魔卿騎士団との対決
「管理人だとエルターとかいたな、紫髪の」
「は? あの学者までそうなのか?」
「へー、意外ですね」
「学者?」
どういうことだ、エルターってあの弓使いだろ? 俺一人ではどうしようもなかった強敵だ。なにせ因果律を操作してくるため防ぐことも躱すことも出来ない、絶対命中の能力が強すぎた。それが、学者?
「あいつが降臨派、ねえ? なにが狙いだったんだ?」
「あの人ずっと引き籠って因果律やらなにやらの研究してた人ですよね? 以前は独力でしてたそうですが限界感じてうちに来たらしいですよ。そのために弓の扱い覚えたって友達言ってました」
「うちは腕っぷしないと入れないからなー」
え? あの強さ片手間だったの!? マジ!? 元々戦闘員じゃなくて研究職かよ!
「あんたはそんな人と比べても弱そうに見えるぜ? 四大幹部の採用基準って実力じゃないのか?」
「あ、君」
「舐めてんじゃねえぞクソがぁああ! 言っておくがな、私は全盛期じゃないんだからな! 本当はもっと強いんだからな!」
「へー」
「なんだその返事ぃいい!」
そう言ってもな、中学生が強がってるようにしか見えないんだよ。
「こいつぅ……!」
「社長、あの反応信じてませんよ?」
「分かってんだよ! わざわざ言いやがって、てめえまで煽ってんのか!」
「すみません~」
子供が大人にキレ散らかしている……。
「てめえ、散々言いやがって。いいぜ、ここに来たのは目的のためだが私情でブチ殺してやらああ!」
「駄目ですよ社長!」
「放せアメリア! 今すぐこいつをやらせろ!」
「そんな理由でやらないでくださいよ、みっともないですよ~」
「んだとてめえええ!」
「ひ~」
(不憫な人だな)
白髪の女性、アメリアって言ってたな。金髪珍獣よりは常識がありそうだが彼女も魔卿騎士団っていうことだよな。というかここにいる全員。
魔卿騎士団は武術と異能を組み合わせる組織だと聞いたことがあるが、なるほど、さきほどの着地にも異能が使われたってことか。
「それで、まだ聞いてなかったな。魔卿騎士団がなにしに来た」
銃を向けてきて穏やかじゃないのは分かっているが、それでも聞かなくてはならない。
モニカはアメリアに放してもらい腕を回している。
「ああ? スパーダ狩りだよ」
「スパーダ狩り?」
不穏な言葉に目つきがきつくなる。
スパーダ狩り。っていうことはこいつらの狙いは俺だけじゃない。
全員を、狙ってるってことか!
「そうだ。新たな団長の創造、そんなもの認めらるわけねえだろ。いったいなにが出来るかも疑わしいもんだ。降臨派の馬鹿のせいでとんだ手間だぜ」
新たな団長候補の排除。星都の予想通りってわけか。こいつらにとって俺たちは邪魔者ってわけだ。
「お前も殺すぜ、聖治」
金髪の髪束を夜風に揺らし、傲岸不遜な少女は言い切った。
「おい」
こいつらの目的は分かった。それははじめから分かっていたこと、驚きはない。でもな。
「いい加減にしろよ、てめえら」
お前らに、俺は言わなければならない。
みんなの思い、みんなの命。それを代表して――
「勝手に作って、殺し合いをしろと言い、今度は認められないから死ねだと?」
俺たちは生きている。それを勝手に否定するな! そんなの断じて許さない!
「舐めるなッ。俺たちは、生きるために戦ったんだ!」
決意を新たに、俺はこいつらを睨みつけた。
「それは~……そうなんですよねー……」
「アホ、同情すんな。やるべきことをやるぞ。スパーダは消す、それだけだ」
しかし少女も引かない。その姿勢や胆力はさすが四大幹部と言ったところか。その実力は本当に不明だが覚悟は決まってる。
「お前らがスパーダをどう思っているか知らないが、もし侮辱してるなら止めてもらおうか。あいつらは俺の仲間だ」
けれど、まるで道具みたいに仲間を扱うなら俺は否定しなくちゃならないんだ。
「セブンスソードとは殺し合い、敵の間違いではないんですか?」
「情報が古いなあんた。セブンスソードはとっくに終わってるよ」
「え!?」
アメリアが驚いている。そんな彼女にモニカは不機嫌そうに眉を吊り上げた。
「おい」
「いえ。スパーダは六人の生存を確認済み。一人はまだ未発見ですが。セブンスソードはまだ始まってすらいません!」
タブレットを慌ただしく操作しながら説明している。そりゃそうだろう、それに間違いはない。
「なら問題ない、十分制圧可能だ」
「そうか、知らないみたいだな」
「なにをだ」
こいつらはまだ知らない、セブンスソードの結末を。未だに俺たちが殺し合っていると思っている。だがな!
「ならその答えを見せてやるよ。仲間たちと紡いだ絆をな!」
その誤りを、ここで正す!
「来い! 救世虹、シンクロス!」
腕を掲げる。そこから現れる光は剣となって七色に輝いた。
――繋がる思いが新たな世界の扉を開ける。七色の絆よ、未来に架かる虹となれ!
虹を掴み剣となる。剣先をモニカに突きつけた。
これが俺のスパーダ、シンクロス。みんなの力を受け継いだ絆の結晶。刀身はみなの色を合わせた七色。それがオーロラのように輝いている。
俺のスパーダにアメリアは大慌てでタブレットを操作しモニカは顔色一つ変えず俺を見つめていた。
「それがお前のスパーダか。どれほどのものか試してやるか」
俺とモニカの睨み合い。互いの視線が戦意と共にぶつかり合う。
「撃て」
直後、襲い掛かってきたのは兵士からの銃弾だった。横に展開した兵士たちから同時に発射されるフルオートの弾幕が俺一人に集中する。
(さて、どうしようかな)
だけど、俺には迷う余裕すらあった。
(どれにしようかな)
防ぐ手段がいくつもあって、逆に迷う。
いくつもある選択肢、その中から選ぶのは、
「エンデュラス!」
七色にある水色が光る!




