プラシーボ効果(プラセボ効果)
「うう、胃が痛いわ……」
「大丈夫か? 工藤」
私、工藤あやかが胃を抑えていると、隣の席の桐原 瑛斗がキラッと眼鏡を光らせながら心配してくれた。
「明日の学芸会の劇のことを考えると……私、人前に立つのは嫌なのに……」
「派手な顔しているくせに」
「それは関係ないでしょ!」
「ふう、仕方ない。これをやろう」
桐原が何やら白い粉を渡してくれた。
「これは……なに?」
「明日までずっと気分が良くなる薬だ」
「危険ドラッグじゃない!」
「麻薬系では決してない」
「本当に?」
「胃薬ともいう」
「ただの胃薬じゃん!!」
「いらないなら俺が飲む。せいぜい胃の痛みと闘えばいい」
「待って、飲むわよ」
私はその袋を桐原からぶんどると、ざらざらっと口に流して飲み込んだ。
なんとその後から胃痛はなくなり、次の日の学芸会の劇も問題なく終わった。
「桐原! あの薬、よく効いたわ! 本当にありがとう!」
「礼には及ばない。あれはただのラムネの粉末だ」
「は? ラムネの粉末? 胃薬じゃなくて?」
「ああ」
「騙したのね! 桐原!」
「これがプラシーボ効果だ。覚えておくといい」
「どうでもいいわ!」
「似合っていたぞ、〝動く木その2〟役」
「うるさいっ!」
私はきゅっと桐原の首を絞めておいた。
ーーー♡あやかメモ♡ーーー
*プラシーボ効果*
効果のない薬のはずが、そう言い聞かされることで病気の症状が改善すること。なんなら薬の副作用も出ちゃうこと。
思い込みってすごいね。不思議。
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