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結界魔法で異世界旅  作者: 白紙
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6.テンプレと迷いの森

一話から順に誤字脱字やユイの口調を少し変えました。

まだ誤字がありましたら誤字報告してもらえると助かります。

 ギルドへ入ると前回より冒険者は多い様に見えるが、受付は空いていたから顔見知りの所を選ぶことにする。


「ただいまーアン。依頼終ったから受理をおねがい」

「おかえりなさい。その様子ですと何事もなく達成できたのですね」


 魔力草は簡単に見つかったし、魔物が現れなかったのですぐに終わったけどね、と依頼内容を振り返った。ここで余計な事を言うとお小言に発展するかもしれないので黙っておこう。


「まぁ…いっぱい採取できたよ」

「では、査定をしますのでこちらに出してください」


 出された四角いトレーの上に魔力草を出す。この時、麻袋内に『収納結界』を張り魔力草を取り出した。帰り道にも結界魔法で何かできないかを考え、思い付いたのが空間拡張だ!結界を大きくすれば沢山物を収納できる。しかしその分魔力消費が嵩む。その悩みを解決したのが空間拡張である。時間経過しないイメージと一緒に、小さい結界にいっぱい入るイメージも付け足したのが先程発動した『収納結界』である!


「…随分多く採取されましたね。それによくこの量が麻袋に入りましたね」

「あはは、無理やり押し込んだからね…」


 ――そうですか…と怪しまれたけど、上手いこと言い訳をして誤魔化せた…と思う。


「………査定が終了しました。全部で100本ありました。どれも状態は良好でしたので、こちらが報酬の銀貨2枚になります」

「ありがとう!」


 初めての依頼にしては十分の稼ぎだと思うけど、これでは宿代に届かない……明日はもっと稼ごう。


「あ、ユイさん依頼達成を記録しますのでプレートをだしてください」

「いいけど、どうするの?」


 よくわからないけど、プレートを渡すと受理する時に見た天秤のような機械を操作するとプレートが淡く光った。


「これで記録がとれましたのでプレートをお返しします。達成数が一定数を越えますとEランクへと昇格します。なのでこの調子で頑張ってください!」

「ふーん、そうやって記録するのね。参考までにどれくらい達成したら昇格なの?」


 ――機密情報ですと一蹴されてしまった…。まぁ急いで上げる必要もないからいいか、と考えていたら後ろから声をかけられた。


「おいおい、ガキがこんな所で何の用だ?さっさとそこをどきな」


 冒険者登録時に絡まれなかったから、ギルドでのテンプレは起きないと思っていたんだけどなぁ…。しかも相手は大柄で禿頭。粗野な冒険者といった様はまさにテンプレ。はぁ、面倒くさい。


「私はこれでも冒険者で依頼を終えてここにいるの。何か文句でもあるわけ?」

「ぎゃははは、冒険者とか笑えるぜ。お前みたいなガキがいるから冒険者全体が舐められるんだよ。実力の無い奴はとっとと辞めてママの元にでも帰りな!」

「そんなのは私の勝手でしょ?あなたに言われる筋合いはないわ」

「うるせぇ!いいからそこをどけ」


 ついイラッとして喧嘩腰になってしまったけど、会話のできない相手は疲れる。すぐに殴りかかってこない所をみると、多少の分別はあるのだろうがなんで私に絡んでくるの?

 アンも困ったような表情をしているけど、積極的に助けるつもりもなく様子見といった感じで見守っている。となると自分でどうにかしないといけないのか。再びため息をこぼし、どうするかを考える。…そうだ!こいつで『沈黙可視結界』を試してみよう。


「はぁ…『沈黙可視結界』」

「!?」


 絡んできたやつを対象にして、私にだけ結界が見えるよう『沈黙可視結界』を張った。するとさっきまで五月蝿かったのが一転静かになった。私以外の人からは見えない壁を叩いている―所謂パントマイムの―ように見えているはず。なるほど、大柄な男性が叩く程度では結界はびくともしないと。

 閉じ込めた相手の行動は奇想天外に見えるのか、ちらっと隣を見ると口元を抑えて必死に笑いを隠している人――アンがいた。これ以上ここにいると面倒なので退散することにしよう。


「それじゃあアン、また依頼を受けにくるからまたね~」


「ちょ、ちょっとユイさん、ふふ、待ってください!!」

「……何?それに人の名前を笑わないでくれる」


 怒気を込めて返すとアンをは罰の悪い顔をしていた。さっさと去ろうと思ったけど、強く呼び止められたからもう暫くこの茶番に付き合うことになった。


「コホン、ごめんなさい。ユイさんを笑ったわけではありません。彼――ボルドさんを見て笑ったのです。それでボルドさんはどういった状況ですか?」

「さぁ?私にもわからないよ」

「嘘です!絶対ユイさんが何かしたはずです!」


 はぐらかしたのにすぐに否定されてしまった。…解せぬ。

 でもアンは私がやったと思っている。この状況だとすぐにばれるのも仕方ないか…。これ以上誤魔化してもこちらの部が悪いと思い多少は白状する。


「…確かに私がやったけど、どうやったかは秘密」

「秘密ですか…。気になりますが、今は聞かないでおきます。それで彼はいつ元に戻るのですか?」

「そうだねぇ…私がギルドを出たら解放してあげるよ」


 これ以上の問答を無くすためにそのまま立ち去り、ギルドをでたら彼にかけた結界を消した。こっそり外から様子を見たけど、ちゃんと結界から解放されている。でも暴言は吐き続けてる。後はギルドの対応に任せて宿屋で休むことにする。

 試しに使ったけどやっぱり影響は大きかった。…でも今後の事を考えると、結界魔法を隠し続けるのは難しいから、ある程度見せつければそういう魔法として誤解してくれると思う。


 宿屋に帰宅したらカウンターにいるソニアにもう1泊することを伝え代金を支払った。結局節約のために昼食は我慢した。夕食はお腹いっぱい食べてその後はシャワーを浴びて昨日よりも早く眠りについた。


 翌朝、陽が昇るよりも早く目が覚めた。よし、今朝はちゃんと起きられた!今日も身支度を整えて朝食を食べに行く。


「おはようございます。ユイさん!今朝は早いですね!」

「おはよう。昨日はたまたま寝過ごしただけだから」


 さすがに二日続けての寝坊は大人として恥ずかしいから、内心は起きられてほっとしていた。

 朝食を食べ終えてすぐに、ギルドへ出かけた。


 朝のギルドは冒険者で賑わっている。こんなに冒険者がいるんだなぁと驚く!みんないい依頼を手に入れようと必死になっている。私はそんな人達には目もくれず自分にあった依頼を探す。依頼ボードはランク事に別けられてるから、最初は一つ上のEランクから探してみる。


☆ウルフの討伐(Eランク)

 報酬:1体につき銅貨5枚

 補足:討伐部位としてウルフの角が必要。毛皮は1体につき銅貨2枚で買取。ただし解体していない場合は解体費用として銅貨5枚の手数料が発生。主な生息地域は北門を出た先にある森の中。


 報酬も良さそうで私にも出来そうに思えたからこれに決めた!

 早速依頼受理のため空いている受付の列に並ぶ。しばらく待つと私の番となったけど、今回の受付嬢は初めて見る人だった。


「この依頼の受理をおねがい」

「はーいにゃ。あなたは……たしかユイちゃんにゃ。初めましてうちはビアンカにゃ!」

「…どうして私のことを知ってるの?」

「うちも昨日ユイちゃんが揉めていた現場にいたからにゃ」


 私を知っていたことよりも、その語尾の方が気になる。彼女――ビアンカは語尾からもわかるように、猫の獣人である。青髪ショートで頭から猫耳がピンと伸びていてとても愛くるしい。アンとは違った可愛さがあり、年は私と同じくらいに見える。


「昨日の出来事って噂になってるの?」

「そうにゃ。でも直接ユイちゃんを見ていにゃい人は、名前くらいしか知らにゃいと思うにゃ」


 顔が知られてないならセーフかな?それよりも今は依頼が優先。今日こそはお金を稼いで新しい服を買いたい…。


「私のことを知っているなら自己紹介を省くけど、これからよろしくねビアンカ!」

「はいにゃ、よろしくにゃユイちゃん!」

「で、話を戻すけど依頼の受理してもらっていいかな?」

「そうだったにゃ確認するにゃ……大丈夫にゃ。頑張ってにゃ!」

「えぇ、いっぱい討伐してくるわ!」


 依頼の受理は同じ手順だったためぱぱっと終わった。いざ討伐へと思ったけど、アンに言われた事を思い出し二階の資料室へと変更する。ウルフが生息している森と大雑把な地理の確認をしておかないと。

 資料は分かりやすく整頓されておりすぐに目的の本が見つかった。これから行く森は、北門から街道を馬車で30分程の距離にある。別名迷いの森と呼ばれており、鬱蒼と木々が生えていて中に行き過ぎると脱出困難になる事からそう呼ばれている。森の外側にはウルフやゴブリンといった低級の魔物が住み着いている。森の奥に進む程ランクの高い魔物が生息している。基本的に魔物は森からは出て来ないけど、稀にウルフやゴブリンが街道に現れて人を襲う被害が出ている。なのでそれを防ぐために冒険者に討伐依頼が出される。今回の依頼がそれに当たる。


 ホビッグの街はスドモニス王国の東寄りに位置していて、帝国以外国境は馬車で一週間程進めば見えてくる。また北門から馬車で数日行くとパゲールダンジョンがあって、多くの冒険者が日々探索しているけど未だに攻略はされていない。難関ダンジョンとして有名になっているけど、いつかは私も行ってみたい!

 一通り調べ終えたので、ギルドを出て初めて歩く道をきょろきょろと眺めながら歩るくとようやく北門に着いた。

 迷いの森は馬車で30分程と、歩いて行くには時間がかかり過ぎてしまう。また行ったことない場所なので『転移結界』は使えない。そこでこの街からパゲールダンジョンへ向かう乗り合い馬車に途中まで乗せてもらうための交渉を行う。腕の立つ冒険者ならタダで乗せてやると言われたが、あいにくとまだ駆け出し冒険者なので銅貨5枚を払い乗せてもらうことになった。道中は冒険者にダンジョンや迷いの森での注意点などを教えてもらった。談笑していると、あっという間に目的地に到着した。御者や冒険者にお礼を言い馬車から降りた。

 迷いの森を実際に見ると、とにかく不気味な森といった印象をうける。奥は暗くてよく見えず、葉と葉が連なっている影響で陽の光が僅かにしか差し込んでいない。入るのを躊躇われるが探索を決意し奥へと進む。


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