カリギュラ効果
結局私、あれから何をするでもないんだけど。
桐原も、『焦らずに自分らしく振る舞っていれば、必ず工藤の良さに気づいてくれるから大丈夫だ』って言ってくれたし。
無理して印象を変えずに、なるべくニコニコ笑って過ごそうって決めた。
そうしたら気持ちが少し和らいだから、桐原にお礼を言わなくちゃ。
「おはよう、桐原」
「ああ、おはよう工藤」
「……またゲームやってるの?」
桐原はスマホに夢中になってる。ほんとゲームが好きなのね。
「ああ。あとこのキャラさえ出ればコンプするんだが……」
「また課金してるの!? やめなさい!」
「次は出そうな気がするんだ!!」
「それはディドロ効果だって自分で言ってたでしょ! だめよだめ、もうそのゲームはやらない方がいいわ!」
私はスマホを取り上げようとしたけど、桐原は絶対に手を離さなかった。
「工藤、それは逆効果だ。カリギュラ効果と言ってな」
「カリギュラ効果?」
「ああ。ダメだと言われるとやりたくなる。押すなと言われると押したくなるのと同じだ」
「なんですって!」
「知っているだろう。鶴の恩返しで覗くなと言われた翁はどうした?!」
「は! 気になって覗いていたわ!」
「人は禁止されるとやりたくなってしまう、それがカリギュラ効果だ!」
「なんてこと!」
「だから俺は止められると余計に課金したくなるんだ!」
「じゃあもう止めないわ! 自分でちゃんと考えて判断しなさい!」
「わかった。よし、課金だ!」
「結局課金するんじゃない!」
桐原は課金……しようとして私の顔を見上げた。
そしてものすごーーーーーーく悩んだ後、そのままスマホの電源を落とした。
ふふ、やればできるのね! 偉いわ!
ーーー♡あやかメモ♡ーーー
*カリギュラ効果
禁止されるほどやりたくなってしまう心理現象。
アメリカで『カリギュラ』って映画があったんだけど、それが過激すぎてボストンでは上映禁止になったんだって。
そうしたら余計に見たいって人が増えて、ボストン近郊の映画館に人が詰めかけて大ヒット!
そこからカリギュラ効果って名付つけられたみたい。
禁止はほどほどにした方がいいのかも⭐︎
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