1.転生と説明
初めまして白紙と申します。
初投稿作品のため読みにくいや面白くないとかんじるかも知れませんが最後まで読んでいただけると幸いです。
ここは……?
私は、どこにいるのだろう?真っ白な空間で周りには何もない。
何故こんなところにいるのかすらわからない。
「目が覚めたかしら?城野 結さん」
優しそうな女性に問いかけられ、思わず後ろを振り向く。
鮮やかな綺麗な桃色の髪は腰ほどまで伸びており、整った顔立ちはおっとりとした母性を感じさせる。表情だけではなくたわわに実った果実の影響もあるのだろうか、日本人離れしたスタイルに、かぐや姫を彷彿させる衣装も相まって、まさに天女と遜色ないほどに美しい女性だった。
「ええと…あなたは誰で、ここは何処なのでしょうか?」
ひとまずはごく当たり前のことを聞いてみよう。よくわからない時ほど冷静にならないといけない。落ち着け、私。
「私は地球の神々の一柱、アロエルといいます。ここは神の領域――わかりやすくいうと死後の世界でしょうか?あなたは地球のとある場所で死んでここにいるのです」
そういわれ急速に生前の記憶がフラッシュバックする。そうだ、たしか夜中に青信号を歩いていたら、突如視界が真っ白に覆われて――その後の記憶が思い出せない…。それに、死んだとはどういうこと?
「あのー、死んだというのは本当なのでしょうか?よく覚えていないのですが…」
「思い出せないのは無理もないわ。トラックにはねられて即死してしまったのだから。あともっと気軽に話しかけてもいいわよ」
あぁ、真っ白に覆われた原因はトラックのライトだったのか…。
トラックの運転手にはもっと安全運転を心掛けてほしかった。…すでに手遅れだけど。
ではお言葉に甘えて、他の気になることをきいてみる。
「じゃあ…私はなんでここにいるの?死んだらみんなここにくるの?」
「そうではないわ。死んでしまった人の中から私が、勝手にここによんでいるの。理由としては――そうねぇ、神の気まぐれとでも思ってちょうだい」
神の気まぐれって…。笑えばいいの?それとも怒ればいいの?このやるせない気持ちをどうすればいいのか教えてほしい。
しかし、生前に読んできた小説の中にこんな展開の話があったような…。
ひょとして転生のチャンス?と期待をしながら話の続きをまった。
「あなたは、これから異世界に転生してもらうわ!」
やっぱりそうだった!期待していた展開に思わず胸が高鳴る。
例え生き返って地球に戻ることができたとしても両親は事故で他界していて、天涯孤独の私にとって地球に未練はない。
むしろ転生ものの小説を読んでいる人なら、誰しもは憧れるだろう。何を隠そう私もその一人なので異世界転生は大歓迎である!
「転生する世界はどういったとこなの?」
「剣と魔法の世界――所謂ファンタジーの世界ってやつね。それに魔物がいる世界で、獣人はいるけど魔人はいないわ。それから文明は中世くらいよ。ヨージア大陸という一つの大陸があって、東の帝国イドフォス、西の王国スドモニス、南の商業都市国家ホボル、北の神聖国ルポル、中央の自由都市国家ラノオハの5国が大陸を支配しているわ。場所によっては、小競り合いくらいはあるけど、戦争は起こっていない比較的平和な世界よ。大抵のことは日本とそこまで変わらない世界よ」
平和という言葉を聞いてほっとする。いくら異世界転生がいいとはいっても転生先が危険な世界なら躊躇する。
「魔法には火・水・風・土・光・闇の6属性があるけど、適性がないと使えないわ。人によっては6属性に分類されない固有魔法、というものを持っていてその能力は使い手によって異なるわね。中には魔法適正が全くないのに固有魔法をもっている人とかがいるけど、魔法適正と固有魔法は別だから固有魔法を使うことができるわ。それに固有魔法は普通の魔法よりも魔力消費が少なくすむのよ」
――便利でしょ?と最後に付け足した説明を聞き、ファンタジーの世界とはおきまりだなぁと感じる。魔物がいるとかもね。
現代日本人にとっては平和な世界で生きてきて戦いとは無縁だったから、戦争のない世界なのは非常にありがたい。
しかも魔法のある世界とは心躍るなぁ。でも私には魔法適正ってあるのかな…?。もし使えないとショックだけど、転生後に「あなたは魔法が使えません」と言われるよりは今聞いておこう。
「もしかして、私も魔法を使うことってできる?」
「もちろん使えるわ。なんたって転生特典で、全属性魔法の適正と固有魔法である結界魔法をあなたに授けるてあげるわ!」
やったぁ!!魔法が使えるって。しかも固有魔法までくれるなんて…アロエルって神なの?いや、神か!
結界魔法が具体的にどんなことができるかは知らないけど、固有魔法なのだから期待しよう!
「あと、転生する場合は赤ちゃんからになるの?」
「赤ちゃんからだと大変でしょう?だから15歳として転生させてあげるわ。むこうの世界は15歳で成人として扱われるから、一人でいてもおかしくないからね。元の体はトラックにはねられて原型をとどめていないから、新しい体を再構築して生まれ変わることになるわね。でも今とほとんど変わらないようにはしておくね。ついでに、再構築のときに言語理解や読み書き計算、それから魔法の使い方なんかを分かるようにしておいてあげるわ」
15歳か…生前より若返ることになるのか。え?何歳で死んだかって?女性に年齢を聞くなんて失礼です!
話を戻すと、今と変わらない体型なのは助かる。急に背が伸びたり縮んだりしたら、歩くのが不便になる可能性がでてくるからね。でも、ある一部分は大きくしてもいいんだよ。生前は小さいほうだったし…。
それから、言語理解に読み書き計算ができるのは嬉しい。違う言語を覚えるのってひどく大変だからね…。
そんなことを考えていたが、アロエルの話はまだ続いていた。
「転生時は街の近くに転生させるから、まずはその街に入って冒険者ギルドに行くといいわ。そこで身分証を発行すれば、どこの国でも使えるから便利よ。身分証は教会でも発行してもらえるけど、冒険者ギルドの方が速いし手続きが簡単だからそちらがオススメよ。もし身分証とは別で冒険者登録をしたらステータスを確認できるけど…特別に今見せてあげるわ!」
名前:ユイ
年齢:15歳
職業:なし
HP(体力):E
MP(魔力):C
ATK(攻撃力):E
DEF(防御力):E
AGI(素早さ):E
LUK(運):B
魔法適正:火・水・風・土・光・闇
固有魔法:結界魔法
「ステータスには、それぞれF~Sまでのランクがあるわ。成人の平均はLUKを除いてオールE程度よ。魔物討伐や日々の生活、仕事などでステータスが上昇するけど、魔物討伐の方が上がりやすいわ。但し、固有魔法にランクはなく、LUKだけは一生上がらないけどね。ステータスは冒険者登録をすればいつでも見ることが可能よ。たとえ登録をしていなくても教会で確認できるわ。稀に鑑定の固有魔法をもつ人がいて、その人ならいつでも誰でも視ることができるけど、その場合は視る相手側の同意がなければ、固有魔法の名称を知ることはできないわ。ただその有無はわかってしまうけどね」
なるほど…ステータスのある世界ね。ますますファンタジー、いやゲームのような世界ってかんじ?
私のステータスは成人とそこまで差はないけど、MPが高いわね。これなら魔法を思うように使えるはず!
鑑定という固有魔法をもっている人には気を付けないといけないな。固有魔法がどれだけ珍しいかは、現状把握できないていないけど、余計な面倒事に巻き込まれむのはごめん被りたい。まぁだからといって、どうしようもできないけど。
ゲームの世界と思って甘くみているとまた死ぬことになるから気を引き締めていこう。
「あれ、そう言えばなんで私の苗字がなくなってるの?」
「それはね、苗字もちは貴族か何か功績を残した人しか与えられないからよ」
貴族ねぇ…こちらも面倒事のにおいがする。今考えても仕方ないから、頭の片隅にでもおいてこう…。
「なら、これから私はただのユイとして生きていくよ!」
「ええ、それがいいわ。他にききたいことはあるかしら?」
ききたいこと…。今知っておかないと困る事。そうだなぁ…。
「ならそっちの世界での貨幣制度を教えてほしい」
「分かったわ。お金は硬貨だけが流通しているわ。硬貨のレートは、銅貨100枚=銀貨10枚=金貨1枚。その上に金貨100枚=白金貨1枚があるけど、一般人は白金貨を目にする機会なんてほとんどないけどね。だいだい銅貨1枚が100円くらいと思ってくれればいいわ。餞別として、銀貨10枚をプレゼントしてあげる」
ここに神がいる!至れり尽くせりとは、まさにこのことか!新しい世界で無一文だと転生初日から野宿待ったなしだからね。
「他に何もなければ、転生させるけどいいかしら?」
「ええ、大丈夫よ!!」
他にも気になることはあるけど、むこうで調べれば分かるだろう。
少しすると、足元に魔法陣が現れて浮遊感に襲われる。転生かぁ…、地球に未練はないとは言ったものの、もういけないのかと思うと感慨深くなる。
「転生させる場所は安全だけど、時間がたつと魔物が襲ってくる可能性があるから早めに街にいくといいわ。それからむこうの世界を楽しんでね。あなたのことは見守っているから――じゃあユイ、いってらっしゃい!」
「ありがとう!いってくるわアロエル!!」
そう言い残して私――ユイは異世界へと旅立った。
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