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【書籍化決定】セブンスソード  作者: 奏 せいや
第六章 未来に架かる七つの光
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複数異能

 すぐさま距離を取る。兄さんも転移すると距離を置いて現れた。再び向き合いスパーダを構える。


 分かってはいたけれど、強い。ただでさえ強かった管理人の能力をすべて得た兄さんだ、弱いわけがない。それでも七つの能力を得たシンクロスでも苦戦するなんて。


 俺のシンクロスは時間遡行で得たスパーダを蓄積したもの。それが七つ揃ったからこそ発現できた能力だ。


 だが実体を得たわけではないので以前のように二刀流や複数出して戦うことも同時に能力を使うこともできない、仮の完成品。だから攻めきれないのもあるが、それにしたってこうなるか。


 互いに攻めきれない。それによって状況は膠着していた。互いに相手を見遣るがそこで俺は聞いてみた。


「なんで、あんたは最初セブンスソードをしていたんだ?」


 俺と同じように兄さんも最初は記憶を失っていた。なのになぜあれほど積極的だったんだろう。

 聞いたところで答えてくれないかもしれない。この人は話さないことが多いから。


 けれど兄さんは答えてくれた、鋭い視線はそのままに。


「俺に、最初記憶はなかった。ただ、どこか消えない思いがあった」


 ぽつりと、静かに。その時の自分を語る。


「なにか、忘れている気がする」

「!?」


 それって。

 心当たりがある。俺もそうだった。


「それがなにか、それは分からない。だがふと思う。胸に突っかかる思いがあることを。忘れてはいけない重要なことがあるのにそれを思い出せない。そんな違和感がずっとあり、気のせいだと振り払ってもしばらく経てばまた気付く。その度に焦燥感が胸をざわつかせる。じっとなんてしていられない。その思いが俺に言うんだよ」


 兄さんが言っていること、俺にも分かる。


 最初の世界でなにも覚えていないのに引っかかる思いだけを感じていた。

 なにか、なにかしなければいけないって。

 見えないなにかに、ずっと手を伸ばしていたんだ。

 同じなんだ。この人も。

 その人が言う。生まれ変わっても消えない、魂に刻まれた想いを。


「力が要る、とな」


 瞳から感じる強い意思。それは地下で流れるマグマのような、静かだけれど熱い思い。

 その言葉を聞いて、俺はまたも瞼の奥が熱くなっていた。


「あんたは、そこまでして……」


 強い思いは時に魂にまで刻まれる。それほどまでに、俺との約束を守ろうとしてくれていたのか。


「そうか、分かったよ」


 この人の思いがどれだけ固いものなのか。どれだけ俺を思っていてくれたのか、それを知ることができた。そういうことは言葉で言ってくれる人じゃなかったけれどこうしてちゃんと伝わった。


 剣を構える。再び静寂が生まれ互いににらみ合う。

 動き出したのは、同時だった。


「エンデュラス!」


 青の速攻を仕掛ける。だが兄さんも空間転移で居場所を変える。動きが早い。まるでこの町すべてが戦場のようだ。いくつものビルを越えて走っていく。


 消えては現れる兄さんにミリオットを撃っていくが当たらない。背後にある建物が爆発を起こしいたるところでビルから火の手が上がっていく。


 兄さんもただ逃げているわけじゃない。隙を見ては多元攻撃により離れた場所からでも攻撃してくる。それをエンデュラスで躱しさらには天志で防ぐ。


 くそ、接近戦を避けてるな。単純な力や速度なら俺の方が上、だから遠距離戦に徹しているんだ。


 俺たちが移動する度にビルが火を噴き切り刻まれていった。それはさながら災害であり俺たちが戦うだけで町が壊れていく。


 俺は走るのを止め正面に兄さんが現れる。


「どうした、こそこそ狙い撃ちなんてあんたらしくないな。それとも俺が怖いのか? 手が震えてたら刀を取りこぼすぜ?」

「お前こそいきなりどうした、虚勢を張らねば平静さも保てんか?」

「…………」

「…………」


 直後、俺たちは斬り合った。

 強い、けれど越えなくちゃならない。いつまでもこの人に守ってもらう俺じゃ駄目なんだ!


「エンデュラス!」


 エンデュラスで切りかかり、


「グラン!」


 グランで押し、


「天志!」


 カウンターを天志で防ぎ、


「カリギュラ!」


 回避する動きをカリギュラで覆い、


「ミリオットォオオオ!」


 離脱した後をミリオットで狙い撃つ! 同時、兄さんも斬撃を飛ばしてきた。

 俺は天志で防ぎ兄さんも転移で躱していく。互いに戦果なし。


 どうする!? 兄さんは空間転移ですぐさに居場所を変えてくる。これをなんとかしなければ俺に勝ち目はない。

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