君を助けるために、何度だってループする
「俺、は……」
頭を駆け抜ける記憶と感情の本流、その中で俺は全てを思い出していた。俺がなにをしてきて、なにがあったのか。それをこの一瞬で思い出していた。
「聖治君」
振り返る。香織は泣きそうな顔で俺を見つめていた。
「香織」
香織は床に手を付いていた。そこからゆっくりと起き上がる。
その光景に、俺は動けないでいた。まるで夢を見ているようで。
香織は歩き、次第に走り出した。そのままドンと俺の体に抱きつく。
「聖治君!」
背中に手を回される。彼女の涙声が聞こえる。その全てが俺にとっては現実離れしていた。信じられない。彼女が動いている。それだけで。
「ごめん、ごめんね聖治君ッ」
心が、止まるかと思った。
「意識は少しだけあったの。だから知ってるよ、君がどれだけ頑張ってくれたのか。一人でどれだけ辛かったか。それでも、聖治君は私のために戦ってくれた」
彼女は泣いている。腕にさらに力が入り背中を掴む。
「分かってる。ぜんぶ。ごめんね聖治君。君をずっと一人にさせて」
「香織……」
肉体に残った僅かな魂は意識となって香織にあった。一人だと思っていたけど見ていたんだ。
俺は、一人じゃなかった。
「いいんだ、いいんだ、香織」
手を伸ばし香織を抱きしめる。温かい。その感触に再び涙が出そうになる。こうなることをどれだけ夢見ていただろう。
それが、叶っているんだ。
「聖治君」
俺たちは抱きしめ合う。そこで香織の体が離れ俺を見る。その瞳は涙の跡できらきらと輝き、小さく微笑んでいただ。
「ずっと、一緒だよ」
俺に、笑顔を見せてくれた。
「病める時も、健やかなる時も。たとえなにがあっても」
その瞳が俺を強く見る。手を俺の頬に当て思いを叫ぶ。
「私は、ずっと君の傍にいる! 愛してる、私の方がもっと!」
そうして勢いよく顔を近づけてきた。
唇と唇が触れ合う。俺は一瞬驚くもすぐに受け入れた。彼女のさらさらとした後ろ髪に触れ力を入れていく。
過去積み上げてきた思い。長い月日の中で経験してきた出来事。それはセブンスソードであり、数多くの仲間であり。孤独の旅であり、苦難の道のりだった。多くの悲劇があった。そしてそれはまだ終わっていない。19年の世界では殺戮王がやってくる。人類はまだ救われていない。俺たちの戦いはまだ終わっていない。
だけど、今だけは。すべてを忘れて彼女を抱きしめた。この温もりを感じていたいから。
良かった。こうして会えるなら。君が最後に笑顔なら。
彼女の指輪が、小さく輝いていた。
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