またまた大事件
すると車は減速しついには止まってしまった。山道の細い道だが深夜なので車はない。それよりも今しがたの内容だ。わざわざ停車までするとはよほどのことだ。
「社長。その」
「なんだよ、言えよ。もう厄介事だって分かってんだよお前の顔見ればよ」
そうでなくとも通話中の様子から悪いことであるというのは伝わっている。
アメリアはバックミラー越しではなく運転席から振り返ってモニカを見た。その顔はすでに三回はゲロしたほど憔悴している。そのやつれ具合にモニカも「ゲッ」と内心で零す。
いったいなんなのか。もうどうにでもしてくれとモニカは覚悟ではなく諦観の中で身構えた。
「降臨派が動いてます。セブンスソードを本当に行うつもりです」
「…………はああああああああああ!?」
衝撃の内容に、死んでいた心が電流を流されたように蘇生する。
モニカは体を前に倒す。その両目は飛び出すほどだった。
「セブンスソードって、あのセブンスソードか!? 馬鹿な! どうやって?」
セブンスソード。それは禁術に数えられる非道の魔術儀式だ。蟲毒を元に考案されたそれは実際に人間を用いる。それらを殺し合わせ技や能力を統合し最強を創造する、理論だけで現実的ではない欠陥儀式。
そもそも人がいない。場所もない。時間もなければ金もない。
そんなあり得ない儀式を、彼らは本当にやろうとしている。
「どうも巧妙に隠されていたみたいで……」
「バカヤロォオオ! それを見つけて報告するのがてめえらの仕事だろうが! なんでスパーダやホムンクルスの製造に事前に気づけねえんだよ!」
「すみません~」
モニカは運転席を殴りまくりアメリアはしくしくと涙目で謝罪する。ジャブ、ジャブ、ワンツー。右ストレートでようやく攻撃は収まった。
「なんで分かった?」
それで一旦気を落ち着けるモニカだが問題はセブンスソードだ。
セブンスソードは異能を宿した七つの剣とそれらを持つ七人のスパーダ、それらが殺し合い最後に生き残った人物はすべてのスパーダを得るという儀式。そうして作られた存在は複数の異能を持つ強者となって誕生する。この儀式のいいところは完成形があらかじめ分かることだ。それを知った上で儀式を行うということは逆説的にその強さは団長クラスということ。
最強創造の儀式。それがセブンスソードだ。
「はい。三本のスパーダは見つけ押収できたそうですが予備がないとも限らず。その他のスパーダの搬送先ですが」
「どこだ?」
それほどの儀式がどこで行われるのか。アメリカか、ヨーロッパか。それか中国の可能性だってある。
様々な思考とそれら地域への対策を考えていくが、正解は別のものだった。
ここに、点と点が繋がる。
「日本です」
「日本?」
答えは極東、日本。魔卿騎士団とは基本縁もゆかりもない地での実施。
「はい、そこからの行先はまだ掴めていません」
そもそも予想外という時点で彼らからすれば成功している。それを見破れなかったことに悔しさはあるが日本という場所には不思議と納得していた。
モニカは前に出た体を座席に落ち着ける。
「なるほど、日本か。あそこなら聖法教会の目も緩い。異端根絶部門の介入もないだろう」
「どうしましょう?」
「ああ、クソが!」
魔卿騎士団のごたごた、悪魔召喚師の暗躍、それに続いてセブンスソード。本気で嫌になってくる。
「とりあえずもっと調査を急がせろ! 開始場所の特定急げ、どこでも出来るものじゃねえんだ絞ればいける!」
「はい!」
「それと、私たちも日本に行くぞ」
「え? 分かりました、用意しておきます!」
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