不明戦力からの襲撃
だがアメリアの行動は早かった。窓際に駆け寄るとカーテンを開き外を確認する。
「町の光は点いてます! ここだけです!」
「どういうことだ?」
町の光に多少は室内が見えるようになる。とはいえこれは攻撃だと見て間違いない。
「アメリア、外の様子見てこい」
「はい」
言われアメリアは扉に向かっていく。その足が止まった。
「社長、開きません」
「はあ? 退け」
彼女がドアノブを回すが扉はビクともしない。モニカも駆け寄り試すが動く気配がない。
「クソが」
「開かないのか?」
外から施錠されてるのか? 電気を切って閉じ込めて、俺たちを出さないのが敵の狙い?
この状況に焦りを覚えるが次に部屋から水が振り出してきた。
「スプリンクラー? 火気なんてないだろ」
部屋の天井からシャワー状に水が降ってくる。どこかで火事でも起きたのか? ていうか、停電中でもちゃんと動くんだな。
俺たち三人含め部屋中がびしょ濡れだ。それで変な臭いが部屋中に漂ってくる。
なんだ、気分が悪い。見ればモニカもアメリアも異変を感じている。
この水、ただの水じゃない!
「吸うな! 毒入りだ!」
「ちぃ、クソが!」
部屋に閉じ込めて毒入りのスプリンクラー、これが狙いか!
このままではまずい。モニカもそう判断したようでなりふり構っていられない、拳銃を出現させドアノブに発砲した。
「ほわあ!?」
しかし銃弾は弾き返されアメリアの顔すれすれを通過していく。どうやら単なる施錠じゃない。
「出せやボケぇ!」
モニカがドアを殴る。まるで鉄球がぶつかったような轟音が響くも扉はビクともしなかった。なんだこれ、どっちも普通じゃないぞ。
「窓は!?」
俺は叫びモニカはすぐに窓を射撃する。しかし傷一つ付かない。
「ちぃ」
ドアや窓はどうあっても出られないし壊れない。まるで結界だ。
このままではスプリンクラーの毒でやられる。モニカやアメリアの表情から余裕が消えていく。
どうやら、動くしかなさそうだな。
「治せ、天志」
スパーダ、シンクロスを出現させる。その刀身が桃色に光り俺の全身が仄かに包む。それで毒の症状は治っていった。さらに二人も治療していく。
「お前」
「わお、社長これすごいですよ?」
二人も回復する。これで毒でやられることはない。
俺たちは敵ではなくなったがまだ味方というわけでもない。ただこんな状況に巻き込まれた者同士、協力すべきだろう。
「とりあえず休戦からの共闘、ってことでいいよな?」
鬱陶しいのでミリオットに切り替えスプリンクラーを射撃する。するとスプリンクラーは壊れたのだが代わりにドバっと水が流れてきた。
「げ」
「お前アホだろ」
だっていつまでもシャワー浴びたくないだろ!
直接水が掛かることはなくなったが臭いはそのままだ、長居は危険だな。
「ふん、しゃあねえな。一時共闘だ。それで次の当てはあるのか?」
毒の問題はなんとかなるが問題はどうやって出るかだな。早く出ないと敵に有利になるだけだ。
「天志を解除する、気合入れろよ」
俺は発動していた天志を止め、代わりに光るのは、
「壊すぜ、グラン」
刀身の緑がひと際輝き俺は両手で持ち上げた。
「おい、お前」
「ぶち抜くぜ!」
扉も窓も駄目。どっちも出入りする場所だから普通そこから出ようとする。だから封じられた。
しかしスプリンクラーを撃って分かったが天井は壊せるんだ、それなら!
俺はグランの能力、ファースト・ブレイクで質量を増やしていく。見た目はシンクロスのままでもその重量はグランかそれ以上、それを降り下ろす!
それによって床は砕け俺たちは下の部屋へと落ちていった。瓦礫となった床が音を立て俺たちはその上に立つ。
脱出成功だ。それで俺たちは下の部屋に移動できたわけだが、その部屋には先客がいた。
「ほう、予想よりも早かったな」
椅子に座る四十代ほどの男。黒髪をオールバックで決め眼鏡を掛けた男性は腕時計から目線を俺たちに向け、ニコニコと笑みを浮かべていた。
「こんばんは、特戦です」




