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【書籍化決定】セブンスソード  作者: 奏 せいや
第六章 未来に架かる七つの光
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聖治VS魔来名

 最初の攻撃、それならこれだろう。選ぶのは水色。最速の一手!


「エンデュラス!」


 時間を操作する光帝剣の力。それを使い高速で駆けつける。周囲の光景が背後に消えていきシンクロスで切りつけた。


「!?」


 が、そこに兄さんはいなかった。一瞬で姿が消えさらに後方に立っている。


「空間転移かッ」


 納刀したまま兄さんがゆっくりと歩いてくる。次の瞬間姿が消え右、左と現れては消えていく。 どこだ? 周囲を探すがいない。


(ということは、上かッ)


 頭上を見る。兄さんは俺の上空に現れ両手で握った天黒魔を振り下ろすところだった。


 降下しながらの兜割り。重い。受ければこちらがやられる。

 だが、力なら俺にもある!

 シンクロスの光が緑に変わり力を司る業をここに発揮する!


「グラン!」


 魔来名が振るう天黒魔の一撃を、緑色の刀身が迎え撃つ。


 グランは力のスパーダ。その第七能力は質量保存の法則崩壊ファースト・ブレイク。この剣だけでビル一つはある質量を兄さんにぶつける。おまけに第一能力で重力の影響を受けないので俺に重さはない。


「ぐう!」


 力の差は逆転し、グランの攻撃を受けた兄さんが吹き飛んでいく。人一人がまるでバットで打たれたボールのようだ。そのまま背後にあるビルにぶつかる直前、兄さんは姿を消しその地面に着地した。


 立ち上がる。体はふらつくことなく傷すらない。


「馬鹿な……」


 あれほどの重量を受けて人体が無事なはずがない。トラックに轢かれた以上の力だぞ? でも現に兄さんは立っている。


「まさか」


 そこで思いつく。それは並行世界操作。それでグランを防いだ事象を重ねて防御を固めたのか。あれを攻撃ではなく防御に使うなんて。あの一瞬で思いついたのか、それとも最初から考えていたのか?


(マジかよ)


 どちらにせよ、異能への発想と応用が上手い。半蔵だってそんな使い方していなかったのに。

 強い。それを実感する。


「……ふ」

「ふん」


 兄さんを見て自然と笑みがこぼれる。やっぱりすげえ。


 この攻防だけでそれが分かる。相手は強敵だと。

 兄さんとの距離はまだ離れている。エンデュラスを使えば接近できるがそれではさきほどの繰り返し。ならこれでどうだ!

 シンクロスの色が変化する。それは白色、白光する刀身が周囲を照らし出す。


「ミリオット!」


 増幅のスパーダ。それは力を増やし放出する。俺は剣先を兄さんに向け光線を発射した。


 それらを兄さんは空間転移で回避していく。兄さんがいた背後にミリオットの光が着弾し店が爆発していった。

 兄さんが現れた瞬間を狙ってミリオットを撃つが悉くを回避されてしまう。その度に町が壊れていった。


「くそ」


 いくら撃っても躱される。空間転移による回避能力が高い。

 ミリオットで狙い撃ちするがその隙を突かれ兄さんが俺の前に現れる。空間転移による速攻が迫ってきた。


 だがミリオットは増幅のスパーダ、身体強化の能力もある。

 目にも止まらぬ鋭い刃を白剣で受け止めた。刀身が当たると火花のように七色の光が飛び散っていく。


「天志!」


 天黒魔の一撃を天志のシールドで守り、


「エンデュラス!」


 光帝剣に切り替え刃を返す。


 が、それも空振りに終わり兄さんは後方に現れる。これでも逃げられるのか。

 相手は一人だが点で狙っていては当てられない。

 なら、面で攻めるか!

 俺は念じシンクロスの色が赤く輝く。それは破滅のスパーダ。


「カリギュラ!」


 本来なら対多数に使う広範囲攻撃。さらに一本の時とは違って威力も上がっている。刀身から赤いオーラが噴出し俺を中心として触れるものをすべて滅ぼしていく。


 街路樹はその葉がすべて枯れ落ち雑草も干上がった。さらに有機物だけでなく無機物であろうともこの力は破滅させていく。車は老朽化しビルも何十年も放置されたように風化していく。


 暴虐の風。死を振りまく赤い霧が周囲に広がる。これでは躱しようがない。

 兄さんは立ったままカリギュラを見つめていた。そのまま棒立ちでカリギュラに飲み込まれる。


 どういうことだ? 無抵抗で受けるなんて。


 カリギュラの能力で周囲が見えない。兄さんは今どういう状態なんだ?

 やったのか、それとも。


 その時だった。赤い霧が二手に分かれる。その中央では兄さんが天黒魔を振り上げていた。カリギュラの赤風がその前をを避けて通っている。

 カリギュラの能力を、斬った?


「馬鹿な!」


 あり得ない! 斬ってどうにかなるものじゃない。そこに障害物ができたわけでもないのに避け続けるなんて。第一カリギュラは斬ろうと思って斬れるものじゃない。

 この人は、概念すら切り捨てたのか。


 さらに兄さんが天黒魔を振るう。


「ッ、天志!」


 カリギュラから天志に移し多元攻撃を防御する。それによってカリギュラが解除され赤いオーラが一気に晴れた。


 それから動いたのは同時だった。俺はエンデュラスで走り兄さんは空間転移で移動する。互いに相手を追いかけ町中を走り回っていく。速度は音速を優に超え発生するソニックブームで瓦礫などが吹き飛ぶ。


 俺そのものが暴風だ。だが兄さんも負けていない。ぴったりと俺については天黒魔の斬撃を飛ばしてくる。


 振り切れないッ。だがいつまでもやられっぱなしでいられるか。

 兄さんが現れる。周囲の光景が高速で移り変わっていく中で何度目かも分からない刃が迫る。

 それを防ぐでも躱すのでもなく、


「グラン!」


 弾く!


「ぬ!?」


 グランは力を司る。初めは重力を、さらに段階が上がれば斥力や引力まで。その斥力により天黒魔の斬撃を弾いた、まるで見えない壁にでも当たったかのようだ。


 さらに兄さんの足場の重力を引き上げる。何倍ものGに晒され体勢を崩した。

 すぐに引力で引き寄せ緑のシンクロスを打ち付ける。


 が、それすらも兄さんは転移で躱しさらには俺の背後に現れた。


(引力を利用したカウンター!? まずい!)


 剣で防いでは遅すぎるッ。


「天志!」


 紫刀が迫るのを桃色のベールが防ぐ。


「ち」

「ち」


 やりづらい!

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