ジーン・ディクソンって予言者が、外れた予言が多いにも関わらず、当たった予言に大注目されちゃって的中率が高く思われてることから名付けられた効果みたい。
確かに毎年色んな予言がされてるけど、何事もなく終わった日も多かったわよね。
予言にとらわれず、常日頃から災害への対策をしておけば、過剰に怯えなくて済むかもしれないわね!
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