閑話 霧菜の安堵《リアル》
早朝六時目が覚め体を動かそうとすると手足が動かない。
あれれ?凄いデジャヴ。俺ゲーム内で寝てたんだっけ?違うよな?ここ俺ん家の天井だし。横には椅子に座った霧菜が居るし布団を紐で括られてるし。
ん?霧菜?布団が縛られてる?
あっ…なるほど?霧菜のやつ。昨日配信してんの見られてキレてるな?
「まぁまぁ。きりちゃん。落ち着いて。凄いことじゃないか!チャンネル登録者70万人なんて!昨日なんてあの時間帯なのに視聴者は6000人!大したもんだよ!他にもまだ…ゴフッ…!」
霧菜が布団の上にジャンプしてきた。
「妹の部屋勝手に入るとか!信じられない!1年間バレないで配信してきたのに…よりにもよっておにぃにバレるなんて…恥ずかしい…!」
そう。霧菜は知っている。兄である達世がとんでもない強さのゲームプレイヤーである事を。そして。1度だけした兄の配信には視聴者が数十万人いた事を。
なのに自分の配信には6000人弱。それを恥ずかしいと嘆いた。
だが、霧菜は1つ知らない事がある。兄である達世は自分がライブ配信をしていたなどと知らない事を。
確かに達世は自分でもゲームが上手いのを理解しているが世界から見たら数百万人の一人でしかないと考えている。だがそれは大きな間違い。達世は世界から見てもゲームの腕前。リアルでの美の子なし。全てにおいて数億人に一人…否!数億兆に一人の逸材であると。
そんな数億兆に一人の逸材は何も分かっていない。
なるほどなぁ…年頃だもんなぁ…。自分があんな格好でライブしてるなんて知られたくないよな。
「気にするな!兄ちゃん応援するし!むしろ少し位なら(アシスタントとして)配信に出てもいい!」
我ながら完璧過ぎる返答だ…!これは数億兆にひとつの完璧な返答だ…!
それを聞いた霧菜。硬直。その時の霧菜は人生で最も早く回転していた。初めて男子に告られた時よりも。お父さんからお金をくすねてバレた時よりも。
え?おにぃが出てくれる=視聴者急増=おにぃが凄いと自覚&周りが周知する…?=またまた視聴者急増?
そしておにぃに見せても恥ずかしくない視聴者数?
「分かった!許してあげる!」
霧菜の心は頂点に舞っていた。頭の中はまるでバレリーナのようにクルクルと周り踊っている。
そして霧菜はご機嫌に部屋を去っていった。
「ちょ!!ちょっと!霧菜ちゃん?!ちょ!おい!霧菜!?霧菜様?!ちょ!妹様!この布団の紐解いて!ホントに!意識してきたら暑くなってきた!ちょこれ!ホントにキツイ!ホントに!」
部屋に残った布団の魔人(達世)名案を思いつきヌルヌルと布団から潜り抜け朝食を取りに下の階へと急いで行く。その後霧菜は少し強めのゲンコツをくらい負傷する。
さて。飯食ったし。ゲームしよーっと。
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