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【書籍化決定】セブンスソード  作者: 奏 せいや
第六章 未来に架かる七つの光
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町が燃える激闘


 俺はエンデュラスに切り替えた。


 追いかけるばかりでは追いつけない。ならばその先、今ではなく未来を見る。

 エンデュラスは時間の操作。それは加速だけじゃない。これから起こる未来まで観測する!


 俺は未来に照準を向け、ミリオットを撃った。

 放たれた光線の先にはなにもない。だが、次の瞬間兄さんが現れた。


「!」


 ミリオットがついに当たる。中空に現れた兄さんはミリオットを刀身で受けるもそのまま背後にあるビルに激突していった。それを見てすぐさに強化した体で飛びかかる。


 兄さんは上空に転移し俺は壁を蹴って追いかける。

 互いに剣をぶつけながらビルを走っていった。


「ふん!」


 兄さんの多元攻撃が紫の線を生む。俺は天志に切り替え防ぐが強化がなくなったことで落下してしまった。足も壁から離れ剣も届かない。


(なんとかしろ、俺!)


 俺は考えてグランに切り替えた。引力を使って自分をビルに引き寄せ着地する。よし、これならいける!


 次にエンデュラスに切り替えビルを蹴り宙に飛ぶとミリオットを照射した。兄さんの動きを予測した光線は命中し窓を突き破ってビルの中へと入っていく。俺もグランの引力を使って中へと突入していった。


 オフィスビルの中はいくつもの席とパソコンが並んでいる。夜なので電気はなく薄暗い。

 そこで兄さんは居合いの構えで俺を待ち構えていた。


(これは!?)


 全身に危機感が走る。直感で分かる。これは、


「天志!」

「刹那斬り」


 絶好のタイミングでのカウンター、今まで多くの死闘を勝利に導いた兄さんの必殺技。


 もし、今までの世界で兄さんと一緒にいなければ俺は間違いなくやられていた。

 空間を無尽に切り裂く多元と必殺の斬撃。あらゆる攻撃を防ぐ守護の桜光おうこう


 割れた鏡のように空間がズレる中、俺だけは形を変えることなく生存していた。


「ちッ」


 なんとか刹那斬りが発動する前に天志を張れた。

 グランで切りかかる。兄さんは天黒魔で受けるも吹き飛び反対側の窓を突き破って外へ消えていった。


 衝撃に吹き飛ばされる中天黒魔が虚空を斬る。空間操作と斬撃を組み合わせ空間ごと切り裂く攻撃。それは巨大な紫の線となりこのビルごと切り裂いていた。


「なんだと!?」


 ビルが崩れる!


 急いで走り俺も外へと出る。空間に刻まれたいくつもの斬撃によってビルは分解され巨大な瓦礫となって落ちていく。兄さんはその一つに着地すると俺も別の瓦礫の上に移動した。


 瓦礫に乗って落下していく。周囲にも様々な瓦礫が落ちているが俺たちは睨み合った。徐々に瓦礫が近づき俺と兄さんはスパーダを構えその時を待つ。


 みるみる距離が近づき、間合いに入った!


 お互いに落下している中で、俺たちはスパーダを振るっていた。七色の剣と紫の刀が何度も切り結ぶ。


 落下する別々の瓦礫の上、立ち位置がぐるぐる変わる。正面にいた兄さんが頭上、それから背後に回る。それでも俺たちは斬り合った。こんな極限状態の中でも相手のことしか意識にない。瓦礫が衝突する轟音が下から響く中俺たちの剣戟の音が響き合っていく。


 しかし決着はつかず俺たちもこのままでは落下する。兄さんは上にある瓦礫に転移すると別のビルの屋上へと移動していった。俺もグランを使い落下している瓦礫をつたって移動する。そのままビルは倒壊し凄まじい音を立てていった。


 俺たちはこの町で最も高いビルの屋上に立っている。空に一番近い場所。周りには並び立つものはない頂点。


 そこで、俺たちは対峙した。


「はあ……はあ……」

「…………」


 夜の風が吹き抜ける。制服を揺らし兄さんの前髪が流れる。

 何度も戦った。何度も刃を交えた。それでもまだこの人に追いつけない。


「思えば」


 そこでふと気付く。


「あんたと、こんな風に競ったことはなかったな」


 こんなにも激しく戦っているがそもそも戦うなんてことが初めてだったかもしれない。


「年が離れてたからかな。喧嘩はあったが殴り合うこともなかった。いつも言い負かされて、戦っても負けると分かってたからいつも悔しかったよ」


 ほんと、思い返せば嫌な思い出ばかりなんだよな、この人って。


「今だから言うけどさ、怖い人だった。基本的に厳しいんだよ。暴力だって平気で振るうし。俺が門限を過ぎた時も理由も聞かずに頭を殴ってきたし。めちゃくちゃだったぞ」


 融通が利かないっていうか、頑固っていうか。


「だけど、なんでだろうな。あんたを憎むとか嫌うとか、そういうのはなかったんだ。こんなに怖い人なのにさ。きっと、あんたは行動で示していたからだと思う。家族を守ること。そのために頑張っていたあんたの姿を見てきた。家族が俺たちだけになった時もあんたは一人で頑張っていた。働いて、働いて、自分の幸せを省みず、それでも弱音を吐かずあんたは一人で頑張っていた」


 俺のことを誰よりも心配していた。門限を過ぎた時だって今なら俺の身を案じていてくれていたからだと分かる。


「日本軍に志願したのも俺のためだってほんとは分かってた。その時は一人になるのが嫌で必死に止めてたけどさ」


 その時のことだけが俺の中で心残りだった。


「家から出て行くあんたに、嫌いだって泣き叫んで」


 それだけ、俺も必死だった。唯一の家族が出て行く。それも戦場に行くっていうんだ。もう会えないんじゃないかって不安が大きくて、それしか言う言葉が浮かばなかった。


「あんたはいつも他人のために頑張る人だった。だから、怖いけど憎めない、俺の兄だったッ」


 それが分かる。声にも熱がこもる。

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