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剣仙の道場【四】

あれ?この作品ってVRゲームだよね?ってなってると思いますがもうすぐに戻ります!お待ちを!

「静かにせい」


 そう一言剣仙が呟くとガヤは収まり皆が剣仙に注目する。皆の剣仙を見る目は期待や恐怖様々なものであった。


「坊ちゃん。こちらに」


 何故か俺が呼ばれ俺は自分なのか再度確認する為に自分を指さし俺?とジェスチャーする。


「そうじゃ。坊ちゃんじゃ」


 なんで全員が注目してるタイミングで俺を呼ぶのかね?嫌がらせかなんか?許せなくない?殺す?


「今この時を持って!この少年!達世を!真之刃流!免許皆伝とする!」


 そう言って俺の袖を引っ張り後ろの部屋へと入る。


 ---


「てめぇ。こらクソジジイ凄い目立ったじゃねぇかよぉ...?」


「カッカッカッ。よいではないか。免許皆伝したからといって周りになにかされる訳ではないのじゃから。もし坊ちゃんにちょっかいを出す輩が居たら儂に言うじゃぞ?分かったか?」


「ん?おう。で?早速今日は加速空間行くんか?」


 今日の俺は絶好調な気がするから今なら勝てる気がする。あ、なんだかもう既に勝った気がする。


「そうじゃな。じゃが今日はあのげぇむの中に入ったら儂の話を聞いておくれ。そうしたら指南を始めよう」


 それだけなら別にいいか。


 ---


「で?話ってのは?」


「おぉ。忘れておった忘れておった」


 おいおい。ボケるなよ。俺に全部の技託すまでは死んでもらっちゃ困るぜ。


「じゃあ。話させてもらおう」


「おう」


 そう言って剣仙は自分の昔の話と家族の事について話し出す。


 ---


「おい!仙寺!」


 若く美しい少女が仁王立ちをして青年を呼ぶ。


「なんだ。穂子(ひなこ)か。どうしたんだ?なんか用か?」


 振り向いた青年も背は小さかったものの整った顔立ちをしていた。


「アンタの子供!出来たぞ!」


 齢22にして気が強く美しい少女とその青年の初の子供であった。最初の子供は男の子で体も大きかった。名は慶治(けいじ)。慶治の親である青年は大喜びして自分が得意とする剣を息子に教え込もうと決意した。


 年月は経ち。慶治が三歳になった頃もう一人の男の子が産まれた。二人目の子供の名は桃士(とうじ)。桃士は産まれた時から体も小さく少し病弱だった。


 桃士が五歳になる頃慶治はもう八歳だった。それでも慶治は毎日父から剣を教わり満足していたが。だが、毎回良い所で桃士が咳をしたり突然倒れたりして稽古は止まった。


 まだ八歳と子供の慶治には桃士が自分の稽古を邪魔したいだけなのだと思っていた。

 そして慶治は桃士に決闘を挑むが父にバレ叱られる。


「慶治!桃士は体が弱いんだ。あまり無理をさせないであげてくれ。父さんは仕事に行ってくる。お前達はちゃんと勉強するんだぞ!」


 そう言って仕事に行った。だが慶治は知っている。父が軍事学校で剣を教えていると。あそこなら桃士に邪魔されないと。


 そして慶治が仙寺がいる高校に入学する事になった。そして慶治は高校に入学して父について色々な事を知る。


「なぁ!慶治!佐野教官って居るだろ!あの人ってこれからとある国の戦争に行ってるんだってよ!しかも一人で!国が認めてるとはいえ戦地に一人だぞ!?凄くないか?!俺達の教官がそんな凄い人だなんて!」


 それを聞いた慶治は驚愕した。何も知らなかったからである。そう。ホントに何も知らなかったのである。父が異形を狩れる程の人外の力を持つ人であった事も。


 慶治は驚きと同時に歓喜した。一人で戦地に行くなどありえない。自殺行為だと。ならば自分が着いて行き父を助けなければと。自分なら。父の作った流派の欠点を見つけて治した今の自分なら父を助けられると。そう信じて。父の元に一人で向かった。


 結果は呆気なく戦死。父である仙寺を目の前に銃弾で撃ち殺されたのである。これは佐野 仙寺が人生の中で二度だけした絶望のうちの一回だった。


 この時父である仙寺は後悔した。剣など教えなければよかった。剣など持たなければ良かった、と。


「何が【剣聖】だ!何が【閃光】だ!自分の子供一人救えないなんて...!!!俺はァ!俺はァ....!」


 その時....彼。仙寺の中で何かが弾ける音がした。


 その日敵軍はたった一人の人間に否人間ではなかったのかもしれない。だが、一匹の獣に為す術なく一人残らず死んだ。


 帰った後慶治の亡骸を埋葬した。それから数年間。

 仙寺は自分の怒りを敵国にぶつける様に各地に飛び回り敵軍を殲滅した。


 九個目の基地の殲滅をしてから数ヶ月で戦争は終結した。終結した理由で一番大きな理由は佐野 仙寺だったと後にその国の首相は語った。


「佐野 仙寺。貴殿を日本国準戦略級兵器として認め。これを授ける」


 その誰もが欲しがるような名誉と栄誉があるバッヂを受け取る男の目から光が無く。涙も出さず。まるで廃人のようになっていた。


 佐野 仙寺は家に帰るが家には誰も居なかった。忘れていた。妻が自分に怒り桃士を連れて出ていってしまっていた事も。最後に穂子に言われた事が光景と共にフラッシュバックした。


『なんでっ!なんでなんでなんで!それだけ強い筈なのに!国は守れるのにどうして子供を守れなかった!なんでっ....!』


 そう言って泣きながら自分を拳で殴る穂子の姿を思い出し。病んだ。


 それから数年の日々は酷かった。やらなきゃいけないという無意識の使命感により剣を振り酒に酔い眠る。幻聴が聞こえ怯えるような。日々が続いた。


 そんな日々の中酒が切れいつもの店が閉まっていた為に。月が出る方向にあるスーパーに行くと一人の青年と再会する。


「と、父さん.....」


 またいつもの幻聴だと耳を塞ぎしゃがみ込んだ。


「父さん!大丈夫かい?!」


 体に触れられそれが幻聴などでは無いことに気付く。数分間その姿を見てから目を擦り。そして抱きしめて泣いた。久々に会った息子の背中は逞しくとても暖かいものだった。


「母さんは数年前に兄さんの所に行ってしまったよ。父さん。ねぇ、父さん!僕剣術道場を開くつもりなんだ!父さんや兄さんから教えてもらった剣術道場をね!」


 それを聞いて少し自分が情けなくなった。だけど息子に二度と剣を持たせないと誓った仙寺は落っこちていた木の棒を手に取り。


「ダメだ。それは認めない。お前にもし慶治と...慶治と同じ目にあわれたら俺はどんな顔をして穂子に謝ればいい。ホントにやりたければ俺を倒してみろ...!」


 その数分後仙寺は星空を見上げる事になる。


「父さん。僕ね。国から二代目佐野 仙寺として認められたんだ。だけど僕もこれから忙しくなる。だから....だから父さんに僕の道場の師範をしてもらいたいんだ!」


 一瞬何を言っているか分からなかった。だけど俺はそれをすぐに了解した。それが穂子と出て行かせてしまった息子への申し訳なさからなのか。それとも初めてワガママを言ったからなのか。自分でも分からない。





はい〜そうなんですね〜。実は戦略級兵器として認められてるのは剣仙の息子さんなんですねぇ。今の剣仙は全盛期の三分の二位しかないんですねぇ。

ま、剣仙の息子はそれでも全盛期の剣仙には勝てないんですけどね^^;


とりあえず!少しでも面白いと思ったら感想、レビュー、ブクマ、評価、待ってます!

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