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【書籍化決定】セブンスソード  作者: 奏 せいや
第1.5部
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ナイトクラブ『ディープブルー』

 すると電話が掛かってきた。まだ話すことがあったのか?


「もしもし、どうかしーー」

『どこにいるんだてめえーー!』


 え、モニカ!? ゲッ、時間もうすぐじゃねえか!


「今向かってる、もうすぐ着くから今走ってる!」

『当たり前ださっさと来い!」


 いかん、電話に夢中になり過ぎた!


 歩道を必死に走る。すると黒のバンが停まっており傍にはモニカが立っていた。

 その服装は以前のスーツ姿ではなくラフな私服姿だ。特徴的な金髪のツインテールはそのままに若者向けの服装になっている。如何にもクラブ向きというか。なんだか新鮮だ。


「悪い! 遅れた!」

「アホ! とりあえず乗れ!」


 言われるまま後部座席に乗り込む。運転席にはアメリアがおり椅子には紙袋が置いてあった。


「聖治君お疲れ、まずはそこにある服に着替えてくれる?」

「服てこれか?」


 紙袋を見れば中身は男性用の服だ。とりあえず服はそのままでいいと言われていたから学生服のままで来たが流石にこの格好じゃな。


 言われたまま服を脱ぎ着替えていく。後部座席とはいえ女性のいる車中でズボンまで脱ぐのは恥ずかしかったがこれも作戦だ、無心で着替えていき最後に黒のキャップを被る。これで多少顔は誤魔化せるかな?


「終わった? お、似合ってる似合ってる」

「えっと、どうも」


 それで車は走り出し俺は後部座席に座り直す。


「それじゃ聖治君、これから私たちはディープブルーってお店に行ってお客を装い潜入する。そこでどう動くかはその時に話すわ。まずはリラックスリラックス。なにもなければただ遊んで帰るだけだから」

「あ、ああ……」


 アメリアは気を遣ってか明るく言ってくれるがやはり気になるものだ。


 クラブってどんな感じ? あぶなくない? 怖くない? もしかして踊らなきゃいけないとか? なにをするのが正解な場所なんだ???


 そんなこんなでどきどきしていると車が止まる。そこから降りてすぐの場所にそれはあった。


 ディープブルー。夜こそ活気を得る繁華街においてその入口付近にはすでに数人の男女が集まっていた。みなお洒落だったり派手な衣装をしている。女性なんて胸の谷間が空いていたりですでに刺激が強い。


 すると一人、二人と振り返り俺たちを見てくる。気づけばほぼ全員がちらちらと視線を向けてきた。すぐにキャップのつばを手でつかみ目深に被るが、よく見ればみんなの目線は俺ではなかった。


 その視線は俺の隣を歩く二人組。モニカとアメリアだ。モニカは自信満々の笑みで人垣を分けて進みアメリアも余裕の表情だ。アメリアの服装はピンクのキャミソールに黒のミニスカート、やや幼さのある顔つきと色気のギャップが相乗効果になってより魅力的にしている。左手首には金色の腕輪が揺れていた。


 そりゃ注目される訳だ、外国人の二人組、さらにどちらも美形となれば見られて当然。そんな美女の隣にいる俺はなんなんだと邪魔者扱いされる目が向けられる。


 俺たちは入口につく。そこには男の人がガードマンとして立っており鋭い目が俺たちを見る。

 あまり見られるとバレかねない、なるべく目が合わないようにしないと。


「入店いいですか? 三人なんですけど」


 アメリアが話す。流暢な日本語にガードマンが少しだけ意外そうな顔をするがすぐに険しくなった。


「駄目駄目、入れないよ」


 くそ、気づかれたか。


「君」


 ガードマンが見てくる。でも俺じゃないぞ?


「ああ!? なんだてめえ、私は入れねえって!?」


 それはどうみても中学生くらいにしか見えないモニカだった。そういえば俺よりも子供っぽいやついたわ。


「子供だろ? ここは子供駄目、入れない」


 モニカたちが十分上手い日本語で喋ってるのにカタコトで説明している。正直分かる。


「ふざけんな大人だクソが! 入れろアホ!」

「駄目駄目!」


 ガードマンとモニカが言い争いしている。大声で押し問答だ。


「聖治君、今のうちに」


 え? あ、もしかしてそういうこと?

 二人が言い争っているうちに何食わぬ顔で入店する。もしかしたら俺も弾かれるかと思ったが無事入ることが出来た。


「あの、もしかしてモニカが来た理由って」

「え、違うよ? 私も入れる入るって強引に来ただけ」


 違うのかよ!


 俺たちは入店料を払いクラブの通路を通って奥へと進んでいく。全体的に暗く通路の先には映画館のような両開きの扉がある。すでにクラブミュージックが漏れているが扉を開けると大音量の音楽が体にぶつかってきた。


「うお」


 あまりの音量につぶやく自分の声すらよく聞こえない。ダンスホールは広く天井にはミラーボール、ステージにはDJが曲をチューニングしている。大勢の客は曲に合わせ体を揺らしていた。


「聖治君! 聖治君! 聞こえる!?」

「聞こえるけど!」


 近づかないとろくに会話も出来ないのでアメリアが接近してくる。顔がすれすれの位置にあり不意にドキッとしてしまう。いやいや、これは浮気じゃない。ただ女性に近づかれただけの生理的反応というか。


「まずは踊ろっか」

「え?」

「いいからいいから」


 俺はアメリアに手を引かれダンスホールに立たされる。


「踊れって言われても、俺したことなくて」

「大丈夫大丈夫。みんななんとなく動いているだけだから」


 楽しそうだなー。

 アメリアはにこにこだ。あーくそ、こうなったらノリに乗れ!


 俺もなんとなくで踊ってみる。肩を揺らしたり足を軽く動かしてみたり。最初は躊躇っていたがだんだんと慣れてきた。


「そうそう!」


 アメリアも褒めてくれる。次に抱きついてきた。驚くがアメリアが口元でささやく。


「入ってなにもしてないと怪しまれちゃうでしょ? 上、見てるよ?」


 言われ上を見る。そこには一階ダンスフロアとは別に二階の席があり手すりには数人の客と店員が立っていた。


「そんなじっと見ちゃダメ」


 アメリアの両手が俺を捕まえ正面に向けてくる。薄っすらと笑う彼女と目が合った。

 なんていうか、今の俺って年上のお姉さんにいいように転がされてる感じだ。


 それからはアメリアと一緒に適当に踊って時間を使っていた。はじめてこういう場所に来たけど少しだけ楽しみ方というのが分かった気がする。


 しばらくしてステージ端にあるカウンターに近寄った。

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