第二章 絡まり合う糸
ヘリに乗せられてしばらく、俺たちはとあるビルの屋上にあるヘリポートに到着していた。夜の町を見下ろして飛ぶなんて貴重な体験だったが楽しいなんて思える余裕はない。頭はこれからのことでいっぱいだ。窓に反射した自分を見てみると眉間に皺が寄っていた。
ヘリから降りモニカやアメリアがビルへと入っていく。俺も後をついて行くが、廊下を歩いていて思った。
(ホテルか)
それから彼女たちが宿泊している部屋へと入る。上の階にある部屋ということもあり広い。どこかの社長とのことだがいい暮らしっぷりだ。
リビングにはソファがありモニカが座る。俺も対面にあるソファへと腰かけた。
「さて、話すにしても相手が誰かも分からんと言いづらいだろう。改めて、魔卿騎士団のモニカ・クリケットだ。一応言っておくが無所属でやってる。お前を作った連中、降臨派とは別の派閥だな。表向きでは警備と傭兵派遣の会社をしている。それなりにでかいんだぞ?」
「傭兵、ね」
魔卿騎士団の強さと傭兵や警備は相性がいいだろうな。あのヘリや武装した兵士たちもそういうことなら納得だ。
「あ、私はアメリア・グースって言います~。聖治君はミネラルウォーターとオレンジジュースどっちがいいですか?」
「あ、では水いただきます」
「おっけ~」
背後にある冷蔵庫からアメリアが声を掛けてくれる。本当はジュースの方が好きだがこんな状況ではなんだか飲む気にならない。
アメリアという女性はモニカと比べて明るいというか人懐っこい印象を持つ。態度が柔らかいというか、なんだか緊張が緩むな。
それで彼女は水が入ったコップとペットボトルをテーブルに置いてくれた。どうもと言うとニコっと笑いモニカと自分用にジュースを置いていく。
「んだよ、酒じゃねえのかよ」
「社長弱いんだから駄目ですよ。それに今は仕事中です」
ワイングラスに注がれたオレンジジュースを飲んでいく。スーツ姿と顔が良いからだろうか、足を組み飲む姿は様になっていた。俺もとりあえず一口飲む。
「私たちの方針は治安の維持ってとこだ。異常犯罪やらを取り締まってる。好き勝手されちゃこっちも迷惑なんでね。ま、今回は身内がやらかしてくれたんだがな」
「聖治君ごめんね?」
「あ、いや」
二人は自然体で接してくる。大人の余裕だろうか、なんだか俺だけが緊張しているようだ。だからって気を抜いていい場面じゃないし、雰囲気に呑まれないで集中だ、うん。
「そのことはもういいよ。本題に入ろう。未来のことについて話すんだろ」
「そうだな」
モニカがグラスをテーブルに置く。カツンと音を立て空気が切り替わった気がした。
モニカの瞳、きれいな宝石を思わせる目が俺を見る。
「お前、悪魔についてはどこまで知ってるんだ」
悪魔の詳細、正確に言うと俺は悪魔について詳しくない。むしろ教えて欲しいくらいだ。俺が知っているのは未来のことだけ。
彼女たちにそれを話すべきか。くそ、分からない。でも信じてもらうにはやっぱり話さないと。
「俺が知っていることを話す」
俺は決断し、未来での出来事を話した。それにセブンスソードの顛末についても簡単にだが説明する。これで俺が完成したスパーダを持っていること、他の仲間も生存していることが分かるはずだ。
二人は黙って聞いていた。話していて思うがかなり突飛な内容だ、なのに二人は真剣な表情で一度も茶化さない。
説明をし終わり、聞き終えたモニカは両腕を組みソファに背もたれた。
「悪魔の襲来、人類の全滅、ねぇ」
「私は殺戮王ってワードの方が気がかりでしたね、社長聞いたことあります?」
「ない」
きっぱりと言う。本当に知らないみたいだ。
「そもそも殺戮王なんて殺戮したからその名が付いたんだろ? 今の話だと最初からそう呼ばれてたみたいだぞ」
「ん」
それは、そうだな。最初に殺戮王がなんと呼ばれていたのか俺は聞いたことがない。
「まあそこはいいとして、確かに気がかりだな。創作にしては細かいし」
「信じてもらえないか?」
セブンスソードの件は俺がいるんだ、認めてくれる。だが未来のことは証拠がない。信じろと言っても難しいところがあるだろう。
モニカは考え込んでいたが、その顔を持ち上げ俺を見た。
「お前は話してくれた、今度はこちらの番か」
※もし面白ければブックマーク、評価していただけると嬉しいです。よろしくお願いします。




